第23話 一年後
それから約一年、正確には新たな施設ができる日までがたった。
ハドは成長した。
前とは比べ物にならないぐらい強い。
一年経って変わったのはそれぐらいだ。
他は変わらなさすぎる。
魔王城はほとんど変わってない。
新入りもいなきゃ、辞めた人もいない。
魔族というのは人より長生きするから、感覚が違う。
あっちの世界は4、50年働くぐらいだけどこっちなんて10倍の400年?いや100倍の4000年以上働いてるやつもいる。
魔王の血を引いてる僕も長生きするんだろうなあ。
まあ父さんは速攻でやめたけど。
とにかくだからこそ魔族というのは全員が案外のんびりしている。
僕が寝れるのもそうゆうことなのだな。
ルルも特に変わってない。
あいつは人間のはずなのに何も変わってないとは。
敬語を使わなくなったりするぐらいだな。
サ「ラドさん本日もお疲れ様でした」
ラ「はい、お疲れ様」
よーし今日は非常に楽しみな日だ。
あの日から一年後の日だからね。
とあるアーティファクトにより、研究所を他で作ってそこに一気に建てるらしい。
建てた直後で悪いが、これも運命ってことで。
そんなことを考えていたら
シ「やあ、ハド」
ハ「・・・」
ハドはずっと無言のままだ。
シ「真面目な顔してるけど、緊張してるだろ?」
ビクッとなるハド。
よそーどーり。
シ「なーに、なんとかなるさ。それよりもアルズノワクはどこに居る?」
ハ「多分崖の上。月見てくるって」
シ「そうか。まあすぐ戻るだろうし最後の報告といくか」
ハ「最後の報告?」
シ「おおよその人数がわかった」
ハ「それで?どれくらいなの?」
僕はラドの前で手のパーを出した。
ハ「50人?もしかして500人?」
シ「外れだ。おおよそ5千人だ」
ハ「ご、ごせん。つまり3対5000ってこと?」
ラドはそう言うと少し拍子抜けした。
シ「さらに、そこには組織の幹部と一番すごいやつがくる」
ハ「まじかあ。ねえ本当に成功するかな?」
ラドは心配そうに言う。
シ「何を言っておる。この私がいるのだ。ただの作業が始まるだけだ」
ハ「作業ねえ」
もはやハド呆れていた。
するとアルズノワクが戻ってきた。
ア「おや、戻っていらしたのですか」
アルズノワクに関しては少し怠惰な話し方をするような丁寧な話しかたをするようななんか腹黒そうな人だった。
そんな見た目だしな。
シ「今丁度だよ。よし、じゃあ行こうとしよう」
ハ「流石に今日は緊張するなあ。大丈夫かな?」
シ「緊張しようがしないが、心配しようがしないが、この作戦を実行しないなんてことはないんですから。無理に気にしててもしょうがないですよ」
ハ「そうなんだけどね。でも、やっぱり色々不安なのよ」
シ「さいやく、失敗しても構わんぐらいの精神で行けばいいだろ」
ハ「シュテルはそこらへんが雑すぎるんだよー」
シ「はいはい、とりあえず行きますか」
そうして僕ら三人は施設が置かれる場所へと向かった。
シ「おいおい、もう開設されているじゃないか」
ハ「昨日までなかったんでしょ?それがこんなふうにドン!っとできてるなんてアーティファクトってすごいね」
ア「とりあえず作戦通りわたしら二人でここに幽閉されている人たちの解放」
シ「私は皆殺しだ。シンプルで素晴らしい」
ハ「シンプルすぎない?」
シ「細かく決めたところでうまくいくわけないんだからいいんだ。とりあえず頑張れ。あんたらが施設に入るのを見たら私もここで暴れよう」
ハ「そのためにもそこらへんにいる人たちの制服を」
ア「取ってきたぞ」
ハ「はやいね」
ハドはびっくりしていた。
シ「じゃ頑張れよ」
ハ「そっちもね」
ア「わたしと対等に戦える奴はおるのかな」
ハ「なるべく戦わないでよ」
ア「なるべくな」
そうして二人は潜入していった。
さあ僕もそろそろ動くか。
警備兵1「なんか近いうちに侵入者が来ることが濃厚らしいな」
警備兵2「ああ、5千人をわざわざここに連れてきて一体何を警戒しているんだか」
警備兵1「でもむしろこんだけうじゃうじゃいたら逆に侵入されそうだよな笑」
警備兵2「たしかに笑」
二人の男は駄弁っていた。
すると突如雷が落ちてきた。
警備兵1「うおっとすごい雷だな」
警備兵2「この辺に落ちるなんて危なすぎるだろ」
二人は自然災害に少しビクッとした。
二人は雷が落ちてきたところを眺めていた。
そこには人の影があった。
警備兵1「お、おい大丈夫か?」
警備兵2「いや待て」
片方の警備兵が止めた。
そこには一人の特徴的な男がいた。
全身黒の服装を着て、マスクをつけていて、帽子と特徴的な指輪を付けていた。
警備兵1「あれはたしか」
警備兵2「間違いない」
男はそう言うと
警備兵2「侵入者だー!」
施設の中にある警報を鳴らした。
続々と兵士がやってきた。
男はそれを見ながらこう答えた。
シ「さあ、断罪の始まりだー!」
男は少し笑っていた。
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