第36話 ルルの占い

あれから少し時間が経ち、とりあえず落ち着いた。

そもそも伝説の天狗がいたんだからよく聞くドラゴンがいてもこの際おかしくはない。

魔族領なんだから居てもおかしくないもんね。

そうやって思い込ませた。

この話はもういいとして、とりあえず問題の服については解決できそうでよかった。

食事は食料係のアルズノワクとシュテルに任せるとして、わたしは建築の方に専念しよう。

ここは私の統率ですぐに建築をしていこう。

…と思っていたら、なんかリーダーっぽい人がもうできていて、色々やってくれていたわ。

ハ「あのぉ」

?「ハドさん!こちらはお任せください。このログノクが迅速に家を建てていきます」

そう言うのはオークの見た目をしたガタイの良い男。

オークって建築技術あるし、確かに監督者はわたしより適任か。

しかしそんなことまで勝手に決まってるとは。

ハ「えっと、うん。ログノク頑張って」

ロ「もちろんですよ!」

はは、建築手伝お。

わたしはテンのところで建築を手伝った。




とりあえず服はたくさん買えたし、これを運ぶのだが。

うーん。

もし僕がシュテルクストとしてカバンと大量の袋を持っていくのってかっこよくはねえな。

いかにもバーゲンのおばちゃんだよな。

それは果たしてシュテルクストとしてどうなんだ?

かっこ悪すぎる。

ル「どうしたんですか?」

近くにいたルルが話しかけてきた。

ラ「え?ああ別に」

ル「一人で悩むよりも頭の柔らかいわたしに聞いてみたらどうです?」

ラ「自分で言うんかいな。ま、相談はありだな。んーとね。大量の大荷物一気にコンパクトに運ぶ方法はないかな?」

ル「ないです」

ラ「聞いておいて即答でなしってどうなんだよ」 

ル「そんなことできてたらとっくにされてますよ」

ラ「そりゃそっか」

ル「どうせならラドさんのその探し物を占ってみましょうか?」

ラ「占いできるの?」

ル「ええ」

ラ「じゃあ、お願いしてもらおうかな」

ル「では頭をこちらに」

僕は言われるがままに、ルルの手に頭を近づけた。

ル「むむむ」

占いってよくわからんけどまあ聞いてて損はないしな。

ラ「なあ、これって本当にできてるのか?」

ル「わたしのあくまでヒントを出すだけ」

ラ「へー」

ル「アーティファクト」

アーティファクトねえ。

あ。

ハドが持ってたじゃん。

やった、解決。

ラ「なるほど、いやあ解決したわ。ありがとう」

ル「?。よかったですね」

そうなると今日は持ってけんな。

ま、いっか。

それよりも

ラ「案外、ルルの占いって信用できるんだな」

ル「信じてませんでした?」

ラ「占いなんて物事を前向きに捉えようとするための、張ったりとしか思っていなかったわ」

ル「占って、悪い結果の場合それを信用したくないのが人の心理。だから信じさせるために前向きなことばかり言う人が多い。だから張ったりというのはある意味間違ってない」

ルルが人の心理を操るとは。

ラ「じゃあ張ったりをもうちょっと聞かしてよ」

ル「いいですよ。例えばどんなのがいいですか?」

ラ「そうだな〜。後で何が起こるかとか」

ルルがなんか唸ってる。

いいなー、未来予知。

ル「なんか楽しそうなことが起きるって」

ラ「やった」

おまじない程度に聞いた僕はハドのところへ向かった。

その次の日はドハのところにでも向かうか。




さてさて。

僕はここを何日離れていたっけ?

正解は16時間。

そう、一日未満。

なんでもう建築が終わりに向かっているんだ。

はやっ。

ハドが…いや多分オークあたりがいて指揮でもしてくれたんかな。

さてとここからニックの時間。

ニ「やあテン」

テ「あれニック探したんだよ。一体どこにいたのさ」

ニ「あー芝生が多いところで寝ていたよ」

テ「まあ、良いけどさ。それよりもそろそろ終わるから部屋決めだってよ」

ちなみにこの建物は真ん中に会議室やら食堂やらと広い部屋があり、周りが個人宅で囲まれているような建物だった。

ニ「部屋かあ、別にどこでもいっかな」

テ「わしも基本は外で寝るからどこでも良いけど」

ニ「じゃあ部屋てきとうに決めればいいじゃないか」

テ「いやーこういうのって知り合いの近くがいいじゃないか」

ニ「私以外にも他に知り合いはいないのか?」

テ「天狗族ゆえのしょうがなさだ。全員恐れてくるわ」

ニ「へー、大変そう」

テ「お前だって変な種族ではあるのだけどね」

まあ僕はテン以外のやつとは誰とも喋ってないからな。

そうして建築が終わり、部屋を決めていった。

こんなに建築って早く終わるものなのかとずっと感心してしまうラドであった。

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