第22話魔法で大事なこと
馬車での帰り道、お父様に魔法について教えていただいたわ。
なんとこの世界、得意不得意はあるが、個人の適性という意味での属性はないらしく、魔力があればどんな魔法でも使えるらしい。ちなみに魔力がない人もいるようだ。
つまり、火をおこしたいときには、火が付くイメージに魔力を乗せることで、魔法を展開できるらしい。
転移魔法でいえば、実際に行きたい場所を限りなく鮮明にイメージすることが大事で、実際に転移魔法を使える人と何度か転移することで取得が比較的スムーズになるとのこと。しかし、転移魔法のような上級魔法ほど、魔力を大量に使うそうで、さらに、うまくイメージができなかったり、集中できなかったりすると、転移途中で、目的地以外の場所に落ちてしまうそうだ。実際に魔獣の群れの中だったり川の上だったりいったということもあったらしい。
どこで体がばらばらに…じゃなくてよかったけど、怖いわね。
とにかく、「イメージ力、経験・体験値、魔力」この3つがポイントが大事だということよね。恋愛ゲームだからかしら。魔法に関しての設定はゆるゆるね。
「ちなみに、シュナイダー辺境伯は、転移魔法ができる。辺境伯領から我が領地までの距離なら余裕だそうだ。まあ、失敗して魔獣の群れに落ちても平気だろうがな。ははは。」
どおりで!北に位置する領地とはいえ、他県並みに遠いのに、ノエル様が毎日会いに来てくださるから不思議に思っていたのよね。
お父様は、常に同時進行でいろいろなことを考えることが多いので、一点集中のイメージが大事な転移魔法は向かず諦めていたそうだが、今回辺境伯様に協力していただいて、短い距離なら可能になったと。
有言実行のお父様、心を揺さぶられますわ。さすがです。
「ねえ、おとうさま?わたしも、まほうのれんしゅうできますか?」
「そうだな。6歳になったらアリーも神殿で魔力量を調べることになる。もしよい結果が出たら、ユーグと一緒に教育を受けるといい。大丈夫だ。私とレティの子だから、きっと魔力があるはずだ。なくても、私が何でもしてあげるから問題ないのだぞ?」
「それならだいじょうぶですわ。わたくし、ぼうだいなまりょくがあります・・か・・ら。」
しまった!!
「膨大な魔力だと?」
あわわわわ。お父様のこめかみに青筋が。どうすればいいの?なぜわかったのだと問われたら。前世の記憶なんて言えないわ。美形が怒ると怖いわね。がくがくぶるぶるよ。
「…王宮で勝手に調べたのか?…私の許可なく…1年すら待てないとは、あのやろう…」
あれ?怒りの矛先が違うわね。そうよ、王宮が悪いの、お父様、ぜーんぶ王宮のせいよ。きょとん顔でごまかすわ。
「…膨大な魔力があるというのなら、きちんとした知識がないと危険だな。アリー、この話は帰ってからまたしよう。」
な、なんとかなった?今、色々聞かれたら、余計なことまで言いそうだわ。お父様の胸に顔をうずめて目が合わないようにしないと。ひぃーーーお父様の鼓動が早い。お、お怒りなのね。…よし、寝るわ。墓穴を掘る前に意識を手放しましょう。面倒なことは、後回しよ。目覚めた私、頑張って!
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