真実

「お前なんでそんな驚いてんの?あっ、かくれんぼで見つかったのがよっぽど悔しい?だってお前子供の時から隠れる場所定番すぎんだもん。もっと頭使ったほうが」そう、何事もないかのように話し続ける洋治をはじめはさえぎった。

「ちょ待て待て待て。違う、そうじゃない。お前、なんでここにいんの?」

「何言ってるの?かくれんぼしてて探しに来たんじゃん」

「そうじゃなくて!!!お前、この世にもう、、、」

「?、、、あっ、もしかして俺の体見つけてくれた?ちょっとライトで照らして!」

「え?」

「いいから早く!!」

「、、、うん」言われるがままにはじめはライトで照らした。すると

「あったー!うわーマジでよかった。しぬかとおもったー」そう言って、横たわっている洋治の周りをもう一人の洋治がうれしそうに回っている。

「は?」はじめは混乱した。すると、ひとしきり喜び終わった洋治が、思い出したようにはじめを見ていった。

「あ、俺今幽体離脱してんだわ」

「は?えっ?はっ?それは生きてんの?」

「おう、ばりばり生存中だよ。あ、もしかして死んでると思った?」

「いや、それは、思うだろ!てかなに、どゆこと?説明して?」

「いま俺幽体離脱してて」

「待て待て待て、そこがすでに分かんねえんだよ」

「あ、えっと、幽体離脱っていうのは魂が体から」

「それは分かるわ!そうじゃなくて、なんで幽体離脱してん?」

「ああ、それは、どっから話そう。えっと、俺さ、年に一度ノリで行動したくなる日があるって言ったじゃん。そんで、なんか幽体離脱したいなーってなって」

「だからなんで?!」

「ん?だって幽体離脱したら無料でいろんなとこ行けるじゃん」

「いや、リスクのほうが圧倒的に高いだろ、それ」

「それに、いろんな価値観得られそうだし面白いかなーって」

「いや、だからってなんで幽体離脱なんだよ。お前相変わらず考え方ぶっ飛びすぎ」

「そーかな」

「そーだよ。なんか幽体離脱したいなーって普通なんないわ」

「それでさ」

「話続けんのかよ」

「続き聞きたくないの?」

「いや聞くけど、、、」

「それで、幽体離脱の方法探してたら山奥で幽体離脱教えてるプロがいるって聞いて、行ってきたわけ」

「お前それよくいくな」

「だって、お金とか一切取らずに、草と交換で教えてくれたんだぜ。良心的だろ」

「いや、そーいう問題じゃなくて。てか草って何?」

「ん?なんか昔テキトーに引っ込手抜いてきた草が珍しい奴だったみたいで、それと交換で教えてくれたんだよ」

「お前、突っ込みどころ多すぎんだろ。まあいいや。それで?」

「それで、幽体離脱の方法教えてもらって、いざやろう!ってなったんだけど、東京でやるのちょっと怖いなーって」

「なんで?」

「だって、霊感ある人多そうじゃん。人口多いし」

「あー、うん、なるほど?それで、こっち戻ってきてやったわけ?」

「そーそー。でもさ、やっぱ人に見つかったらまずいかなって思って、あらかじめ人目につかないような場所に行って幽体離脱したん」

「んで?」

「そしたら、思ったよりここ暗くて自分の体どこにあるかわかんなくなちゃって。もの触れないからライトも使えないし、手探りもできないし」

「お前それ、バカすぎん?」

「いやだって、こうなると思わないじゃん。それで、そーいえばはじめが今おまわりさんやってるなーって思って相談に行ったわけ」

「いや、その状況、あの言葉だけじゃ絶対分かんねえわ。お前ちゃんと説明しろよ」

「いや、いきなり俺の本体探してーって言っても混乱させるだけかなーと思って」

「この状況でもかなり混乱してるよ?」

「俺だってなんていうか困ったんだよ。自分探してますって言ったら案の定やばい奴見る目で見られたし」

「そりゃそーだろ」

「それで、とりあえずはじめをここに連れてこよーと思って」

「あー、それでお前頑なにここ来たがってたんだ。あっ、もしかして、かくれんぼしよーつったのも俺がここに隠れること見越して?」

「いや、みーつけたってタッチするときに俺の手がお前の体すり抜けるはずだからその時に説明しようと思って」

「いや、その方法ならわざわざかくれんぼじゃなくても「ごみついてる」とか言ってテキトーに俺の体触ればよかったじゃん」

「あっ」

「あっ、じゃなくて。いや、ほんでお前早く体戻んなくていいのかよ。わかんないけど、タイムリミットとかないの?」

「あー、じゃあ戻るわ」そう言って2人の洋治がかぶさると、次の瞬間、倒れていた洋治が起き上がった。

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