第5話「家の前に見知らぬ美人が立ってたら怖い」

扉の前




守里: やっと帰れるな。今は17時前か…




そう言ってエレベーターの方を見ると、スーツ姿ではない森田と矢口が立っていた。




森田: 坊ちゃん、お別れは済ませましたか?



守里: はい。お2人はスーツから着替えたんですね。



矢口: 黒スーツにサングラスは威圧感があるし、着続けるのもキツいっすから笑



森田: これから護衛する時もあの格好じゃ、流石に目立ちますし。



守里: それもそうですね。



矢口: じゃあ帰るっすよ。



守里: また1時間ぐらいかかるんですか?



森田: いや、帰りは別のルートで行くので、5分ぐらいで家に帰れると思いますよ。あと車もリムジンじゃなくて、普通車ですからね。



守里: え、早!!



矢口: じゃあさっさと行くっすよ!




5分後…



ガチャ




森田: では、私達はここで。



矢口: また。



守里: はい!ありがとうございました。




ふぅ…やっと帰ってこれたな。



守里は、木々の中の見慣れた門から庭に入った。



◆◆◆



ちょうどその頃…




かおり: 景信さん、そういえば守里君に、あのこと伝えそびれちゃったわね。



景信: あ、そういえばそうだったな。まぁでも大丈夫だろ。あらかじめ色々と送っといたから。



かおり: それなら大丈夫かな。



景信: …一応電話しとくか。



◆◆◆



守里: 明日は入学式があるからな、早めに寝ないと。




ガヤガヤ




守里: ん?家の方からなんか声が聞こえる…日向子でもいるのかな?



「え、ここであってんだよね?」



「うん、そのはずなんだけど。」



「まだお家に入れないの?」



「管理人がいるみたいなこと、お母さんは言ってたよね。」



守里: いや、1人じゃないっぽいぞ、誰だ?




不審に思いつつ、玄関に近づくと、大荷物を抱えた4人の女性がいた。




守里: あの〜どなたですか?



??1: あ、やっと来ましたね、管理人さん?…にしては若いな…まぁいいか。結構待ってたんですよ。



??2: 早く鍵開けてよ!



??3: …



??4: …



守里: 管理人?いや…あの、ここ僕の家なんですけど、家間違ってませんか?



??1: あら、ここあなたの家なの?おかしいな〜私たち、今日からここで暮らすことになってるんだけど。



守里: ?



??2: 住所は間違ってないんだよね?



??1: うん、間違いない。ここで合ってる。



??3: …



??4: …



守里: どういうことなんだろ…




ブーブー



うん?父さんからもらった携帯が鳴ってる。




守里: すいません、ちょっと失礼します。



??1: あ、はい。




守里の携帯には景信から電話がかかってきていた。



父さん?どうしたんだろ…



その電話に出る守里。




守里 T: もしもし?どうしたの父さん。



景信 T: 今、多分家の前に可愛らしい女の子が4人いるだろ。



守里 T: うん、いる。なんかわけのわかんないこと言ってるけど。



景信 T: その子達な、今日からお前の家族だから。



守里 T: え?どういうこと?



景信 T: 4人ともかおりの娘でな。かおりは俺と一緒にいるんだけど、4人は防衛団のことも知らないし、危険なことに巻き込むわけにもいかない。



守里 T: はぁ…うちの家に住まわせるってこと?



景信 T: おう。目の届かないところで生活させるのも不安ってことで、お前の家に住まわせることにしたんだよ。



守里 T: なんでそこで、僕の家なんだよ。なんか別に方法あったろ。新しい家用意するとかさ。



景信 T: それは、俺も提案したんだけど。かおりがな…っておいっ…



かおり T: 家族になるんだから、いいじゃないってことでね。私がお願いしたの。



守里 T: かおりさん…



かおり T: ダメかな?




