俺の右手が疼く時
キアラト
右手が疼く!
「何か声が聞こえる、、、」
「でも、まぶたが重たい。俺は、、、誰かに呼ばれているのか?まあ、俺はこの世界のシンギュラリティであるから仕方ないことだ。」
目を開けると、俺の部屋の窓から輝かしい光が差し込んで、高校2年生である小松雄一、そうこの俺を照らしていた。
「神よ、そんなに俺を愛さないでおくれ」
そして腕を見る。
いつも通り、包帯の巻かれた腕。
「お前が呼んでいるのか?あ、あああ!!!右手が疼く、ぜ!」
そう言いながら俺は、キメ顔をしなが勢いよく横を見る。
そこには見慣れた顔があった。
「あ、、、」
「おやすみ、僕のハニー。」
そうして俺は、見てはいけないものを見た気がし、もう一度夢へ呼ばれたような気もしたので布団にくるまった。
ばっ!!!
Myオフトゥンサン?いい子だから、俺の元へ戻ってきておくれ。
僕からオフトゥンサンを奪ったのは、小松美咲、高校1年生だ。
「やめてくれええええ、俺は、まだ目覚めるべき存在じゃないんだよおおお」
「黙れ、厨二病!早く学校行ってこい!」
「厨二病じゃない!異常なのは、固定概念に囚われた俺以外の人間だ」
「、、、」
「なあ、妹よ。本気でお兄ちゃんを憐れむ目をやめないか?」
「、、、」
「なあ、妹よ。無視してどこかへいくのをやめないか?」
ばん!!!
そう言って俺の可愛い、可愛い(?)妹は僕の部屋のドアをぶっ壊す勢いで閉じてった。
妹は、毎朝、俺を起こし、おはようを言いにきてくれる。
台所に行けば、飯を作ってくれている。
飯を食いながらの会話は、今日学校で何をするかを二人で語り合って、いつも話をし過ぎてるから会話がなくなって。
それでも落ち着ける空間で、、、
その後は、自分も学校があって忙しいのに、俺のために作ってくれた弁当を手渡しでくれる。
そんな理想の妹と毎朝行ってきます、行ってらっしゃいを言い合う。
という妄想を台所に向かいながらした。
台所につくと、いつもどうりの椅子に妹とオッパッピー(通称パパ)が座っている。
飯を作ってくれているのは、マミーエール(通称ママ)だ。
いつも安定の旨さを誇る、いわば天才と紙一重。
まあ、たまに天災になるけどね!つってな!
はあ、
俺もいつもの席に着く。
妹にくそ睨まれる、マジで気まずいんですけど!
そしていつも通りマミーエールの作った朝飯が出てくる。
いつもは美味しく感じるのに、今日は味がしない気がする。
これは、妹と気まずいせいだ!
だから僕は、秒で飯を食い、階段を勢いよく登りり、自分の部屋へ戻った。
部屋を埋め尽くすほどのラノベの量、俺を見つめる嫁の数々。
台に乗せられたり、壁に張り付くそれらは、俺のいや、オタク全員の宝だ。
そして秒で学校の支度をして、階段を降り、忍者のように台所と玄関につながる廊下を駆ける。
なんか、こういうのって新鮮でワクワクすんだよな!
ドアの前に立ち、押しどのドアを勢いよく押す。
満開の桜と雲一つない青空が瞳に映る。
春を感じさせるような暖かい風が俺の体に吹きあたりながら流れていく。
「ああ、風よ。そんなに俺に巻き付いたって、お前を抱きしめることなんかできないよ。」
そして今日も歩を進める。
前に進むごとに、気持ちが前向きになる。
歩を進めるごとに、家があり、たまに木が生えてたり、雑草が生えてたり、そんな景色が目に映る。
いつもと変わらない景色。
いつもと変わらない景色だけど、空の色、うごめく虫たち、人々の動き、自然の成長。
そういう小さなことに意識を向けると、いつも違う道を歩いているかのように見える。
だからこそこのワクワク感が、歩みを進めるごとに気持ちが前向きにしてくれるのだ。
そんな感じで、目に映るものたちを楽しんでいたら、あっという間に学校に着いてしまった。
校門へ入ると見覚えのある先生が、俺に話しかけてきた。
「おい、雄一いつまで包帯してるんだ?もう一年近くしてるだろ?」
「先生、この腕は怪我なんていう簡単なものではありません。」
「じゃあ解けよ」
「いいんですね?人死んじゃいますよ?!」
周りから声が聞こえる。
「厨二くさい」
「キモ過ぎ」
「自分のことかっこいいとか思ってそう」
「俺も通った道だ。仕方ない」
おおん、なんか恥ずいな、これが恥じらいか、、、
でも、みんなが俺を注目している。
なんかきもちいい
ごつん
「いって」
後ろを見るとそこには美咲がいた。
俺の後から登校してきた俺の妹が僕の頭をチョップをかましてきた。
「なにすんだ!」
「黙れ、兄貴!先生、うちの兄がご迷惑をおかけしました。ある意味病気なので気にしないでください」
そう言うと俺を引きずって校舎へ連れて行った。
「お兄ちゃん、気をつけなきゃダメだよ」
美咲は、そう小声で俺に言うとそそくさと教室へ向かってしまった。
これは、、、俺が妄想する理想的最高な妹が爆誕する前兆かもな!
そう思って今後にワクワクしながら教室へ向かうのだった。
俺は、ぼっちだ。
まあ、無理もないか。
あまりの存在感に誰も近づくことができない。
この腕から溢れ出すほどの魔力にもおじけているのだろう。
恐れることは、ないというのに、、、
俺は、窓際の席だ。
だから休み時間は足を組み、机に肘を置いて、手を緩めの握り拳にして、頬につけながら、永遠と空を見つめる。
今日もまた変わらない日常。
この俺様にとっては、つまらない授業が終わり、昼休憩の時間になった。
俺は毎日一人で屋上を独占して飯を食う。
やはり変わらない日常、のはずだが今日は妹がいた。
「美咲、屋上来るなんて珍しいな」
「だって今日、弁当持って行かなかったじゃん」
確かに俺は今日、妹と気まずすぎて弁当も忘れて学校へ向かっていたことにさっき気づいた。
なのに、弁当を渡すために俺の元へ来てくれた。
こんな優しい妹が俺は、
「大好きだっ!!!」
「え、きも」
「勘違いしないでよねっ、家族としてだけだからねっ!」
「ほんっと、きもい」
ああ、いつも通り辛辣な妹だ、、、
楽しくも面白い日常。
この後も授業が始まる。
同じ日常。
日常が幸せ?
違う!
こんな、なんの面白みもない日常なんて、、、
何ぜだろう、この日常を平和と謳いたいのに。
こんな自分は、落ちぶれたきった自分は、世界に認められることもない。
だから2次元に逃げて、自分も2次元の生物のように充実した人生を生きたかったのに、、、
「お兄ちゃん?」
僕は、自然と屋上の端に歩みを進めていた。
お前は、何のために生きている?
お前は、何を目指して生きている?
そんな言葉が俺を支配する。
歩み続けたって報われないのなら、死んで、また1から俺は、、、
屋上の端に立ったって妹は、何も声をかけてこない、心配してくれない。
俺は、どこから間違えたのだろう?
子供の頃は、お兄ちゃんっ子だった美咲も今は、俺の目を、俺自身を見てくれない。
屋上から見た学校は、切ないくらいに綺麗だ。
いや、こんなことは辞めよう、こんなことを考えるのは辞めよう。
この風景のように、世界はまだまだ綺麗なもので溢れているはずだ。
「え?」
世界が逆さまになってしまったように、俺は落下を始めた。
誰かに背中を押されたのだ。
妹ではない、風、かもな。
世界が俺に消えろと言ったのだ。
「お兄ちゃん!!!」
妹が手を伸ばしながら叫んだ。
ああ、そうか。
このおかげで気づいた、俺は妹に嫌われていたんじゃ無くて、俺が嫌われているんじゃないかって妄想してただけか、、、
妹の目を、妹自身を見てなかったのは、俺だったんだな、、、
またいつか、会えたなら謝りたいな、、、
まだ生きればよかったな、今考えたら、たくさん後悔残ってるな、、、
友達作って、彼女作って青春して。
まだ何もできてないよ。
まだ生きていたいよ、、、
「俺の右手よ、最後くらい俺の願いを叶えてみせろよ!最強の右手だって今も、永遠と俺は信じ続けるからな!!!」
無意味なことを、最後に無理難題をこいつに押し付けることにしよう。
「弱き人の子よ、ソナタの望みを我は叶えて見たくなったぞ!我の力を持って神にを持って命ずる、この者を世界の壁の牢獄から解き放て!!!」
「はは、俺の右手は妄想なんかじゃない!本物だったんだな!!!」
その瞬間俺の頭上に光がさす。
頭上の光源に吸い込まれるように、誘われているかのように体が浮き始める。
「お兄ちゃん?!」
「妹よ、俺は強すぎるがあまり別の世界に呼ばれたようだ。もう会えないかもしれないけど、強く生きろよ」
「今まで、ごめんね」
力を感じる、ワクワクしてきたぞ!
誰か知らんが、俺を新たなる道へいざなってくれるんだな!
「私もついていく!!!」
妹も後ろからついてくる。
ああ、まるで昔のようだな。
昔は、超お兄ちゃんっ子だったのに、、、
意識が遠のいていく、、、
「美咲、、、」
美咲が見えなくなっていく。
視界がぼやけて黒くなっていく。
ん?
ここは、、、どこだ?
あの光によって異世界ってやつに来たのか?
目がぼやけてよく見えないな、、、
そうして俺は、自分の左手を見る。
ちっちゃい、まるで赤ちゃんだ、ぷにぷにしたら気持ちいいだろうなあ。
「、、、」
俺、赤ちゃん?!
「ソラリス!この子右手が!」
ん?右手?
気になった僕は、右手を見てみた。
僕の右手は、なんか色々やばい。
右手の端から右腕まで全部、バチくそ真っ赤っか、しかもなんか薄い青で輝いてる。
痛い!痛い!痛い!
「うう、うう!ヴィあああ!!!!」
うまく発音できなかったけど、泣くほど痛え!
初めての感覚。
ああ、右手が疼く!
俺は、心の中で精一杯叫んだ。
あまりの痛みに俺は、意識を失った。
俺が目を開けると、そこには見慣れない女性の顔があった。
「ソラリス!目を開いたわ!」
「フィン、ママですよ〜」
あら、こんな可愛いらしい人がマミーエールなんて最高じゃないの!
そして俺の右手には、包帯が巻かれていた。
この安定のフィットする安心感。
やはり、俺には必須アイテムのようだな。
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