女子高生はつけ狙う
お母さんに不審がられましたが、お祝いだからと言ってお肉を焼き、つけあわせのジャガイモとヤングコーンと一緒に食べました。
お祝いするのは良いけど、事前に連絡しなさいとお小言を頂きました。
だって仕方ないじゃないですか。
再会が突然だったのですから。
ですがもう大丈夫。
再会のお祝いは後に取っておきましょう。
先に再会自体を果たすのです。
今日こそは、今日こそはおじさまのご自宅を突き止めます。
はい、何本目の電車か分かりませんがおじさまを見つけました。
学生が少ないので隣に座れました。
いつも通り寝ておられるおじさまの隣で深呼吸をしながら、その時を待ちます。
昨日降りられた駅の一つ前の駅で起きられたおじさまのあとをつけます。
危ないところでした。
私でないと見逃していた事でしょう。
おじさまはトイレに入られました。
仕方ありません。
ここで待つ訳には行かず、用もないのにトイレに入る訳にもいかず。
先に出口へ向かいます。
出口から少し離れた路地の入口で、おじさまが出てこられるのを待ちます。
さすがに遅くないでしょうか。
念の為引き返し、男子トイレの様子を見ようとしましたが、清掃中の札が置いてありました。
恐らくですが、おじさまはトイレと反対の出口から外へと出られたのでしょう。
また、明日です。
おじさまの隣に座り、深呼吸をします。
もうこのまま抱き着いても良いのでは?
指輪は今もされていません。
離婚された、と確定してよろしいでしょうか。
いえ、それはご本人の口からお聞きすべきですよね。
昨日降りられた駅を過ぎ、おじさまの本来降りられる駅に着きました。
おじさまが立ち上がられたので、背中について電車を降ります。
先日のスーパーに寄られたので、私は駐輪場で待つ事にします。
おじさまは五分もせずに出てこられたので、決してはぐれないように気を付けながらあとをつけます。
大通りを真っ直ぐ進み、大きな交差点の手前のマンションに入られました。
玄関にマンション名が書いてありましたので、スマホで検索してみます。
ほほう、単身者用ですか。
これでおじさまが少なくとも一人暮らしされている事は確定しました。
さぁ、運命の再会を果たしましょうか。
私はマンションの玄関から入って、オートロックの扉を……。
すでにエントランス内におじさまの姿はありません。
オートロックの向こう側をガラス越しに見ると、駐輪場になっているようです。
恐らく住居部分は二階以上、おじさまは階段もしくはエレベーターで部屋へ向かわれたと考えられます。
私はマンションの外ヘ出て、おじさまの部屋を探します。
今はもう日が落ちていますので、帰宅してすぐに部屋の電気を点けるはず。
……、変化がありません。
マンションの後ろ側に回ってみると、こちら側にも部屋がありました。
おじさまの部屋がこちら側なのであれば、今日はもうこれ以上探す事は出来ません。
明日、明日こそ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます