かくれんぼ

「はじめさあ、今人生エンジョイしてる?」

「さっきからおまえどうしたん?」

「ちょっと聞いてみたかっただけ」

「、、、お前こそどうなんだよ。東京行って好きなことやってんじゃないの」

「うーん、そうなんだけどさ、俺がやりたかったのってホントにこれなのかーって」

「なんか青いな」

「そう、まじでこの年にもなって中学生的な悩みなんだけどさ」

「ふーん。まあ、そういわれてみると俺もそうかもな。てかお前よく俺の昔の夢とか覚えてたな」

「いやだって、幼稚園の頃の夢がビルとかおもろすぎんだろ。もはや人間でもないじゃん」

「仕方ねーだろ、幼稚園児だったんだし。そーいうおまえはどうだったんだよ。お前もどうせ某人気キャラクターになりたいとかじゃなかったの?」

「ちげーよ。将棋のプロ」

「あー、そういえばお前将棋できたんだよな」

「じいちゃんが好きで」

「そっかー。今もやってんの」

「今ほとんどできてない。仕事忙しいし」

「まあそういうもんだよなー」

「俺さ、だんだん自分の好きだったこととか夢とか薄れってってるような感じすんだよな」

「まあ、分からんでもないけど。でもさ、お前は東京出てったんだからまあまあ自分の心に忠実な方なんじゃないの?」

「うーん。あれは、自分に忠実というかノリだな。年に一回くらい、なんも考えないでノリで行動したくなる日が来るんだよ。というかさ、はじめは何でおまわりさんになったの?」

「それがさ」思い出せないんだよな、とは言えなかった。さっきまで青臭いと思っていた親友と、結局同じ位置に自分がいることをなぜか認めたくなかった。

「うん、まあ。そんなことよりあれだよお前。来たがってた神社の裏手までついたぞ。いったい何するん?」都合よく、目的地に着いたこともあって、はじめは話をそらした。

「おー、着いた着いた。久しぶりにさ、あそぼーぜ」

「は?」

「よくここでかくれんぼとかしたじゃん」

「したけど」

「じゃあ、おれが鬼やるからはじめ隠れて」

「いやちょっと待てよ」

「1,2,ほら10秒数え終わっちゃうよ?3,4」

「強引すぎん?」仕方なく、はじめは適当な場所を探し始めた。

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