考察

 面会時間が終わり、母が病室から出て行くと、わたしはスマホに手を伸ばした。スマホには通知が沢山きていて、あかねや桃香と誘拐事件メンバーからも通知があった。

 わたしは誘拐事件メンバーの通知を読むことにした。

 中川『おい、ニュースで田山の事が報道されてたけど、無事か?』

 石井『警察が事情聴取をするって言ってたけど、何か見たの?』

 植本『新田さん、体調は大丈夫ですか? 体調が良くなったら、事情を聞きたいのですが、どうですか?』

 羽間『無理はしないでください。病院の場所を教えていただけたら、皆でお見舞いに行きます』

 田山が殺されたことを聞きたいと書かれている。わたしも皆に話を聞いて何か知れればと思い、スマホに打ち込む。

 新田『気を失っただけだから、大丈夫。明日には退院できるから、その後で皆に会いたい』

 羽間『無事で良かったです。わたしたちは新田さんの都合に合わせます』

 新田『それなら明日、市内病院から一番近いファミレスで会おう』

 石井『了解ー』

 全員の許可をもらってわたしはスマホを閉じた。

 玉木に続いて田山が殺された。どうして田山は殺されたんだろう?玉木は仮面の男と殺され方は同じだったけど、田山は違った。田山が買ったロープで首を絞められて殺された。わたしは気を失う前の光景を思い出し、胸の中が一気に冷える感じがして、胸元の服を握る。自分もあんな風に殺されるのではないかと思うと、恐怖で喚きたくなる。ここは大丈夫だから、と心の中で言い聞かせながら何度も深呼吸をして落ち着きを取り戻す。

 恐がっていても何も解決しない。自衛出来るように考えないと。

 わたしは両頬を叩いて気合いを入れると、犯人について考えた。

 まず犯人の動機だ。犯人は何で玉木と田山を殺したのか? 二人の共通点は市内の高校に通っていることと、高校生複数誘拐事件の被害者という点だ。

 犯人の動機を後者に関係するならば、犯人は仮面の男との関係者のはず。そして、七人の高校を誘拐したのだから、組織として活動していたはずだ。

 仮面の男はわたしたちにデスゲームをさせる予定だった。問題なければ、あの廃ホテルでデスゲームが行われてわたしたちの誰かが殺されていただろう。

 だけど仮面の男が殺されたことで、わたしたちは廃ホテルから脱出した。仮面の男が殺された理由は分からないけど、仲間割れをして殺されたことにしよう。

 わたしたちが逃げて世間にデスゲームの事を知られ、組織がピンチになったはず。これ以上組織が世間に公されないように、口封じでわたしたちを殺している。

 ……わたしが考えられるのはここまでかな。とにかく、犯人はデスゲームをしようとした関係者で、下手をしたら組織で動いているかもしれない。組織というと大袈裟に聞こえるかもしれないけど、現に複数の高校生を誘拐しているから、あり得ない話じゃない。

 何か引っ掛かる所もあるけど、とりあえずこの内容を明日みんなに報告してみよう。

 精神的に疲労したわたしはベッドに体を預けると、そのまま眠ってしまった。

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