第17話試行錯誤
…牛乳パックがないわ。
この世界、トイレは水洗だし、なんと、トイレットペーパーまであるから、なんとなく勝手にあると思っていたわ、牛乳パック。
昔、自由研究でやったのよ。再生紙づくり。再生紙=牛乳パックでしょ。
牛乳瓶かあ。盲点だったわ。また、振りだしね。
まって、お兄様、紙に手紙を書いていたじゃない。羊皮紙ではなかったわ。
書き損じ!お父様のところにたくさんないかしら?
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「おとうさま、おしごとちゅう、ちょっとよろしいですか?」
「アリー!大丈夫だよ。さあ、ここにおいで。」
お膝の上でしょうか?
「どうしたんだい。何かお願いかな?」
「ええ、じつは、もしありましたら、かきそんじたかみを、いただけないかとおもいまして。」
「紙かい?こういうのでいいのかな?」
ふむふむ、おっ!きちんとパルプ紙っぽいですわね。ヨーロッパでは、ボロきれなどを原料に紙を作っていたと聞いたことがあったけど、これなら…。
「これでだいじょうぶですわ!たくさんいただけます?」
「ああ、そうだな。セルジュ、アリーが見ても大丈夫そうなものを選んでやってくれ。さあ、私の天使。何に使うのか教えてくれるかな?」
「ふふふ、これは、おとうさまにも、ないしょですわ。」
上手くいかないかもしれないしね。
「そうなのかい。秘密のあるレディも素敵だが、そうだな、すこし寂しいな。」
…愁いを帯びた笑み。お父様、私、絶対成功させますわ。
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大変よ。もうすでに行き詰ったわ。
紙を小さくちぎって水に入れ、ミキサーに入れたいのだけれど、ミキサーがない…。
もっと細かくちぎる?お湯にしたらほぐれるかしら。
「お嬢様、その不思議な物体はなんです?」
不思議な物体!?よね…。
「ボニー、かみをね、みずにとけるくらい、こまかくほぐしたいの。どろどろにね。」
「はあ、なぜそのようなことを?あーでも、ジルならできると思いますよ。」
ジルとな?
「ほら、お嬢様の大好きなソルベを作っているシェフのジルですよ。果物を細かく砕いて液状にするのと同じですよね。それでしたら、ジルの魔法できっとできます。ちょっと行ってきますから、お待ちくださいね。」
魔法?そうだった。魔法がある世界だったわ。わお、魔法というマジックで大抵のことは何でもできそうじゃない。
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結果…できたわ!後でジルにお礼を言わなきゃ。
よし、これを容器に入れて、作っておいた押し花を乗せる、と。
いいわ。順調よ。水を切って乾かしたら完成ね。
「ボニーあなた、これ、まほうでかわかすことってできるかしら。」
なーんて。
「できますよ。お嬢様の髪を毎日乾かしているのは、誰だと思っているんです?私、生活魔法得意ですから。」
すごいわ!!!ボニー。でもなぜかしら、ドヤっている顔が腹立たしいわね。
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