22 真の友情とは
北都女子高――を俯瞰で外観を狙う……屋上に、一人微睡む高峰奈菜未……。風になびくテキトーサイドアップヘアを止めているシアンブルーでアゲハ蝶のバレッタ!
「奈菜未ちゃん」と声がして……近づく女子は、同じブレザー制服姿の小谷妃小里。
「……」と止めどもなく一点を見つめ続けている奈菜未。
「シャークン少尉。あの空港でベターハーフ男性を見つけて、融合したって」と妃小里。
「そぉ」と奈菜未。
「今日は、黄昏気分?」と妃小里。
「そうね」と奈菜未。
「ああら! 奈菜未さん。らしくいことですわ。心境変化でも?」と近づいてくる朱音。
「あ。C組の竜崎さん」と妃小里。
「A組の小谷妃小里。ですわよね」と朱音。
「うん」と妃小里。
「よろしくてよ、少し砕けても。妃小里さん。うふっ」と笑う朱音。
「じゃあ、朱音さん」と妃小里。
「はい。それで参りましょう。それで、奈菜未さんは、どうなさったのかしら」と朱音。
「ううん、少しね」と奈菜未。
「それでは何も、分かりませんことよ、奈菜未さん」と朱音。妃小里も頷く。
「……」と言葉を選ぶように口がモグモグして、「アタシって、何なのかなって」と奈菜未。
「それは?」と妃小里。
「そうですわ。もっと具体的なお悩みを仰っていただかないと」と朱音。
「具体的な言葉が浮かばないし。どういったら意味が通じるのかって……」と奈菜未。
「いいんだよ、奈菜未ちゃん。たどたどしくても、抽象的な文言でもかき集めて言わなくちゃ」と妃小里。に、続くように……「そうですわ。妃小里さんがおっしゃる通りですわよ。回数こなすコミュニケーションが肝心なのですわ。奈菜未さん」と朱音。
「ううん……」と歪みっぱなし顔の奈菜未。
奈菜未の襟からクロナノテントウが顔を出したかと思うと引っ込む!
「あ、いた」と夏未が来る。
「あ、女史」と孝美も来る。
『A組の小谷さん。何の集まり?』と声をかけてきた夏未と孝美に、振り向いて微笑み返す妃小里と朱音に囲まれた奈菜未。
高峰家・地下隠れアジト――屋上の奈菜未ら盗撮中のモニターを監視する景山と零華。
「ねえ、我が君。あの子ら家族って、我が君の何なの?」
「うん……(と一旦悩んで)俺の子だ。が、俺自身、籍がない。死んだことにして花楓に任せているのさ」
「え?」
「20数年前。俺はこの町に来て。寒空の公園で落ち込んでいた花楓と出会った。俺は寒さ凌ぎもあって、ダメもとで宿を求めたんだ。が、すんなりいってな。出来ちゃったのが姉の優理華だ。のちに花楓のアパートで同棲がはじまって……奈菜未が出来た。が、稀に見ぬ事情を抱えている俺は、花楓には告げて、後々が今だ!」
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