第47話 部下の慰めを魔王の仕事
僕は家に帰ろうとしていた時にぶらりと町を歩いていた。
ドハとの片付けが終わったら帰ろうとしていて、意外にも少しはやく終わってしまい、時間も時間なので早く帰ったのだがいつもよりも早いため街にいた。
ラ「このまだ暗いけど朝の時間を歩くというのはとてもエモいなあ」
そんなことを考えながらぶらぶら歩いていた。
どこかお店に入りたいけどやってるとしたら大人のお店っぽいところか居酒屋。
どこかでのんびりお茶したいけどちょっと早いよな。
そんなことを考えていたら明かりがついていて空いていた。
まさかこんな時間から空いているとは。
僕はラッキーと思いながら店に入った。
中にはマスターらしき人が一人とカウンターでワインを飲んでいる女性が一人いた。
テーブルかカウンターか。
ここはカウンターだな。
そう思いながらカウンター座ると見覚えのある顔がいた。
ラ「アム?」
ア「...?」
アムがこっちを向いた。
目がすごい腫れていた。
ア「魔王様?」
ラ「おいおい大丈夫か?」
ア「大丈夫じゃないです!聞いてください」
…
ア「というわけで彼氏に振られたというか浮気されたんですよ」
ラ「なんだ、くださん」
僕はマスターからもらった紅茶を飲んでいた。
ちなみにアムはワインをがぶ飲みしてるいる。
がぶ飲みじゃ味わからんだろ。
ア「くだらんってなんですか!酷くないですか」
ラ「そりゃそうだろ。たかが振られたというか浮気程度でそんなメソメソとして」
ア「私にとっては初めての彼氏だったんですよ。それがこんな結果で終わってしまうなんて」
え、初めて?
こいつ結構長生きしてるはずだよな。
僕は浮気よりも初めての方に酷く驚いていた。
ラ「まあまあそんなに気にせずに次に行けばいいじゃないか」
ア「魔王様に初めての恋人に裏切られるなんていうこの気持ちわからないでしょうね」
ラ「いや?わかるよ」
ア「え?」
ラ「いやあ昔付き合っていた人が一人いたんだけどね。見事に裏切られちゃってさ」
いやあ前世で恋人できたけど、結局あれは兄に近付きたいだけの踏み台だったしな。
それが裏切りかどうかはよくわからんけど。
ア「その時魔王様はどんな気分でしたか?」
ラ「結構エグいこと聞くねえ。まあいいんだけどさ。正直なところを言うとそんなに落ち込まなかったぞ。もちろんちょっとは虚しい気持ちになったけどな」
ア「それだけだったんですか?」
ラ「まあねー」
ア「なんでそんな落ち着けられたんですか」
ラ「いやだってさ、もう過ぎたことを考えてもしょうがないし、戻ってこないし。それに他の人と付き合ったりしてた場合なんてそんなのただのクズじゃね?」
ア「まあそうですけど...」
ラ「より戻しとかもする気ないのにその人のことを考えるとか本当に時間の無駄無駄」
ア「たしかに...」
ラ「だからアムもすぐに切り替えて次を探せばいいじゃないか。これもまたいい経験だし」
ア「そうですね。たしかに次を探したほうが有意義ですね」
ラ「そそ」
おーなんか上司っぽい雰囲気出せたな。
ア「そうですね、お互い頑張りましょうか」
ラ「ま、僕は今恋愛よりもやりたいことができるようになったら当分はそっちをやるけど」
ア「あっそうですか」
僕は紅茶を飲み終えると立ち上がり
ラ「では僕は今日も仕事があるので」
ア「あー今日も仕事でしたね」
ラ「今日もというか毎日だけどな」
アムは声をかけにくそうにしていた。
ラ「ともかくアム、一旦落ち着けた?」
ア「ええ」
ラ「ならよかった、じゃあね」
僕はお会計をしている時に
ラ「口硬い?」
マスター「ええ」
ラ「よかった」
僕は喫茶店を出て家に向かい魔王城に向かった。
ラ「今日は休みだしほとんど人いねえな」
ほとんどの人が休みなため今日の魔王城静かだ。
と言っても何人かはいる。
そう僕とか。
ラ「魔王に休みなしとかまじでどうなってんだ」
こりゃすぐに魔王辞めるわ。
まあ僕は仕事すぐに終わる方だからそんなに苦じゃないからいいけど。
さあて仕事をちゃちゃっと終わらせちゃいますか。
んー終わった。
最近は勇者関連のこともあるからちょっと仕事多いけど、なんとか昼までには終えれたな。
ちょっと早いけど昼飯食べるか。
そんなわけで昼飯を食べていると。
オ「失礼します」
オムライスが来た。
ラ「どうぞー」
扉が開いた。
オ「おっとこれは食事中にすいません」
ラ「いやいや僕が食べるの早かっただけだし、それにしても今日オムライスは休みだろ」
オ「いえいえ、今の時期は休んでいられませんよ」
ラ「まあ無理せずにな」
オ「お気遣いありがとうございます。それとですね本日は報告とお土産をお渡しに来ました。どちらが先がよろしいですかな?」
その言い方は前世の良いニュースと悪いニュースみたいな言い方じゃないか
ラ「じゃあ面倒ごとからすまして...」
オ「あっ魔王様、今お食事中でしたね。ちょうどいい。実はお土産がこれなんですよ」
そう言ってオムライスはお土産のお茶を渡してきた。
ラ「へーこれって緑茶か?」
オ「おー知っていたのですか。そうなんですよこれガンバン王国から是非と言われてもらいましてね」
ガンバン王国は魔王国に近い王国。
ガンバン王国は人間主義のステンド王国を嫌っているため良い関係を結んでおける国だ。
オ「どうせなら今入れてきましょう!少しお待ちくださいね」
そう言ってオムライスはどこかに行ってしまった。
多分コップでも取りに行ったのかな?
ラ「しかし緑茶か。この世界にもあったんだな。まあ今までお茶はあったし発酵によって変わるだけだからまあ元々あったか」
あれ、待てよ。
報告より先にお土産になってしまった。
うげー。
そんなことを考えていたら、
オ「お持ちしました」
給水とコップを持ってきた。
そこからは魔法でお湯を作りあっという間にできた。
やっぱり前の世界と違ってこういったところは強いよなー。
そんなわけでお茶をズズズ。
ラ「それで報告ってなんだ」
オ「おーっと私としたことがすっかり忘れておりました」
ラ「おいおい」
まあいいや。
オ「実はですね、ステンド王国がいろんな国を招待して軍事同盟を結ぼうとしているらしいのですよ」
ラ「そりゃまた不穏だな」
オ「そして悲しいことに多くの国がその戦争に加担しようとしているんですよ。もちろんステンド王国側として」
ラ「まあ勝てる可能性が高いしなあ」
オ「勇者のおとぎ話は有名ですからね。多くの国が勝てると判断しているんでしょう」
ラ「てことは早いうちに手を打つか」
オ「そうですね。それが懸命です」
ラ「報告ありがとうね。とりあえず僕自身も少し動くわ」
オ「...本音を言うとやめてほしいですが、魔王様ならなんとかなるってわかっておりますので信じます。ご武運を」
ラ「もちろん」
オ「それではこれで失礼します」
ラ「へーい、あっお茶ありがとうね」
オ「どうも」
そうしてラドは一人魔王室に残った。
さあて流石に動くか。
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