女子中学生は機会を伺う
私は女ですから、ムラムラする事もあります。
皆は隠しておりますが、それぞれこっそりと処理をしているものです。
今日も私はおじさまの隣の席に座ります。
毎日ではないです。
おじさまの隣に部活帰りの男子高校生が座っている事もあります。
こいつらは臭いです。
部活帰りなのですからしっかりケアすべきです。
おじさまの匂いを一度も臭いと感じた事がないのに、私と歳が近いはずの高校生に対して臭いと感じる。
これは私の性的欲求ではなく、いやなくもないのですが。
とにかく、高校生はもっと気を使うべきなのです。
おじさまを視界に入れるべく向かい側の席に座りますが、男子高校生がチラチラとこちらを見てきます。
ものすごい表情で睨みつけると、慌てて目を反らします。
二度と見るな、です。
今日はおじさまの隣に座れました。
さぁ胸いっぱい深呼吸するのです。
おや? 指輪がありません。
まだだ、まだ慌てる時ではない、です。
つけ忘れただけかも知れません。
とりあえず今日は、久しぶりのおじさま成分の補給です。
あぁ、身体の隅々まで染み渡ります。
これであと数日は戦えます。
今日はおじさんを見かけませんでした。
帰りが遅くなると親がうるさいのでそこそこで諦めて帰宅します。
大丈夫、また明日。
明日は隣に座れるはず。
あ、明日はお休みでした。
月曜日の放課後。
授業が終わってすぐに駅へ向かいます。
絶対に見逃せない戦いが、ここにあるのです。
五本か十本か、電車を見送った後、おじさまの姿を見つけました。
すかさず隣に座ります。
補給、補給が大事です。
そして恐る恐る左手を確認。
……ありません!
あぁ、私はどうすれば良いのでしょうか!?
落ち着け、落ち着きなさい、私。
金曜日、金曜日まで様子を見て、それでも指輪がなければ声を掛けましょう。
声を掛けてどうする?
そんな事、私に聞かれても困ります!
決戦の金曜日。
何本の電車を見送ったか分かりません。
前もって親には遅くなると伝えてあります。
万が一を考えて、着替えと歯ブラシを鞄の中に入れてあります。
何があるか分からないからこそ、備えるのです。
おじさまを見つける事が出来ませんでした。
月曜日の帰り、おじさまはいつも通り寝ておられました。
その左手には指輪が光っていました。
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