第10話「学校を知りたい、さくちゃんとかっきー」

中庭で昼食を食べ終わった守里達は、1年生と別れて、自分の教室に戻ってきた。



ガラガラ




守里: お!祐希、起きてんじゃん!



日向子: ホントだ!!祐希ちゃん!!




守里達が桜達と別れ、教室に戻ってくると、いつも机の上で寝ている子が起きて、パンを齧っていた。




祐希: みんな、おはよ〜



守里: おはよ〜じゃないよ笑、今はもうお昼。



祐希: 知ってるよ、だからパンを食べてるんだよ。




腹時計正確すぎだろ笑




春時: 相変わらず祐希には、寝るか食べるかの選択肢しかないんだな。



祐希: そんな〜褒めな…



飛香: 誰も褒めてないよ笑




飛香の高速ツッコミが炸裂する。




守里: そういえば、祐希は朝の委員決め寝てたから、先生が勝手に決めてたぞ。



祐希: 祐希なんになったの?



飛香: 私と同じ図書委員だよ。



祐希: 図書委員?やったね、寝れるじゃん笑



守里: いや、寝るなよ笑




これまでの会話から分かる通り、こいつは寝ることと食べることしか脳がない、ぐ〜たら娘だ。




名前は"神田祐希かんだ ゆうき"で、僕は小さい頃から知っている。


実際に仲良くなったのは、中学の頃からで、おんぶをせがんできたり、食べ物を取り行かせようとして、隙あらば僕を使って、楽をしようとする奴だ。



そうこう話している内に祐希はパンを食べ終わり…




祐希: じゃ、また寝るね〜おやすみ〜



守里: おいおい笑、これからまた授業だぞ…って…



祐希: zzzzzz



守里: 早!!流石だな。




ちなみに、こいつは背も小さく、顔も整っており、寝顔が可愛いことも相まって、授業をする先生達は誰も祐希を起こさない。


いや、先生としてダメだろ笑



◇◇◇◇



放課後




剣崎: はい、みんな、1日お疲れ様。今日は、なんも無いけど、明日は放課後に委員会があるから、そのつもりでいてね。




うわ〜委員会があるのか。


去年は生活委員で、めちゃくちゃ楽だったけど、今年は風紀委員だからな…


何があるか分からん…




剣崎: じゃあ、これで終わり!学級委員よろしく!!



川嶋: 起立!礼!



「ありがとうございました。」



剣崎: はい!ありがとうございました。気をつけて帰ってね。




ガラガラ




守里: よし!今日も終わった〜




みんなと帰るか〜




飛香: 私、バイトあるから先帰るね。



守里: うん、頑張ってな。



日向子: 私は部活行ってくる!!!じゃあね!!!!!



守里: また明日。



春時: 俺は帰りに、買い物行かなきゃだから、じゃあな。



守里: おう!じゃあな。







ってことで1人になりました。



ちなみに日向子はバスケ部に入っており、春時は家が道場を開いているため、そこに入門している。



そして、僕と飛香は部活に入っていないがバイトをしている。




守里: よし、今日は1人で帰るか。




と言いつつ、美月の席を見る。




守里: あれ、もういない。先帰ったのかな。




まぁ同じ家に住んでることも、バレたらダメなら、一緒に帰るわけにも行かないし…




守里: 帰ろ。






校門前




守里: 家帰ったら、何しようかな。結真姉さんは、家にいるだろうし。




そんなことを考えながら、校門を出ると…




「守里先輩ーー!!!」




急に後ろから、名前を呼ばれる。


守里が振り向くと…




柿谷: 守里先輩!!待ってくださーい!!




柿谷と、その後ろに、桜が走って来ていた。




守里: どうしたの?柿谷さんと、桜ちゃん。



柿谷: いや、一緒に帰ろうかなって思って。ね、さくちゃん。



桜: う、うん。



守里: もちろんいいよ!一緒に帰ろうか。



柿谷: っていうか先輩、私のことは、かっきーって呼んでくださいよ。



守里: あ、ごめん。これから呼ぶね。



柿谷: いえ、今呼んでください。



守里: え…



柿谷: 今!



守里: わ、分かったよ、かっきー。



柿谷: フフン、これからお願いしますね。




この子は、なんというか強い子だな笑




桜: もう…



守里: かっきーは家どっちなの?



柿谷: 私の家は駅前の方ですよ。



守里: それなら、途中まで一緒だね。



柿谷: はい、そこまで一緒に行きます!



守里: うん。



桜: …




3人は帰り道を歩き出した。




守里: そういえば、入学式はどうだった?



桜: あ、えっと…



柿谷: 校長先生の話が長かったですね笑



守里: やっぱそうか笑



桜: あと、その、生徒会長さんが、カッコよかった!



守里: だよな、あの人カッコいいよな。昔からだけど。



柿谷: 生徒会長さんのこと、よく知ってるんですか?



守里: うん、同じ中学だったし、中学の時も生徒会長やってたし、話したこともあるからね。



桜: へ〜そうなんだ。



柿谷: 生徒会長は実際どんな人なんですか?



守里: う〜ん、そうだな〜、しっかりしてるけど、お茶目でポンコツって感じかな。



柿谷: ポンコツですか…



桜: 見えない笑



守里: いや〜普段は結構しっかりしてるんだけどね、ふざける時はふざけるし、たまにポンコツが出るんだよ。



柿谷: イメージとは違いますね。



桜: でもそれで、会長の仕事は…



柿谷: 確かに、途中でミスとかしそうです。



守里: それはないかな笑、あの人には相棒がいるから。



桜: 相棒って?



守里: 今の生徒会副会長と、風紀委員長。



柿谷: その人たちも知り合いなんですか?



守里: うん。会長と副会長、風紀委員長はいつも3人で行動してたから。



桜: あの〜そのお2人のお名前は?



守里: 副会長が"神田七星かんだ ななせ"さんで、風紀委員長が"若月桐子わかつき きりこ"さんだよ。



柿谷: そのお2人は、どんな人なんですか。



守里: 七星さんは、ほんわかした雰囲気で、時々毒を吐いてくるかな。あと関西弁が特徴的。若月さんは、クールで冷静さをどんな時も失わない、頼りになる先輩。



柿谷: 会長をそのお2人が、支えているんですね。



守里: バランスが良いんだよな、あの3人は。3人揃うと完全無欠って感じ笑



桜: なんか凄い…



柿谷: そんな方々が、生徒をまとめているんですか。



桜: でもその若月先輩はなぜ生徒会に入らなかったんだろう。3人一緒に生徒会なら…



柿谷: 確かに…



守里: そっか、1年生はまだ知らないか笑



柿谷: え?



守里: うちの風紀委員長はちょっと特殊でね。うちは、学校内での生徒会の力が、他の学校のと比べても強いことを、2人も知ってると思うんだけど…



桜: うん、それは聞いてるよ。



守里: その生徒会が暴走しないように監視するのが、生徒会の傘下に入っていない風紀委員会の役目なんだよ。



柿谷: そうなんですね。



守里: それに校外での活動も活発に行ってるから、他の委員会と風紀委員会は違うんだ。だから学校のトップ3は生徒会長、副会長、風紀委員長ということになってる。



柿谷: なるほど、それで若月先輩は風紀委員長に…



桜: じゃあ本当に、そのお3方が学校を牛耳ってるんだね。



守里: 牛耳ってるって笑、まぁ、あながち間違ってはないかもね。あの3人の人気もすごいし。



桜: へぇ〜



柿谷: そういえば、能高の行事は毎度すごいと聞きました。



桜: さく、楽しみなんだよね。



守里: 直近の行事は1ヶ月後にある体育祭かな。



柿谷: 去年はどんな感じだったんですか?



守里: 去年は確か第1から第5までのグラウンドを全部使ってやって、それを生中継で観客席に放映してた。



桜: それは、その…



柿谷: 規模感が凄すぎて笑



守里: 確かにうちの高校は大きいし、設備も整ってるからね笑




と話を続けながら3人で歩く。





しばらくして…




柿谷: あ、私こっちですから。



守里: じゃあ、また明日ね。



桜: バイバイ、かっきー!



柿谷: バイバイ、さくちゃん!あと守里先輩も、さようなら。



守里: うん、さようなら。




僕達は柿谷さんと別れを告げて、帰路を進む。




守里: 桜ちゃん、友達が出来て良かったね。



桜: うん、かっきーが同じクラスで本当に良かったよ。



守里: 紗耶ちゃんや菊山ちゃんも話せるようになった?



桜: うん!お昼休みの後も、たくさん喋ったんだ。



守里: 心配はなさそうだ笑



桜: 大丈夫っぽい。



守里: でもなんか困ったことかあったら、相談してね。お兄ちゃんとして、できることはやるから。



桜: 頼りにしてる。



守里: うん。




こうして、守里と桜は帰宅した。





to be continued

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