第3話 普段と違う朝
「そろそろ行かないとまずいよな」
こころの病気がわかって以来既に俺は一週間学校を休んでしまったいる。俺の通っている学校は府内でも3番の指に入ると言われている進学校でまだ高一とはいえ一週間の遅れはかなりまずい。
「行くかー」
久しぶりの通学路は入学以来こころと共に歩いていたので1人で歩くとひどく右手が寂しい。
電車を降りると俺の通っている学校、星京学院の生徒たちがちらほらと見えてきた。中には同級生もいて一部の人間以外に理由も言わず一週間も休んでしまったので少し気まずさも覚える。
教室に入るとそれまでちらほらと聞こえていた話し声が一瞬なくなりクラスメイトは俺に対して声を掛けるべきかそっとしておくべきか計りかねているようだった
そりゃそういう反応になるわな、だって考えてみてくれ、突然理由も言わず一週間も学校をサボったやつに対してなんて声をかけたらいいのかなんて誰だってわからないだろう。俺だってそんな奴がいたらそっとしておくの一択になるだろう。
「心配したぜ、バカやろー」
ああ、お前はこんな雰囲気の中でも話しかけてくれると思ってたぜ。
「悪かったな。理由は言った通りで自分の中で整理するのに時間がかかったんだ」
このどんな空気でも心配だったら心配だったと言う、怒っていたら怒っていると言う、よく言うと自分の感情に素直な奴は俺の親友の一人で大塚拓実。部活は野球部、趣味はランニングというゴリゴリの体育会系だ。
「LINEぐらい返してよぉ。心配したんだから」
この子は一条桃花。拓実の幼馴染らしく拓実と仲良くなった結果、桃花とも仲良くやらしてもらっている。戦後の復興の第一人者として動いた一条家の娘でかなりのお嬢様だ。しかし本人の人懐っこさが凄すぎてお嬢様という感じが全くせず、いつもクラスの中心にいる。
「とにかくお前が学校に来てくれてよかったわ。このまま不登校になるんじゃねえかとみんな心配してたんだぜ」
「ほんとだよ、もう私たち会えないかと思ったんだからね」
「大袈裟だよ、学校に行かなければこころにも心配されてしまうし流石に病人に心配をかけ続けるほど俺もバカじゃないよ」
「そう、それでこころちゃんの容体は?」
前のめりで桃花が一番気になっているであろうことを聞いてきた。
どうしようか、ここには他のクラスメイトもいるし俺が勝手にこころの病気は〜とか言っていいのだろうか。悩みあがねていると
「春輝に取っても言いにくい話題なんだから公共の場では話しにくいと思うよ」
声の方を向くと俺のもう一人の親友、斎藤祐希が立っていた。こいつもサッカー部で運動部だが拓実とは違い爽やか系で熱血とは程遠いやつだ、まぁサッカーをしている時は別人かと思うほど熱くなるらしいが。
「悪いな、そういうことだ。放課後にでも四人で集まった時改めて話すよ」
そこでちょうど担任が来たことで朝礼が始まった。
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