エースはまだ自分の限界を知らない［第十部B］新・白い軌跡

第88話 ドラフトまでの日々

　甲子園では準決勝で敗退した帝都一だが、その上位校だけで行われる国体においては、見事に優勝している。

　これは強豪校であっても、秋季大会と日程が重なる場合があるため、三年生のみでのチームを作る場合があるからだ。

　司朗はここでも、ホームランを打っては勝利打点も手にし、高打率をキープして盗塁も記録した。

　巧打者や強打者と言うよりは、好打者と言った方がいいだろう。

　バッティングのスタイルで言うならば、悟が近いのだろうか。

　バットコントロールの上手さなどは、織田のようなところもある。

　ただ読心能力という、完全にチートな力。

　もっとも高校野球レベルだと、むしろこれが通用しなかったりする。

　狙ったところにしっかりと、投げるのは難しいのだ。

　プロの世界の方が、むしろ役に立ちそうな能力。

　昇馬でさえもこれを完全に、抑えることなどは出来なかった。

　もちろんこの特殊能力以前に、司朗は優れた選手ではある。

　でなければ読んでも意味のないピッチャーからは、打てないということになってしまう。

　そもそも優れたバッターは、ピッチャーのフォームのわずかな違いから、球種ぐらいは読み取るものなのだ。

　地元の東京では、伯父である直史とは、どうしても対戦したいと言っている。

　なのでレックスに対しては、断る方向で話が進んでいる。

　今のレックスはセンターのバッティングが弱く、守備力でスタメンに入っている。

　ここにまで打撃力のある選手を入れたい、というのは普通の話なのだ。

　あるいはレフトやライトに入れるか、という構想も出てくる。

　得点の決定力不足のレックスは、打点の多い司朗のようなバッターは、本当は一番ほしいのだ。

　出来ればセ・リーグという意向は伝えてある。

　直史と実戦で対決したい、というバッターは毎年、普通に入ってきているのだ。

　だがパ・リーグでも公式戦で、ほぼ完封されて終わってしまう。

　去年の日本シリーズなども、直史の力で勝ったと言えなくもない。

　しかし打撃タイトルなどの話なら、大介や悟はもう引退間近。

　パ・リーグでタイトル争いをする必要もない。

　カップスが完全に、一位指名で行くというニュースが出る。

　こういった事前の情報というのは、球団の編成から出る牽制であったりする。

　個人のスカウトが記者などとつながっていて、色々な情報を出して考えることを多くする。

　今年の期待株一番であるのは間違いないが、大学では普通に上位指名されそうなピッチャーもいる。

　ライガースなどは司朗を取れれば、夢のような一番二番の打線も作れるだろう。

　絶対的なピッチャーがいるなら、たとえばこれが来年のドラフトもいるなら、将典などを取っていったであろう。

　もっとも将典は上杉の息子である。

　入るとしたらスターズが第一志望になるのでは、という見方が今からされていたりする。

　来年ドラフトが回ってくる今の二年生ピッチャーは、既に１５０ｋｍ/ｈのストレートを投げてくる。

　昇馬や将典以外にも、いいピッチャーがたくさんいる年代。

　同時にバッティングも優れているので、どちらで獲得するか迷ったりもする。

　もちろん基本的には、ピッチャーで獲得するのであろうが。

　昇馬などはそれこそ、投げない時はDH、という使い方が出来そうだ。

　上杉もプロ入り初年度は、ピッチャーなのに七本もホームランを打っていたのだから。

　司朗は色々と学校でも、どのチームに行きたいかは聞かれるのだ。

　今の情勢であるとやはり、セ・リーグのチームを期待してしまう。

　レギュラーシーズンの中で、父や直史とどれだけ対戦出来るか。

　武史は今年など、シーズンの半分ほども休んでしまったため、もう選手寿命も尽きかけているのだ、と思われてしまう。

　自分の能力が直史相手には、どれだけ通用するのか。

　ただセ・リーグであってもフェニックスは、チーム状態が悪すぎてあまり行きたくはなかったりする。

