第14話お兄様ずるいですわ
「おとうさま、おかえりなさい、アリー、とってもさみしかったですわ!」
御覧になって、この磨き上げたエンジェルスマイル。そして自分を名前呼び。
あのセルジュも胸を押さえてぷるぷるしているわ。ボニーは崩れ落ちているわね。
姿勢を低くして、満面の笑みで両手を広げているお父様。
淑女らしくはないけど、走って全力でお父様に抱き着いたわ。幼女だから許されるでしょう。
ほら、お父様の嬉しそうなこと。両手で私を掲げ、くるくる回りだしたわ。
うふふふ…うっぷ。そろそろ限界を迎えそうよ、お父様…。
「おとうさま、ずっと、おうちにいらっしゃる?」
ノエル様情報。ノエル様情報。
「っ!ああ、もちろんだ。アリーが嫌だといっても、ずっとアリーのそばにいるぞ。」
はじける笑顔のお父様が、ぎゅっとしたまま、今度は頬ずりしだしたわ。
あら、この世界のメンズには、髭がないのかしら。
悔しいくらい、つるつるすべすべじゃない。シミはどこ?
素晴らしいわ、アップに耐えられる顔。
「おとうさま?わたしも、さみしかったのですよ?」
お父様の服の裾をつかんでうつむき、小さくをほっぺを膨らませるお兄様。
くぅー今日も胸がやられてしまったわ。
「おお、ユーグ。お前にも、もちろん会いたかったに決まっている。さあおいで。」
2人まとめて、抱き上げるお父様。この細身の体のどこにそんな力が。
「まあ!お母様だって寂しかったのに、2人ともずるいわ。ふふふ」
そう言いながらも、すごく嬉しそうなお母様。
微笑みあう美男美女、絵になるわー。
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「おとうさま、わたくしのために、いろいろありがとうございます。」
「ん?なんのことかわからないけど、アリーに感謝されると嬉しいね。」
久しぶりの家族そろっての食事で、切り出してみたが、気遣いのできるイケメンは返答もスマートね。
「それより、領地での取引は滞りなく終わったよ。すぐ戻るようアドバイスをくれたアリーのおかげだね。感謝するよ。」
そうでしょう、そうでしょう。きめ細かい迅速な対応、商売の基本よ。…私全然スマートじゃないわね。
あら、お兄様が、お父様を見て、はっとした顔をなさっているわ。
お肉がまだフォークに刺さっておりましてよ。
「そうだ!おとうさま、ノエルに わたしのかいたおてがみ、わたしてくれましたか?」
ノエル二 オテガミ ワタシタ
「ああ、今回私の到着が遅れてしまってね。ノエル君は先に帰ってしまっていたのだが、ユーグの手紙は、きちんとシュナイダー辺境伯に託したよ。」
「おとうさま、ありがとうございます!」
て、て、て、手紙ですって!!!推しへのファンレター。なんてこと!お兄様に先を越されてしまいましたわ!!!
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