第15話推しの有力情報
落ち着いて、落ち着くのよアイリーン。深呼吸よ。
すぅ―――はぁ――――――
よし、悔しがっている場合じゃないわ。
ボニーが言っていたじゃない。お兄様とノエル様は交流があったと思う、と。
あー失敗したわ。お父様を待たずとも、お兄様から、ノエル様のことを聞けたのではないの。お手紙のやり取りをなさっているのなら、なおのこと…。あー、己の愚かさが、悔やまれる。人生は短いというのに。
でも、待つのよ。ここは慎重にならないと。ノエル様を無意識に連呼して、あのボニーにすら怪訝な顔をされたじゃない。お兄様はともかく、お父様には、すぐ怪しまれてしまうわ。
ここは、当たり障りのない会話から情報を引き出すことにしましょう。
「ねえ、おとうさま、ノエルさまとは、どなたです?」
…やめてボニー、目をぱちくりさせないで!あなたも一応、子爵家の令嬢でしょ。感情を顔に出してはいけないわ。
「おお、そうか、アリーは会ったことがなかったね。ノエル君は、シュナイダー辺境伯の次男で、ユーグとは年が同じなのだよ。シュナイダー辺境伯領は、我が侯爵領の北に位置していてね。何代も前から、家族ぐるみの付き合いをしている仲なんだ。」
「ノエルとは、なかよしさんなんだぁ」
「ふふ、そうね。ノエル君のお兄様は、年が離れているから、ユーグと会うのを楽しみにしているとシュナイダー辺境伯夫人も言っていたわ。」
くぅ―――ジェラシーですわ、お兄様。
じゃあ、悪役令嬢アイリーン・ノヴァックは、ノエル様のことを学院前から知っていた可能性は高いわね。
ということは、ということはですわよ、私、学院前にノエル様に会える可能性が大ということですわね。
キタ―――(゚∀゚)━━━!!!!これは、何としてでもお父様に領地に連れて行ってもらわなければ!!!
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ああ、とても有意義なディナーだったわ。ノエル様の情報も手に入れたし、いろんな意味でおなかがいっぱいよ。満足、満足。この調子で、どんどん情報を引き出してみせるわ。
「あの~、お嬢様?私、お嬢様にシュナイダー辺境伯令息様のお話をしたような…?お坊ちゃまから聞いたとも…。あれ?」
ボニー、あなたのその問いには、答えてあげないわよ。スルーよ。あら、前もこんなこと思ったわね、デジャブ。
このあいまいな微笑みで察して頂戴。
「???熱で覚えていらっしゃらない?いや、熱は下がった後だったような…。あ、置いて行かないでくださいよー、お嬢様ぁー」
そのまま勘違いと思ってくれたら、みんなが幸せよ、ボニー。
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