　やはりカップスあたりがいいのであろうか。

　あそこはポスティングでも、普通に選手を出して行く。

　FA移籍も多いチームだが、選手の層は若手が多い。

　そういったチームの戦力で、今年はAクラスに入ったのだ。

　一年目から一軍出場、しかもスタメンということを考えると、どのチームがいいのか。

　とにかく外国人やFAなどで、打撃枠を埋めてしまうタイタンズ。

　しかしスタメンは高年齢化しているので、チャンスは充分にあるかもしれない。

　高卒野手というのは、戦力化されるまでに時間がかかるものである。

　だが司朗のようなタイプは、即戦力の上に伸び代まである、と評価されている。

　パ・リーグも拒否されているわけではない。

　福岡が司朗の要望に、応えるかどうかは微妙なところだが。

　内心で行きたくないなと思っているのは、フェニックスの他にはジャガースである。

　今年のパの最下位球団であり、かつての栄華も今は夢、といったところだろう。

　勝利を目指さないチームにはいたくない。

　プロであるからには、自分の技量を高めて行く必要はあるのだ。

　そしてより高みに登るためには、勝利を目指していく必要がある。

（ライガースかカップスかな）

　勝利を目指す以外にも、応援によってモチベーションを高める。

　するとその二球団が候補になるのだ。

　パのチームにしても、悪い選択ではない。

　だが直史と公式戦で戦いたいのは本当なのだ。

　父の武史ならば、パワーピッチャーはMLBにそこそこ集まっている。

　１７０ｋｍ/ｈ近いストレートを投げるピッチャーは、既に数人いるのだ。

　ただそういったピッチャーであっても、直史のような実績は残せない。

　最速のピッチャーではないが、最高のピッチャーではある。

　そんな直史と対決するということ。

　ぎりぎり現役に間に合いそうなのだ。

　もちろんこれは一年目から、いきなり自分が一軍スタメンに入ることが条件であるが。

　プロに入る方向で進めていて、もしも契約が折り合わなければアメリカへ。

　そんな司朗は今も、トレーニングを続けている。

　合同自主トレから体を作っていては、それでは遅いのだ。

　三ヶ月ほども時間があるならば、さらにパワーアップすることが出来る。

　もちろんパワーだけではなく、動作の精密性も重要だ。

　母校の練習に混ぜてもらいながらも、フィジカルを鍛えるのは外部でやっていたりする。

　アマチュアとプロの最大の違いは基礎体力。

　体力さえあればとりあえず、プロのシーズンで戦える。

　逆に言うと体力がないうちは、まだまだプロでは戦えないということだ。

　高校時代も確かに、土日は多くが練習試合となっていた。

　だがプロは週に六日ほども、試合を行っているのだ。

　この違いを埋めるために、基礎体力を向上させるしかない。

　もちろんプロの世界では、凡打のバッターが一塁にダッシュしないなど、体力を温存したプレイはある。

　ただ試合時間の長さも考えて、適応していかなければいけない。

　タイタンズなどに下手に入ってしまえば、打てる外野が多いため、一軍に上がるのに一年かかるかもしれない。

　福岡にしてもそれは、同じようなことが言えるだろう。

　新人の合同自主トレの段階から、圧倒的な差を見せ付ける。

　分かりやすいのはバッティングであるが、守備範囲と肩も見せ付ける必要はあるだろう。

　どのチームであっても、キャンプ入りには一軍帯同を目的とする。

　打線にまだまだ不安があるという、そんなチームに入りたいものだ。

　ただ今年のドラフトは、高卒に限らず大卒や社会人も、比較的投手の出物は少ない。

　全くいないというわけではないが、一位指名で確実に取りたいというピッチャーは、一人ぐらいであろうか。

　それと野手の司朗の間で、ある程度は指名が割れるだろう。

　しかしピッチャーが足りないというのは、どのチームもずっと言われることだ。

　今は足りていても、将来的には不足する。

　だから獲得して行くというのは、レックスなどにしても同じなのだ。

