第4話 鍛練とは
幼い頃から弥三郎は弓、槍、馬の訓練をしてこず、
室内にて古い書物を読んでいたばかりであった。
「今回こそは私が直々に訓練して差し上げます!
こちらへ!」
弥三郎の侍女のお夏が叫ぶ。
最近より弥三郎に仕えてきた侍女である。
齢十九である。
「左様か。今回は何を。……!」
いいかけた瞬間に突き飛ばされたのだ。
「いきなり何をする!」
「男ならこれくらい対処してくださいませ……!」
お夏は突き飛ばされうずくまっている弥三郎に
馬乗りになった。
「戦場での対処をお教えします。」
弥三郎は立ち上がろうとするがお夏は動かない。
「まず弥三郎様は長身であられます。槍、刀、馬ではあなた様の方が有利でございます。」
お夏の下になりながら、弥三郎は頷く。
弥三郎が真面目に聞いていないと思ったのか、お夏は弥三郎の胸に座り直した。
「しかし弥三郎様の槍の使い方を見ていると不安になるものがありました。なぜ、毎度槍を浅く持つのですが?」
「実戦ではそれが有利である。そなたたちは試したことが無いではないか。」
槍を浅く持つということは槍が長い場合である、長い槍を使っていたのはこの時期、織田信長、朝倉宗滴そしてこの弥三郎ぐらいであった。
(なるほど……。それで弥三郎様は…。)
「槍が長ければ先に敵がやられる。また同様ならば浅く持とうが深く持とうが自在なのだ。」
「馬上ならばいかがなされます?」
「もちろん深く持つ。徒歩なら浅く切り替える。」
「左様ですかっ。」
お夏は最後に体重をかけて立ち上がった。
「姫wa…。殿!出陣ですぞ!急ぎご準備を!」
親光が怒鳴る。兵たちの士気が上がる。熱気を帯びる。
目指すは長浜城。
長宗我部弥三郎は先鋒として出陣した。
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