心が疼く!
「フィンリアン・ソラリス、父の乳を見るでない、皆が致知であるように、母の方が綺麗だぞ。あっ、まだ見えないか!ははっ」
「レイヴン、私はフィンを産んだわ。あなたは埋まりましょう。これが平等よ。」
ゆったりとした口調でそんなことをいう美女は、我が母、エレナ・ソラリスである。
マミーエール、表情ひとつ変えずに、ニコニコしながら俺を見つめている。
オッパピー、終始真顔で俺を見続ける。
俺、目を合わせまいと目を瞑る。
顔に、何かが近づいてくるのを感じる。
それに気づいた時にはもう、瞼を開こうとしても開かない。
なぜならこいつらが指で瞼を押さえているからだ。
魔法の才能目覚めないかな、、、この場から離れたいんだけど、、、
この右手がこの意味のわからない状況を壊してくれないかな、、、
右手は、俺を導く。そんな気がする。
どれくらい気絶してたから知らんけど、この世界に導いてくれたのもこいつだしな。
願いを乞うたって、今やこいつは俺を導く光を失い、ただ定期的に痛みだけを誘発してくる。
ああ、泣きそう。
痛いもん、右腕。
痛いもん、眼球。
大袈裟に泣けばやめてくれるよね、?
そんな願いも儚く、沈黙の部屋の中に泣き声が響くだけ、、、
出会いは突然、別れも突然。
オッパピーはベランダに出て風と戯れ始め、マミーエールは買い物をすべく、バックを探し始めた。
俺は実質、恋愛を経験したんだ。
そう考えると、前世も含めて新たな出会いに心踊らされる。
そう思いながら、ドアを開ける母の背を見つめた。
フィンは、他の子共達とは違った。
魔力が微塵も感じられないんだ。
お腹の中にいる子でも、少しくらいは感じられる。
ましてやうちは、英雄を出すほど魔力が高い家系、種族だと言うのに。だから他の子達と自分を比べないように、自らのペースで生きられるように、できるだけエルフ村の遠くの場所に一軒家を建てた。
「またあんたかい、誇り高き、エルフの血を穢そうとする愚か者が」
食料を得るために、エルフの村に訪れるが、こう言われ続ける日々。だけど、私はあの子を守り続ける。誇り高きエルフの血を汚すことになっても。
五年、長くもあり、短くもある年月。
ここまで育った俺だがこの世界の言語は、俺いた日本とは違うことは分かる。
でもなぜか初めから全てを知っていた。
そういう運命であったかのように。
これが、才能か、、、
「マミー、飯!」
「フィン、お腹すいたの?」
「じゃあそろそろお昼ご飯食べよっか!」
ここは家の周りが、木々に囲まれたエルフの村だ。
俺が今分かるのは窓からの風景と本の知識だけ。
外にいる綺麗な妖精たちとイチャコラしたいのに、過保護な両親が俺の右腕を心配して外へ出してくれない。
もうすぐ5歳だってのによ、、、
俺のような天才を内側に残しておくなんて勿体無い!
エルフは、多種族より魔力が多い。
その中でも魔力が高い者は、俺ぐらいの歳で魔法を使い始めるらしい。
たまに炎とかのイメージをしてみたりするけど何も起きない。
まあ今まで例外なしに、エルフというだけで魔力が多いらしい。
俺はエルフの子である時点で勝ち組なのだ。
超絶引きこもり生活をしている俺だが、この世界の本とか童話的な物は英雄やら悪魔といった地球のラノベみたいな物ばかりだから楽しい、憧れとなった者もいる。
エルフの魔法の域を超越した魔法の深淵に最も近しい男と呼ばれた、俺のひいひいじいちゃんに当たる人物だ。
世界を旅しながら様々な種族を救う英雄。
なんかまだ生きてるとか噂があるらしいけど、エルフだからとはいっても流石に嘘っしょ?
この人の影響もあってソラリス家は、エルフの中でも魔力が高い。
いつ俺の魔力が顕現すんだろうな、これからが楽しみだ!
