第7話お医者様まで美形とは
あの後、再び熱を出してしまったわ。不覚。
体調が悪化したのではなく、ええ…、知恵熱だそうよ。
この年で…。
いや?いいのか?幼児だもの。
そうね、色々考えすぎ、いいえ、驚きすぎたのかもしれないわね。
おろおろと、この世の終わりのような顔をして、慌てふためく私の家族&ボニー
笑うと目じりに皺が寄るダンディー美形なお医者様に
「ゆっくり休む時間を与えるように」
と、くぎを刺されておりましたわ。
自分だけはいいだろうと、しぶとく部屋に残ろうとする家族&ボニーを、無言で部屋の外へ連れ出したお医者様。やるわね。
「頑張り屋さんだから、きっと疲れたのですね。さあ、おやすみなさい。」
ああ、お医者様。なんて素敵なセリフ…疲れ切ったアラサーに染み込む優しさだわ。
きっと若い頃、泣かせた女性は数知れずでしょうね。
いや現在進行形かしら。
この世界、私の心臓がもたないわ。
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レースのカーテンが、風に膨らんでふっくらと揺れるのを見ながら、現状を整理してみることにした。
1.5歳の私 もうすでに、皇太子殿下の婚約者だったわ。チッ・・・
2.ゲームでは、出てこなかった私の家族。予想外に溺愛されているわね。
3.ノエル様に会えるのは、学院入学後。でも、幼少期のノエル様…ぜひ拝謁したい。
4.お父様が言っていた魔法。
あの言い方だと、死ぬ気でやれば転移魔法覚えられそうよね。ふふ。
確か、アイリーン膨大な魔力を持っているはずよ。
ゲームでは魔法を使うシーンはなかったけど、学院の試験項目だったはずだわ。
皇太子殿下は・・・当たり障りのない関係で全然OKよ。
関係良好など目指さない。
だって、浮気をして、私の死を願う男よ。
逆に仲良くなってから裏切られたら、最悪。
問題は、王太子妃教育よね。極限状態になる教育って何?虐待じゃない。
無理無理無理。こちとら、自主性を重んじる教育を受けてきたジャパニーズよ。
詰め込み教育なんて冗談じゃない。のびのび育てて、私を。
これは、激甘な両親に相談ね。潤んだ瞳の練習をしなくては。効果は体験済みよ。
そして、最優先事項。ノエル様。伯爵家の次男なのは、知っているわ。
しかし、悲しきかな、ノエル様はモブなのである。家名は、ゲーム内で一度も出てこなかった…。
しかーし、それがどうした。
ノエル様は同じ世界に存在しているのよ。伯爵家が何十件、何百件、何億件あろうとも探し出して見せる。
そして、このアイリーン、幼少期のノエル様をこの目にしかと焼き付けて見せるわ!!!!
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