第3話許すまじ皇太子
アイリーン・ノヴァック侯爵令嬢
「雨恋」のエドガール皇太子ルートの悪役令嬢である。
白銀の髪にアメジストの瞳、どんな衣装でも着こなしてしまうプロポーションが魅力であり、絶世の美女だ。なんなら、ヒロインよりも人気があり、グッツも多く販売された。膨大な魔力をもち、雨恋のメイン舞台である学院では、常に攻略者たちとトップを争い、優秀な成績を維持し続けた。
5歳の時、皇后主催のお茶会―という名の皇太子の婚約者選定の会で、愛らしい容姿と5歳とは思えない洗練された振る舞いを皇后に気に入られ、見事、婚約者に決定した。
自分の意志などなく、皇后に決められたのが不服だったのか、エドガールは婚約者として当たり障りのない態度しかとらず、逆にアイリーンは、厳しい皇太子妃の教育に耐える極限状態の中で、エドガールへの愛を妄信した。
物語が、動いたのは学院の入学式。ヒロイン男爵令嬢クレアの登場だ。
貴族令嬢としてはあまり類をみない天真爛漫な言動に惹かれていく攻略対象者たち。決して人を悪く言わず、困難に立ち向かっていく健気な姿に庇護欲がそそられる。
皇太子ルートでは、互いに心惹かれあう2人への憎悪をすべてクレアに向けたアイリーンが、嫌がらせだけにとどまらず、命を狙うという事件を起こす。
エドガールは、婚約解消を決め、クレアから遠ざけるためアイリーンを牢へ入れたのち、国外追放しようとしたが、そのアイリーンは策略を練り逃亡を図った。再びクレアの命が狙われることを恐れたエドガールは、自分の護衛騎士であるノエルに殺害を命じる。
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ん?後半おかしくない?
貴族令嬢としてはあまり類をみない天真爛漫な言動?いや、令嬢としてダメでしょ。
皇太子が破棄を決めて、国外追放をする?…国が決めた婚約を…。
護衛が仕事の護衛騎士に処刑人のような仕事を命じる?おい、私のノエル様になにしてくれてんだ。
ないわーないない。物語ではなくなった今、常識的にないわー。
そもそも、皇太子と男爵令嬢の身分の差は、現実問題、どうするのかしら。
物語通りにハッピーエンド?あら?どう乗り越えるのかしら。ちょっと楽しみになってきたわ。
でも当て馬なのよね私、やっぱり嫌だわ。
いや、そんなことよりも、私を殺した後のノエル様。
私を手にかけた罪悪感から、護衛騎士を辞め、辺境の地へ行き、生涯戦いに身を投じるのよね。
それを映像でなく、テロップでの解説で知らされた私。地獄だったわ…
確かに、最後、雨の中、立ちすくむノエル様は最高に美しかった。何度でも脳内再生できる。
でも、そういうことではないのよ。
皇太子ルートじゃなきゃノエル様は動いたりお話したりしないのに、その後の皇太子と男爵令嬢とのあれこれに、ノエル様のお姿はない・・・。
くっ…おのれ皇太子め!!私からノエル様のお姿を奪ったお前の所業、許すまじ。
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