「フィン、一緒にお外行く?」
「行きたい!」
ようやく外に出られると思い、思わず本当に5歳かのように目をキラキラさせて返事をしてしまった。
元から精神年齢が低いとか妹から言われてたが、マジかも知んねえ、、、
扉を開けると、木々の隙間から降り注ぐ光が俺を照らす。
生き生きとした木々の葉が踊り舞う。
鮮やかで広大な自然の中にいるちっぽけな俺。
実に5年ぶりの外か、、、いや初というべきか?
人工的なものも俺の家以外ないし、森ということもあって空気がうまい!
「フィン〜、今日はねぇ、いとこのところに連れて行ってあげるねぇ」
「やったー!」
エルフは、おそらく美男子、美女子ばかりだ。
地球ではそういうふうにに相場が決まっていたし、親も両方超美形!
マミーと左手を繋ぎながら森に吸い込まれるかのように歩いていく。
空や木々の周りには、淡い光を放つ色とりどりのものが飛んでいる。
色とりどりの妖精たちによる光のおかげで、緑色や茶色ばかりの森が喜んでいるように見える。
マミーが急に巨木の前に立ち、手を添える。
「フィン、上見てみて!」
そう言われた俺は、空を見上げる。
そこには、自然と一体化しているかのように感じさせる建物があった。
ツリーハウス!
それに気づいた途端、当たりが輝き始める。
さっきまで周りに居た妖精たちがマミーの周りを囲い始める。
そして足が浮き始める。
「空が俺を呼んでいる」
「あはは」
この母親嘘でも目ぐらい笑えよ!
ツリーハウスのドアの前まで妖精に連れていってもらった俺たちは、ドアの扉を叩いた。
するとそこには、マミーの目によく似ているエルフの白髪が綺麗な女性が出てきた。
「君がフィン君か!うちは、女の子だけどやっぱり男の子も可愛いねえ」
「こんにちは、フィン君」
まずい!隠キャの血が騒ぐ。
この人は、そう、おばあさんだ!
この人は近所のおばあさん、この人は近所のおばあさん、心の中でそう唱え続ける。
隠キャ血の騒ぎが落ち着いてきたので一息つく。
「ふう、よろピッピ⭐︎!」
「私はリリス・リルハート、よろしくねっ!」
あ、無視っすかそうっすよね、知ってました。
すると、俺よりちょっと背がおっきいくらいの女の子が、レイラさんの横から、ひょいっと出てきた。
何このお人形さんみたいな子!可愛すぎる!
このお母さんに似た綺麗な白髪、吸い込まれそうになるほど、くりっくりで透き通った瞳。
エルフって最高、、、
「この子はリリス、ほらフィン君に挨拶してっ」
この子との恋愛のフラグを回収するために、まず大事なことは、第一印象だ!
待て、モテ男ってどうやるんだ?
なんかまた隠キャの血が騒いで緊張してきた、、、
「リリス、これからよろしくね」
俺の方が身長小さいのに、昔の妹と会話しているみたいにしゃがんで、お兄ちゃん感を出してしまった、、、
俺、頭おかしくなったか?でも、だって、家族以外の女と話したことないし、、、
「うん、」
ちょっと気恥ずかしそうに初々しいようにそういう彼女はそう言った。
完全に俺の心を掻っ攫っていきやがった!
頭を撫で回してやりたくなってしまった。
が、なんとかその犯罪心を抑える。
ロリコンではなかったともうのだが、、、
ああ、そうか、昔の俺は今思うと生粋のシスコンだった。
今、そのシスコン心をこの子は思い出させた。
なんて罪深い少女っ。
「お姉ちゃん、家の中入っていい?」
「いいよー、フィン君もどうぞ!」
その時、ようやくリリスが俺の方を向いてくれた。
そこで俺の右腕に気づいた彼女は、俺の右腕を心配そうに見つめた。
「生まれつき赤いだけで痛くないから大丈夫だよ」
そう言っても心配そうに見つめるので、横を通るついでに頭を撫でてあげた。
でも、俺よりリリスの方が身長高いからかっこつかねえなー
ツルツル、サラサラ、いい匂い。
これが女子、初めての感覚だ。
5歳という歳にしていや、実質高校2年生プラス5歳にして、6歳児に興奮しかけちまったぜ、、、
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