　直史も来年は４３歳のシーズン。

　あと何年、今のクオリティを保っていられるか。

　１０勝１０敗のピッチャーであっても、ローテを守れるならそれは充分な戦力。

　ただし直史にそれを期待するならば、若手に機会を与えるだろう。

　チームは新陳代謝を繰り返し、若返りを果たさなければいけない。

　直史は年齢を考えれば、主力であることが選手生活を続ける条件。

　もっとも直史自身は、そこまでの執着をもう、プロ野球には持っていない。

　大介が引退するまでは、付き合う気があるらしい。

　直史の復帰に合わせて、アメリカから戻ってきた大介。

　残り少ない現役生活を、直史と戦うために捧げている。

　MLBは世界から才能が集まるのだから、あちらはあちらで毎年新しく、面白いピッチャーが出てくるであろうに。

　司朗はそんな二人の、最後の輝きを継承することになるのだろうか。

　その秘密が公開されてからこちら、世間の注目もより集まるようになってきたのだ。

　　今年も１２球団総合ドラフトスレ part84

411　代打名無し＠実況は野球ch板で

　衝撃の情報公開から二日でやっと落ち着いてきたか

　どこのチームに行くのかが気になる

412　代打名無し＠実況は野球ch板で

　発言から見るに福岡だけはないという感じかな

　しかし駄目なら野球浪人って金持ってるやつは違うなあ

413　代打名無し＠実況は野球ch板で

　昔はタイタンズに入れなくて一年棒に振った選手もそこそこいたからな

414　代打名無し＠実況は野球ch板で

　昔はFAもなかったからな

　球団の年俸格差もあったし仕方がないところはある

415　代打名無し＠実況は野球ch板で

　１２球団一位指名なるか？

416　代打名無し＠実況は野球ch板で

　他の一位指名となると東名大の久世かあ

417　代打名無し＠実況は野球ch板で

　ピッチャーほしいチームは久世やろ

　即戦力の大卒ピッチャーだし

418　代打名無し＠実況は野球ch板で

　つーか神埼は即戦力で通用するのか？

　昔から高卒でも即戦力とかいう選手はいたけど野手は意外と時間がかかるぞ

419　代打名無し＠実況は野球ch板で

　それこそ白石の血統が発揮されるんじゃね？

420　代打名無し＠実況は野球ch板で

　上杉と白石でも１２球団はなかったからな

421　代打名無し＠実況は野球ch板で

　白石の嫁の甥だから白石とは血縁じゃねえぞ

　これ何回言った？

422　代打名無し＠実況は野球ch板で

　まあ小サトーの息子ではあるわけだ

423　代打名無し＠実況は野球ch板で

　ピッチャーじゃないからなあ

　甲子園でも投げてたけど外野が本職で間違いないよな？

424　代打名無し＠実況は野球ch板で

　帝都一じゃなかったら普通にエースで四番だったと思う

　１５０ｋｍ/ｈは出てたしピッチャー適性も高いのは間違いない

425　代打名無し＠実況は野球ch板で

　ピッチャーでは使わんだろ

　今のピッチャーは地方でも普通に高校の１５０ｋｍ/ｈオーバーいるし

426　代打名無し＠実況は野球ch板で

　つーか外野の守備力がめっちゃ高いからな

　センターを守らせても充分な能力持ってる

427　代打名無し＠実況は野球ch板で

　盗塁も決めてたからなあ

　長打力もあるっていうだけで本質的にはスラッガーじゃないと思うの

　四番ではなく一番がいいような

428　代打名無し＠実況は野球ch板で

　ライガースでKS砲になるの見てみたい

429　代打名無し＠実況は野球ch板で

　四番じゃなくて一番ってのは充分にありうる使い方だな

　それを言うなら二番ってのがいいんじゃね？

　白石が二番を打ってて結果を残せてるんだし

430　代打名無し＠実況は野球ch板で

　まあいきなり四番っていうのはまずないだろ

　それでも一番か二番に置いて走力を活かすことはあるかもしれんけど

431　代打名無し＠実況は野球ch板で

　ドラフトどうなるのかなあ