第2話
ということで、机の上にぐでーっと伸びながらうんうん唸ってると、前の席にいた男子生徒が声をかけてきた。
「あ、あの・・・・・・大丈夫かな三条さん。体調悪いなら保健室とか行ったほうが・・・・・・・・」
その声に顔を上げると、イケメンが目に入った。髪の毛が白色の線の細い爽やか系イケメンだ。めちゃくちゃモテそうな爽やか系イケメンが俺の顔を覗きこんでいる。
いや近い近い何?
「ちょ、顔近い」
「えっ!?あ、ご、ごめん!」
「いや別にそんな慌てなくてもいいけど・・・・・・ていうか誰?」
「え・・・・・・・住山青(すみやまあお)だよ・・・・・・入学してからずっと君の前の席にいる、住山青だよ・・・・・・・」
「あー、そっかそっか。ごめん、忘れてた」
「あ、忘れてたんだ・・・・・・・。うん、そっか・・・・・・いや大丈夫だよ、全然大丈夫だから・・・・・・・」
なんかショック受けてるな。
どうやらコイツは俺のことを心配して声をかけてきたらしい。
「ああ、別に体調悪いとかじゃないから大丈夫だよ。ただちょっと悩んでることがあってね」
「悩んでること・・・・・・?珍しいね、三条さんにも悩みなんてあるんだ」
「まるでお・・・・・・私が普段何も考えてないみたいな言い方じゃん」
「い、いやいやそんなつもりじゃ!ただいつも明るい三条さんが悩んでるなんて珍しいなって思って・・・・・・・何か僕にできる事があるならなんでもするよ?」
そう言われて、俺はじっと住山とかいうイケメンを見やる。ちょっとなんか上目遣いみたいな感じになってるかもしれないけど、まあいいか。
俺に見つめられた住山はなぜか顔を赤くして目を逸らした。・・・・・・なんで照れてんだコイツ。
「なんか住山は役に立たなそうだからいいや」
「えっ、あっ、そっかぁ・・・・・・・・」
なんかまたショックを受けてる。よくショックを受けるね、住山は。
と、そんなことをやってると先生が来て朝のホームルームが始まったので、会話を切り上げて姿勢を正した。
ホームルームが終わって、一時間目が始まっても、俺はどうしたら彼女に話しかけられるかの方法について考えていた。
◇
そんなことを考えてたらもう放課後になっちゃった。
今日一日授業をおろそかにして考えたけど、やっぱり勇気を出して声をかけるしかないんじゃないか。
よし、声をかけてみよう。
そう決意すると俺は早速教室を出ると、翠蓮院さんのクラスへと向かった。思い立ったが吉日だ。
帰ろうとする生徒たちを掻き分けてずんずん廊下を進んでいくと、ちょうど下校する翠蓮院さんとその取り巻きが前方から歩いてくるのが見えた。
あっ、急に!?いやいやちょっと待ってくれまだ心の準備が!と、とりあえず深呼吸させて!
すーはー、すーはー・・・・・・・。
よし、行くぞ・・・・・・!この三週間ずっとこんな感じで決心して結局話しかけられずに遠くから見守るだけになっちゃったけど、今日こそ・・・・・・・!何度目かの正直だ!
と、俺がいよいよ決心をして話しかけようとしたその瞬間、横からにゅっと生えてきた話したこともない男が、急に俺と翠蓮院さんの間に割り込んできた。
「あ、あのっ!三条さん!ちょっといいかな!?」
・・・・・・・
ああ、近くの教室から飛び出してきたのか・・・・・・・。
「あっ、三条さん何その目!俺興奮しちゃう!」
俺が非難の視線を送ると、なぜかゾクゾクしだすこのキモい男子生徒は、どうやら俺に用があるらしい。ついてきてほしいと言われた。
仕方ない。ひじょーに不本意だけどついていくことにしよう。
うん・・・・・・もう今ので完全に勇気が挫けちゃったから仕方ない。仕方ないね。
くだらない用事だったらギッタギタにしよう。
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