第5話  新しい稼ぐ手段

 「お前、まじか...」


 「すごいすごい、春輝凄すぎだよ」


 「すごいな、前からワードセンスがいいと思ってたけど文才まであるとは」


 俺が小説で大賞を取り賞金を手に入れたことを伝えると予想以上の反応で驚いた。ある程度の賞賛を得たり驚かしたりできると思っていたがここまでの反応とは。


 「それで次のステップだ。別に大賞を取ったからと言ってすぐに出版して印税で〜とは行かないんだ、改稿したり諸々していたら半年後には間に合わないと思う」


 「本気なんだね。そうなると残りは別のことで稼がないといけないわけだ」


 「なんか稼ぐあてがあるのか?」


 「今のところは何も思いついていない...それで3人に相談しようとしていたんだ」


 とは言ってもそんな半年で稼げるような方法が出てくるとは正直思っていない。それでも藁にもすがる思いとはこういうことを言うのだろう。この3人ならもしかしたら何かあるのではないかと思ってしまう。


 「また喧嘩〜?、私だって悲しいけどだからって喧嘩するのは違うと思う、普段の冷静な2人だったらこんなことなんないじゃん」


 ドリンクバーにジュースを取りに行っていたこころが帰ってきた。どうやらこの静かな雰囲気を喧嘩していると勘違いしたようだ。

 

 「いや、別に今は喧嘩しているわけじゃなくてどっちかというと協力して考えているんだ」


 「あっそんなの?さっきの残りのお金をどうするかって話?」 


 「ああ...」  

  

 そんなやりとりを拓実と桃花がしている時も俺と祐希は黙々と思案に耽っている。

 しばらく場が静まると桃花が


 「うちの会社でしばらく雇ってもらったら?お父さんに頼めばいけると思うし春輝、機械とか詳しいし」


 「いいんじゃねぇか?普段からお前機械いじりとかゲーム作って遊んでるし」


 「それは流石に悪いというか、俺の私情で桃花に無理させるわけには行かないし」


 いくら父が一条グループの当主だとしてもただの学生をエンジニアとして雇うのは無理があるだろう。

 

 「別に無理じゃないよ。それに春輝は一回手伝いきてくれたことあったでしょ?私が会社を継ぐのに相応しい能力があるかどうかお父さんに試された時。その時にお父さん褒めてたよ。こんな学生がいるとは〜ってね」


 「なっ、お前桃花と付き合ってる俺より先に桃花のご両親にあったのかよ」  


 「お父さんが共に仕事をする仲間を選ぶのも必要なスキルだーとか言ったから機械に詳しい春輝を連れて行っただけで私が好きなのは拓実だけだよ〜」


 そうして2人でいちゃつき始めたので見るに耐えかねた祐希がジト目を向けながら


 「いちゃつくなら家でやってくれる?」


 と呆れた様子だ。


 「まぁお前だけ彼女いないもんなw、独り身にはこの彼女の可愛さわかんねぇかー可哀想に」


 容赦のない拓実からの煽りに普段冷静な祐希が震えている。

 あっこれやばいやつだ、

 残りの2人を見てもやりすぎたという顔をしている。

しかし顔を上げた祐希は笑いながら次の話を催促してきたので余計怖い。 

 

 普段怒らない奴は静かにキレるから余計怖いんだよぉ。


 「それで私の話どうかな?お父さんのとこで働かない?」


 ビビって話題を探し続けていた俺たちの中で唯一の女子枠である桃花が話題を作ってくれた。

 おい男たち情けないぞ、まぁ俺もだけど、なんなら俺と拓実しかいないけど


 「まぁ、せっかくの誘いだしやってみるわ」


 「オッケー。じゃあお父さんに伝えらから出勤日決まったら連絡するね。平日は学校があるから多分休日になるけど大丈夫?」


 「ああ、大丈夫だ」


 その後しばらく雑談をして気づくと六時になっていた。


 「そろそろ帰るかー」


 拓実が席から立ち上がると桃花も立ち上がり


 「だね、じゃあまた明日〜」


 「ああ、また明日」


 「仲良さそうだなあの2人」


 「だね、春輝はこれからどうするの?」


 「俺はこれからこころの見舞いかな」


 「そっか俺からもお大事にと伝えてくれ」


 「ああ、また明日な」


 




 


 


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