第52話 ルルとの食事

ラ「ただいまー」

ル「おかえり」

僕が家に帰ると早々に

ラ「はい、ルルこれ着て。サイズは多分あってるはず」

ル「あーあの時の…」

ルルはあの時を思い出したのか少し苦い顔をしていた。

ラ「まあまああの時は悪…いとは思ってないけど」

ル「正直ものですね。まあ雇われの身…というか奴隷ですので仕方ないと言えば仕方ないんですけどね」

ラ「なんだ急に僻みっぽくなって。それに僕は奴隷とは思っていないぞ。とにかくこれを着なされ」

ル「随分と綺麗なものですね」

そうしてルルは着替えに行った。




ル「どうでしょうか」

ラ「いいじゃん。すっごい似合ってるよ」

ル「…ありがとう」

ルルは照れながら答えた。

ラ「じゃいこうか」

ル「はい」

僕とルルは家を出た。

すると

お隣さん「おや、どこかお出かけですか」

ラ「ええちょっとね」

お隣「お二人とも似合ってますね。楽しんで!」

ラ「ありがとうございます」

お隣の人と別れた僕らは少し談笑しながら向かった。




ラ「ほー随分と綺麗なレストランだな」

ル「なんか緊張しますね」

ラ「そんな顔で言われても説得力ねえぞ」

ル「本当ですよ。まさかこんなところに入れるなんて」

中に入り言われるがままに窓際の席に案内された。

カーテンがかかっており足以外は他の人から見えにくい構図になっている。

おっとサンドラとイケメンな男がいる。

なんか優しそうだしサンドラよかったじゃん。

周りがガヤガヤしているため僕らの話もおそらく聞こえない。

ラ「そうそう、今日勇者に会いに行くわ」

ル「それはまた急な話ですね」

ラ「勇者には会いたいし喋ってもみたいからな」

ワインを少し飲み、

ラ「で、ルルにも来てもらうけどいいか?」

ル「はい?」

ラ「おーよかった。いやー断られたらどうしようかと思ったんだよね」

ル「いや、あの今の“はい”は驚きのはいですよ」

ラ「まあまあ旅行だと思って行こうじゃないか」

ル「旅行って…でどこの国でしたっけ?」

ラ「魔族嫌いのステンド王国だ」

ル「それ、その国に入ったらあなた殺されません?」

ラ「なーに魔族が人間を見抜けにくいのと一緒で僕も見た目を人間にすればそうそうにはばれんよ。ま、勇者にはバレるかもしれないけど」

ル「で、なんで私を連れて行きたいんですか?」

ラ「いやさ、ステンド王国のことだから勇者に魔族に対して有る事無い事言いまくっていると思うんだよね。そんな状況で僕が言ったら?まともに話せなそうじゃん。そこでルルと一緒にいれば多少は話せそうじゃないか」

ル「それは分かりましたけど、私戦闘はできませんよ」

ラ「それならば大丈夫だ。僕なら弱いが私なら強いからな」

ル「?。まあ大丈夫ならなんでもいいですけどね」

そんなわけでルルと一緒に行くことが決定したぜ。

そして料理が運ばれてきてそれを食べ終わり少しばかりゆっくりしていると。

サ「ラドさん、私の合図をなんでずっと無視するんですか?」

サンドラが僕の席にきた。

ラ「合図?いやーそもそもサンドラのこと忘れてたわ笑笑。ごめん」

サ「...」

サンドラが呆れた目でこっちを見てくる。

サ「おっとそれよりも連れのかたはもしかして彼女さん?」

ラ「いやうちのメイド」

サ「メイドねえ...メイドと一緒にここに来るなんて。随分と運がいいのね。あなた」

ル「どうも...」

ラ「で、何をしにきた」

サ「仕事の時にも言いましたけど今お見合いで、もう嫌で嫌で」

ラ「なんでだよ。見た目良いし、なんか優しそうだしでいいじゃないか」

サ「これだから中身を見れないあなたはダメダメなんですよ」

ラ「うるせ」

サ「とにかくあの人さいやくなんですよ。食べ方は汚いし、上から見下す態度だし、ずっと私の体を舐めるように見るしで」

ラ「そうは見えんけど」

サ「いいえ、絶対あれはそう見ています。それに私あんまり顔は気にしませんからね?」

ラ「そうなの?」

サ「そりゃお付き合いならいいですけど、結婚ならこれから先過ごしていくんですから。一緒に居ても気苦しくなかったり、優しかったりなど中身を見るに決まっているでしょう」

ラ「あのサンドラがそんなまともなことを!?」

サ「私はいつでもまともです」

胸に手を当てて当然かのように振る舞うサンドラ。

ラ「でもあいつと結婚してもどうせすぐ離婚するんだからいいだろ」

サ「できるわけないでしょ。圧力をかけられているって言いましたよね」

ラ「あーそうだったな」

僕とサンドラがそんなことを言い合いしていると

ズ「サンドラさんどうかされましたか」

サンドラのお見合い相手、確かズロウ・サクラクだったっけ?の人が来た。

ラ「わたくしサンドラ様の部下でございます。ダルシア・ダオーと申します」

サ「え?」

これぞ偽名。

ズ「サンドラさんの部下でございますか。サンドラさんが敬語で話しているように思えましたので偉い地位の方かと思いましたけど。それでしたら」

その瞬間さっきの優しそうな顔を消えて

ズ「てめえのようなゴミみたいなやつがなーに偉そうに座りながら話している。目上に対してなっとらんぞ」

一気に表変した。

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