第2話 賞金額から見えてきた事
(注)ここに書いてある事は、あくまでも私の推測であり、事実かどうかは分からない前提でお読み下さい。
前話ではIP争奪戦の話をしましたが、その獲得手法が、日本と韓国では大きく異なります。
日本は、一言でいうとセコい!です。
あるコンテストを例に説明しますと、大賞100万円はゼロ、優秀賞50万円は2作品、佳作は10作品。
ここで問題なのは佳作です。賞金なしだけど書籍化できるという事です。
作家は書籍化という言葉に飛び付き、悪い条件で契約を結んだが最後、初版50万円、上手くいけば増版200万円で打切りですが、出版社の方はIPを獲得できる訳で、その作品がトントンであれば良い訳です。利益が出ればラッキーという程度です。
優秀賞以上は、賞金を回収する為に、宣伝や校正、絵師に力を入れると思いますが……。
それに対して、太っ腹のピッコマ。正確には太っ腹では無く、韓国国内ベースの300〜1000万円の賞金を日本でも同額で提示しているに過ぎません。
ここで、ライトノベルに関する書籍の売上を電子書籍が上回ったとネットに書いてありましたが、これが意味する所は、今までの成功パターンの崩壊です。
日本の今までの成功パターンは、書籍化→漫画化→アニメ化→増版であり、作家は増版で恩恵を受けていましたが、書籍が売れない以上、増版の恩恵に預かれません。
つまり、漫画家とアニメ制作会社だけが儲かり、作家の儲けが少なくなるという構図が想像できます。
でも、電子書籍があるじゃないかと言いたい所ですが、単価が安く出来高制の為に、利益は更に少ない物になります。
では、どうすれば良いのか? そして、どうなっていくのか?
当然ですが、印税率の見直しです。特に漫画とアニメの!
ピッコマでいえば、メディアミックスの考え方を取り入れており、印税率は高いと書いてありました。
それと同時に、薄利を補う為にパイの拡大が必要になります。最も大きな市場である中国、そして近代化著しく娯楽にもお金を出し始めた東南アジア。多くの日本の企業が進出しており、欧米よりも馴染み易い市場です。
彼らの文化には書籍の漫画というものが無いらしく、主戦場は電子書籍になる訳ですが、小説の翻訳は万能ではない為、簡単に翻訳できる電子の漫画、ウェブトゥーンが必要になってきます。
そして、ウェブトゥーンの先駆者である韓国は、その市場を狙って、質の高い日本作品のIPをせっせと獲得している訳です。
だけど、日本勢も負けてはいません。角川だって東南アジアに拠点を作ろうと頑張っています。同時にウェブトゥーンにも力を入れ始めました。
もっとも、日本には最強武器のアニメがありますから、動画分野では圧勝ですが、それが作家に還元されるかというと疑問です。
ちなみに中国の会社は、国内の市場だけで満足しており、作品の質を高める為に韓国の会社に投資をしているだけだとか。
現時点では、日本勢と韓国勢のどちらに軍配が上がるのかは分かりませんが、勝利のカギとなるのが、作家の扱い方ではないかと思います。
使い捨てにするのか、有効活用するのか、当然ですが儲かる方に作家は流れていくのですが、過渡期の今はどちらが作家にとって儲かるのかがハッキリしていません。
あと1年経てば明確になってくると私は見ていますが、さてどうなりますかね?
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