拳銃の行方
「本当だ、何で……?」
「まさか、だれかが仮面の男から奪い取っているとか?」
「いやいや、奪うなんて出来なかったぞ⁉︎ 部屋に入った途端、扉が閉まって出られなくなったんだから!」
「そうよね、タイマーが付いててカウントがゼロにならないと開かなかったし……」
互いが互いを怪しむ状況に、羽間が恐る恐る手を上げる。
「あの、全員で一人一人の部屋を見てから、同性同士で身体検査をすれば疑いが晴れるんじゃないですか?」
「なるほど、元々部屋を使っていた人は部屋の外で待ってもらい、他の人が探せば良いですね」
「他に案もないし、いいんじゃないか?」
「では、手前から順に調べていきましょう」
植本の合図でわたしたちは各部屋の捜索をした。他の人の部屋もわたしの部屋と変わらず、捜索したけど特に変わった物はなかった。
「空き部屋が怪しいと思ったけど、なかったね」
「次は身体検査か? 受ける奴以外の全員の同性が触れば不正は出ないだろう」
「何? 疑ってるの?」
玉木の言葉に田山がジロリと睨みつける。
「一人だと探し損ねる場合を言っただけだ」
「そう」
玉木が舌打ちをして返すと、田山は視線を外した。
「じゃあ始めるよ」
それから男女二手に分かれてそれぞれの部屋に入り、次々と身体を触ったり触られたりして身体検査を行ったが、何も出てこなかった。わたし自身に出ることはないのが当然として、他の女子からも怪しい挙動も共犯して隠しているようには見えなかった。
「男側は何も出なかったが、そっちはどうだ?」
「こっちも拳銃どころか何も出なかったよー」
中川の言葉に石井が返事をする。
「ねえ、仮面の男を殺したのって、デスゲーム側の人間って可能性はないの?」
「どういうこと?」
田山の疑問にわたしが尋ねる。
「拳銃はないけど、仮面の男が死んでいる。わたしたちは誰も殺していないし、そもそも武器を持っていない。仲間割れなんかして殺されたんじゃないの?」
「その仲間はどうして殺したの?」
「そんなの知らないわよ」
言うだけ言ってそっぽを向く田山に中川が面倒臭そうに頭を掻いた。
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