第12話 忠義の元

「かかれー!」

「敵襲じゃっ!備えろー!」


北条軍は憲政の居城になだれ込む。

夜襲さながらの奇襲だったため、憲政陣は崩されていく。


「皆、ひいてはならぬ!相手は数だけの軟弱よっ!落ち着いて相対せいっ!」

「憲政を狙え!憲政さえ討てば後は楽じゃっ!」

「うおおーー!」  


氏康自ら突き進んでいく。

憲政は薙刀と太刀を手に取り先陣へ向かう。


「横合いから鉄砲で崩せ。」

「ははっ。」


北条軍の鉄砲隊が密かに上杉勢の横に向かう。

それに気づいていた上杉勢だったが数が足りず鉄砲隊に向かわせる兵卒が足りていなかった。


「放て!」


轟音が響き上杉勢は抵抗できずに倒れる。


「おのれ!」

「憲政様!このままではなりませぬ。一度退き体制を立て直すのが懸命かと。」

「わかった。ただ後半刻は粘れ。よいなっ!」

「おおっーーー!」


北条、上杉は徐々に接戦の様相を見せる。

先に仕掛けたのは氏康だ。


「別働隊、突撃致せっ!」

「ははっ!」


新たな兵隊が氏康本体ににかわり突撃する。

今まで槍、刀で戦って来た北条軍がいきなり軍勢を変え騎馬で突撃してきたため上杉勢は崩れ始める。


「憲政様……!」

「わかった……。退けっ!」



上杉勢が退きかかった時である。

北条軍がいきなり崩れた。

北条軍後方から檜扇の軍旗がはためいた。


長野業正勢、約四千が現着した。



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