23 夏休み前日

 お馴染み、キンコンカンコンのビッグベンの音色を真似てつくられた学校のチャイムが鳴っている……。『都立北都女子高校』門を徒歩で入っていくJKら……の中に奈菜未らも。

 リムジンカーが来て、後部ドアが開き、ドライバー女子の御付きで、出てくる朱音。

「元気でなければ、いびりがいがありませんことよ、奈菜未さぁん」と開口一発の朱音節。

「こらぁー」と夏未。

「いびり女史がぁー」と孝美。

 突然吹き出し笑う奈菜未。「プふっ……ふ、はははははははははは……」と体をよじって笑いを止められない奈菜未のつられて、夏未も孝美も、『はははははははははは……』と大笑いする。先行く朱音も振り返り笑う。奈菜未の足取りが軽くなる!


 北都女子高――C組の教室に先生と生徒が29人で。一席あいた机に、タブレットタイプのスタンドに立てかけられたモニターが置かれている。映っている女子は、アカテン虫のあの顔だ。窓際の奈菜未。前の夏未。横の孝美。少し離れた席に朱音……。

「はあーい。明日から夏休みです。その前に、通信簿を返します。名前を呼びますので出てきてください。では……」と30枚くらいの通信簿をもって各位名を呼ぶ女先生……。

 夏未。奈菜未。孝美。朱音。アカテン虫女子には、タブレット通信返しする女先生。

 夏未と孝美、奈菜未が見せ合うのを、席に着いている朱音が羨ましそうに見ている。


 大学のキャンパスで――優理華と土屋栄太と、遠山と、秀実がランチしている。

「そのパスタも旨そうだ」と自分のカツカレーと比較する遠山幹夫。

「先輩も、買えば」と皿を抱え込む土屋栄太。

「ふふっ」と笑う秀実。

「あ! 午後も講義。単位稼いでおこうっと」とハニーパンケーキを頬張る優理華。

 と、清々しそうな風がひとしきり舞う……。


 キンコンカンコンのチャイムが鳴っている『都立北都女子高校』門から徒歩で出ていくJKら……。正門前をゆったりと通過するリムジンカー。その門から出てきた夏未と孝美と、肩を並べて帰っていく高峰奈菜未。

「またフェスモデルありますわよ、奈菜未さん」と窓から告げる朱音。

 夏未と肩を並べて帰っていく高峰奈菜未が、「え、えぇー」とブー垂れるが笑っている。


 下校時の路地――一緒に歩く奈菜未と夏未と孝美……。

 コンビニ前で別路の孝美と別れて……公園前で、走りくる深山剣斗と擦れ違い……「バイトだね。先輩」と奈菜未に、「ふぅー」とちゃかす夏未。

 ……先を歩いていた柊木拓光と合流する夏未と奈菜未……。

「補修?」「ああ、補修あった」「今は終業日も不通事業だし」

 夕焼け空の影響で……シルエット化する柊木拓光と、夏未と、高峰奈菜未。


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