制服少女とバツイチおじさま
なつのさんち
女子中学生は気付いてしまう
私は至って普通の中学三年生の女の子です。
今日までそう思ってました。
どうやら私はおかしいらしいです。
それに気付いたきっかけは、学校帰りの電車の中でした。
たまたま席が電車の席が隣になったおじさまの、匂いに惹かれたのです。
多分フェロモンと言う物質のせいだと思うのですが、決して良い香りという訳ではないのです。
ですが、ずっと嗅いでいたいと思うような、不思議なクセのある匂いです。
臭くはありません。
もっと、もっとと深呼吸していると、おじさまは電車を降りてしまいました。
変には思われなかった、と思います。
おじさまはずっと寝ておられましたし、イヤホンで音楽を聞いておられたみたいです。
また明日、足早に去っていく背中にそう心の中で呟きます。
やはり私はおかしいようです。
ずっと来ていなかった月のものが今朝来ました。
不順だったので、そろそろどこかへ受診すべきか悩んでいたので、来た方が良いのですが。
何故突然思い出したかのように始まったか。
恐らくですが、おじさまの匂いを嗅いだからだと私は思っています。
帰ってすぐ、一人でもおじさまの匂いを思い出しながら……。
私も女、という事です。
時代が時代なら二人か三人はおじさまとの子をもうけていた事でしょう。
……何でおじさまとの情事を想像してしまったのでしょうか?
やはり、私はおかしいのです。
これは、責任を取ってもらわなくてはなりませんね。
電車内を探しますが、おじさまは見当たりません。
時間が違うのか、車両が違うのか。
まぁ良いでしょう、帰りは必ず見つけます。
帰りの電車が私の学校の最寄駅に入って来た時に、おじさまが乗っておられれば乗り込む。
おられなければ次の電車を待つ。
簡単な事です。
やはり簡単に見つけられました。
おじさまが電車の席に座って寝ておられます。
ちょうどおじさまの左隣が空いていたので座りました。
そして気付いたのです。
おじさまの左薬指に指輪が光っている事に。
私は気付きました。
これは錯覚です。
さらば青春の幻です。
女にも性欲が盛んになるタイミングがあるのです。
たまたまそのタイミングでおじさまの隣に座っただけなのです。
だから、これは私の初恋では、ないのです。
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