もうここに来ちゃってるんだもんな…


新しい家族なわけだし…




守里 T: …分かりました。



かおり T: 良かった〜ありがとう!守里君。それで、そこにいる娘の誰かに変わってくれる?



守里 T: はい。




守里は困った顔をしている??1に携帯を渡す。




??1: えーっとなんですか?



守里: あなた達のお母さんからです。



??1: え?



??2: なんであなたがお母さんと電話してるの?



守里: 多分これから分かるでしょうから、とりあえず電話に出てあげてください。



??1: は、はい…




もう今日は色々とありすぎて、何が何だか分からないな…


そういえば、昨日届いた大量の荷物はこれのためだったのか。


はぁ…とりあえず疲れたし、家に入っとこ。



守里は玄関の鍵を開け、家に入っていった。




??1 T: あの〜もしもし…



かおり T: はーい、その声は結真ね。



結真 T: え、本当にお母さんなの?



かおり T: フフ、そうよ。



??2: まじでお母さんなの?お姉ちゃん代わってよ!



??4: 私も!!!



??3: 私も…



結真: じゃあスピーカーにするから。




結真の持つ携帯に3人が集まる。




かおり T: みんな元気〜?



??3 4: お母さん!!!



??2: ねぇお母さん!!私達が引っ越しする新しい家の住所、間違ってないよね?!



かおり T: 間違ってないと思うけど…



結真: なんかね、男の子が僕の家ですって言ってきたの。それにその子、家に入っていっちゃったし。



かおり T: フフ、それは間違いないわよ笑



??4: どういうこと?



かおり T: うーん、それわね。これからあなた達はあの子と一緒に暮らす家族だからよ。



??2 ??3 ??4: !!!



結真: え、あの子と私達が家族?尚更どういうことなの?お母さん。



かおり T: あの子ね、景信さんの息子さんなの。だからあなた達の家族になったのよ。



??2: 景信さんの…



かおり T: これから一緒に暮らすことになるんだから、仲良くね。



結真: まだ、ついていけてないんだけど…



かおり T: 大丈夫だって!ね、景信さん?



景信 T: ちょ、ちょっと…あの〜ごめんね、いきなり…



結真: い、いえ…



景信 T: かおりは俺と暮らすんだけど、結真ちゃん達には、俺の息子の守里と一緒に暮らしてもらうことになったんだ。



??2: でも流石にそんないきなりじゃ…



景信T: 本当にごめんね…でも守里もそんな悪いやつじゃないから、君達の家族にしてくれないかな?



??2 ??3 ??4: …



結真: 分かりました。



??4 : お姉ちゃん…



結真: 大丈夫だよ蓮花…




3人を抱きしめる結真。




結真: 桜も頑張ろ!



桜: うん。



結真: 美月も!



美月: …はーい!



景信 T: ありがとう…守里をよろしくね。



結真: お姉ちゃんとして、守里君のことも面倒を見ます!!



景信 T: 頼もしいな笑。ほら、かおり。



かおり T: 急な話になっちゃったけど、みんな頑張って!!



結真: う…




ピッ



結真が返事をする前に電話が切れた。




結真: 全く、お母さんは…



美月: 相変わらずだね。



蓮花: だね。



桜: これから、この家で暮らすのか…




そう言って、桜は家を見上げる。




美月: そうだね。って門から入って来た時も思ったけど、この家デカすぎじゃない?



結真: 確かに、その守里君が1人で住んでいる割には大きすぎるわね。



蓮花: 庭も広い。



桜: 守里君はどんな人なんだろうな。



美月:あの景信さんの息子だから、大丈夫だと思うけど…



結真: 美月、無理はしなくていいからね。



美月: うん。大丈夫だよ。これからは家族なんでしょ。その守里君は。



桜: 仲良く出来たら良いな。



結真: とりあえず、新しい家に入ろうか。改めて守里君にも挨拶しよう!



美月: はーい。




4人はこれからの生活に不安を抱きながらも、新しい家と家族の元へと向かった。





to be continued

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