第29話 珍しいお誘い

「それでさー…あ、ごめんメッセきた」


 栞とふたりでベッドに横になりお喋りしていると、栞のスマホの通知が鳴った。


「…………ねぇ紗奈ちゃん!咲希さんからお誘いだよ!」


 私の後輩であり、栞にとっては先輩で、桜木さんの彼女になった長門さんからの連絡だったようだ。


「お誘い?なんの?」


「今度お食事でもどうですかってさ!」


「……いってらっしゃい。てか連絡先交換してたんだ」


「出来れば紗奈ちゃんにも来て欲しいっぽいんだよね。連絡先に関しては紗奈ちゃんが持ってない方がおかしいよ?」


 そんなことを言われても私は明らかに長門さんに目の敵にされていたし、私と入れ替わりだったのだからそんな機会もなかったから仕方ないのだ。


「うーん……長門さんがいいって言うならついてくけど…」


「おっけー。じゃあふたりともいけるって返しとくね-」


 栞は手際よく返信し、ずいぶんと楽しそうな表情をしていた。


「そんなに嬉しいの?長門さんとの食事が」


「それもある!でもわたし達3人が揃うのってなんかエモいじゃん?」


「分かんなくもないけど…未だに苦手なんだよね…」


 初めて会ったあの日に言い争ってから何かと距離をとってしまっていた。彼女自身悪い子ではないのだが、桜木さんへの愛の重さは恐怖を感じるほどだ。


「いやぁ楽しみだねぇ……超激レアイベントじゃない?歴代生徒会長揃い踏みでの食事なんてさ!」


「……また喧嘩ふっかけられないといいけど」


「こら~。いつまで咲希さんを怖がってるの~?」


「だって……やめてほっぺた引っ張らないで……」


 毛布の中で栞とイチャイチャしながら過ごす。日程は来週末に決まったとの事で、私もそこまでには長門さんへの苦手意識を無くそうとなんとか試みるのだった。

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溶かされて。憧れて。ふたりで共に。 @Amane_18

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