第30話 掃除はまだまだ終わらない
サ「わったぁ」
ド「すごいな、初めて見る動きだ」
サ「そうじゃろ?」
ド「だが、サイエン。確かにその動きはすごい。初見じゃ避けられない。だが威力が少し足りないと思うな。ここを確か殲滅すると言ってたな」
サ「うむ」
ド「その攻撃じゃまたこいつらの体力が戻ったらまた動くかもしれないぞ」
サ「じゃあそこの男を見てみろ」
ドハとシレ、ラミはサイエンに殴られた男をよく見た。
シ「ただ気絶しているようにしかみえないのですが」
ラ「いえ、この男死んでいますね」
シ「え?死んでるんですか?」
ド「体内がぐちゃぐちゃになってる。身体の維持ができないぐらいにな」
サ「あとでこいつらを片付けるのは一体誰じゃ?そうわしらじゃ。だからこのやり方が一番後後が楽なんじゃよ」
ド「なるほどな」
そう言うとドハはその男の血を飲んだ。
サ「死んだやつの血を飲むとは。吸血鬼は死んだやつなんて基本飲まないらしいのにな」
ド「“基本”はな。死んだと言っても直後だしそれに今は味に対してどうこう言ってられねえ。というかなんでそんなことまで知ってるんだ」
サ「さあな」
そりゃ僕魔王ですし、あらゆる生物に関しての知識は色々と知ってますよ。
ド「とりあえず多少扱えるな」
ドハはそう言うと火の魔法を使い、剣の形をした物を造った。
シ「吸血鬼の技初めて見ました」
ド「血を使うが高い魔力でこのような芸当ができる。まあこれに関しては吸血鬼じゃなくてもできるぞ」
へー、吸血鬼は誰でもできるのかな?
ド「それとサイエン、俺が綺麗にここを“掃除”しよう。そのためにも10人ほど飲みたい」
サ「吸血鬼の技かな?では任せるとしてみるか」
どうせなら見てみたいしな。
そうして僕は十人ほど殺さずに持ってきて飲ませた。
生きた人間がどんどんと吸血されていき、真っ青な死体がいくつもできた。
サ「血も飲むだけで容姿や身長、強さも確実に上がるとは…不思議な生物じゃこと」
ド「少し準備をさせてくれ」
シ「イケメンだ…」
ラ「シレさん?」
サ「犬の獣人が容姿で好み、逆にエルフは何も思わない…。奇妙なことがあるものじゃな」
シ「一応言っておきますが、エルフは別に容姿が全てじゃないですからね」
サ「わかっているわ。それに獣人も容姿で好むやつがいるというのも知っている」
シ「本当に知っていたんですかねー」
サ「…」
僕にはわかる。
ドハは今、魅力を放っている。
僕ぐらいの魔力持ちなら特に効かないが。
シレは魅力にかかっている。
シレは魔力耐性がありそうだが、先ほどまで牢にいたし、特に違和感は感じない。
ただなぜかラミは魅力にかかっていない。
条件だけならシレと変わらない。
だからシレが魅力にかかったならラミもかかるはずなのに普通にしてる。
まあこんなところ連れられてくるやつらだし特殊な体にでもなっているのかな。
ラ「サイエンさん?」
サ「楽しみは増えるばかりだな」
ラ「何言ってるんですか」
サ「なんでもない」
そんなことを思っていると
ド「できるぞ」
サ「お、じゃあわしらはドハの近くにいるからな」
ド「当たらないようにはするさ」
サ「そうだ、ラミ。シレを押さえておきなさい」
多分能力が使われる時もっと魅力が強くなるはず。
ラ「?。わかりました」
ド「ほんと、どこまで知ってるんだよ」
サ「ただの勘じゃったがな」
ド「それはそれで恐ろしいけどな」
ドハの周りに赤い円がでる。
僕らは円の中に入ってない。
そうして
ド「我が境界の中にいる生物よ、我に血を差し出せ」
ドハの魔力が高まっているのがわかる。
血と魔力に関連性があるのか。
魔力というのはよくわからんなあ。
それと同時にシレが少しずつ我慢ができなくなっている様に見える。
ラ「ちょっとこの人大丈夫ですか?」
サ「とにかく押さえておくぞ」
シレが魅力に対してどんどん耐えられなくなってる。
ラ「どうしたんですか」
しかしラミはラミでなんで耐えれてるんだ。
ド「...一掃完了したかったんだがな」
サ「これは今ここはどうなっているんだ?」
ド「真っ青な死体がところどころに残ってる。それを回収しようか」
サ「吸血鬼ってすごいなー、回避不能だろ」
ド「まあそこは吸血鬼ゆえの技だからね。ただまあこんな技連発できんわ、スキはあるわ、そこそこまでの強さにしか通らないわで理不尽じゃないからなあ」
サ「そんなもんか。喰らってないからわからんな。とりあえずその姿というか魅力を放たないでくれ」
ド「あー、ごめん」
ドハは通常時?に戻った。
ド「それとまだ一人やれてないやつがいる。残りはそいつだけだな」
サ「そうか。りょーかいじゃ」
四人の掃除はまだ終わらなかった。
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