女子高生は待ち伏せる
マンションは分かったので、もう駅でおじさまを待つ必要がなくなりました。
学校での行事を終えて、一度お母さんと家に帰り、そして用事があると伝えて家を出て来ました。
外はまだまだ寒いので、自宅から駅まで早足で歩きます。
自宅最寄り駅で電車を待ちます。
念の為、いつもおじさまが乗っておられる車両に乗り込みますが、おじさまの姿はありませんでした。
いつもより早い時間ですので、当然ではあるのですが。
おじさまのマンションの最寄り駅へと到着し、電車を降ります。
そうだ、マンションの周辺で待ち伏せしなければならないので、途中でカイロを買いましょう。
駅を出て、先日お肉を買ったスーパーに入ります。
一階は食料品売り場がメインですが、二階にドラッグストアが入っています。
ドラッグストアで貼るホッカイロを……。
いえ、貼るホッカイロだと、事に及ぶ際に「こいつブラウスにホッカイロ張り付けてやがる」とおじさまを白けさせてしまう可能性があります。
それはいけません。
せっかく勢いに任せてそういう流れになっても、素に戻ってしまうとダメだと聞いた事があります。
これでも私、そういう知識には造詣が深いのです。
女子高ならではの会話を繰り広げるクラスメイト達が多くいましたから。
私は会話に入れませんでしたが、耳を澄ましてじっと聞いておりました。
今こそその知識が役立つ時なのです。
そうそう、必要なものを買わないと。
色々と種類が取り揃えてありますが、0.01が良いそうです。
これも一緒に買いましょう。
いや、でもおじさまのおじさまが普通のサイズではない場合、こちらのビックな方向けの方が良いのかも知れません。
いざ事に及ぶ際に、装着できないのでは話になりません。
どうしましょうか。
まぁどっちも買えば良いだけです。
レジへ向かいます。
おば様に二度見されました。
「これ、本当に必要なの?」
「ええ、必要です。
ナシでするのは早いと思うのです」
「いや、そういう話じゃなくってね……」
何とかレジを通してくれました。
カイロとは別に、中身が見えない紙袋に入れて渡してくれました。
優しいおば様でした。
次に必要になったら、またここで買おうと思います。
念の為トイレを済ませ、ホッカイロをパッケージから出して制服の左右両方のポケットに入れます。
さぁ、おじさまのマンションへ向かいます。
外は日が暮れてすっかり真っ暗になりました。
時間的にはちょうど良い頃だと思います。
マンションを通り過ぎ、バス停の少し手前で大通りの方を向いて待機します。
人がひっきりなしに通りますが、私がおじさまを見つけられない訳がないのです。
ほら、来られました。
さぁ、運命の再会を果たしましょう。
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