カラオケ店にて

 田山の名前を伝えて部屋に案内されると、死んだ玉木を除いて全員が揃っていた。昨日の楽しかった様子とは打って変わって、暗く落ち込んでいる。

「クソッ、どうして玉木が死んでるんだよ」

「ううっ。玉木……」

 悲痛な声で呟いたり、涙を流して悲しんでいる人もいた。

「ねえ、確認したいんだけど、玉木って頭を拳銃で撃たれているんだよね」

「そうだな。拳銃はどこにも無くって犯人もまだ捕まってないって話だな」

「玉木を撃った拳銃って、仮面の男を殺した物と同じじゃないの?」

「え? どうしてそう考えるんですか?」

 田山の言葉に羽間が尋ねる。

「仮面の男が撃った拳銃も消えていて、あれからどこ探しても見つからなかった。わたしたちの探しようが悪かったのかと思ったけど、ニュースやSNSを見ても行方が分からないままだった」

「確かに仮面の男を殺した犯人も、凶器の拳銃が見つかってないですね」

「そう。もしかして仮面の男を殺した犯人が玉木を殺したんじゃないの? 殺し方だって同じだし」

 田山の発言に中川が疑問をぶつける。

「もし、犯人が同じだとして、何で玉木を殺したんだ? 仮面の男が殺されたのは仲間割れだろ?」

「それはわたしたちの推測でしょ? もしかしたら、仮面の男を違う目的で殺したのかもしれない。その目的次第では、次はわたしたちが殺されるかも……」

 田山の言葉にわたしの背筋に悪寒が走る。殺される? どうして?

 そんな事しか考えられない。だって殺される心当たりがないし、意味が分からない。

「そんな訳ないじゃん。田山、考えすぎー」

 田山の怯える声とは対照的に石井がケラケラと笑いながら言う。

「どうしてそんなに楽観的なの?」

「たまたまかもしれないじゃん。それこそ模倣犯? みたいな奴が玉木を襲ったのかもしれないし」

 睨みつける田山の視線に臆する事なく、石井があっけらかんと言う。

「確かに主催者の死因もニュースに公表されていますから、その可能性もあるかもしれません」

「でしょう? 玉木、ヤンチャしていたみたいだし、誰かに恨まれていて殺されたのかもしれない」

「そう、なのかな?」

「そんなに気になるなら、誰かと一緒にいればいいじゃん」

 田山は良い案かと思ったのか、しばらく考える素振りをすると、パチリとわたしと目が合った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る