第4話 ファミレスでの会話
「…という感じだ」
俺たちは学校が終わってファミレスに来ている。もちろん理由はこころの状況の共有だ。
「それで桜木の両親は1000万なんてどうするつもりなんだ」
拓実が今回の話の核心を突いてきた。俺たちは出会って半年だがお互いの家庭状況をなんとなくはわかるほど仲良くなっている。つまり桜木家が1000万なんて大金をすぐに用意できないことも薄々分かっている。
「ああ、実際こころの病気が発覚した時から桜木家では1000万をどうするかが一番の悩みの種になっている」
こころの病気の発覚が早かったこともありきちんとした治療を受けることができればなんの問題もないらしい。しかし治療を受けるのに必要な額が大きすぎるのが問題だ。
そして俺は以前からしていた決意を明かすことにする。
「俺は...全然足りないかもしれないけど少しでも足しになるように金を準備しようと思う」
「気持ちはわかるけど学生の僕らに1000万なんて大金どうやって用意するんだ?」
「そこは気合いだろ、学生でも1000万稼いでるやつだっているだろうしよ」
「それは過去からの積み重ねがあってすぐに稼ごうと思って稼げる額じゃないよ」
「だったら祐希はこころのことを助けなくていいのかよ」
「そういうことを言っているんじゃない。現実的に考えて話をしているんだ」
「ここは公共の場だ。二人とも熱くなりすぎ、一旦落ち着こうぜ」
普段は性格が反対な二人でお互いの意見を尊重しあって臨機応変に色々な状況に対応できる二人だが流石に仲のいいクラスメイトの危機に冷静には慣れていないようだ。
まぁ俺だって学校を休んで冷静になる期間が無ければ今の二人のようになっていたと思うが
「わりぃな、ちょっとヒートアップしすぎたみたいだ」
「僕のほうこそ悪かった。こんな状況なんだからもう少し言い方を気をつけるべきだったよ」
「うんうん、仲のいいことはいいことだよ。ところで春輝、実際どうやって1000万を用意するつもりなの?」
桃花がずれ始めていた話題を修正してくれたようだ。
「ああ、実はな...」
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