第13話 認識されない魔王様

さて、早く着いたしこの席にドシっと座って待つか。

暇だな〜。

?、?「「すみません、遅れました」ー」

環境大臣で兎人族のラル・アルマス。

可愛い系の部類で多分色々な人が知っている、アイドルみたいなやつ。

それでいて大臣もしているからすごいよなー。

隣の堅物は虎人族のハルトル・ガンディエス。

めっちゃ男っぽい見た目をしていて強気なお姉さんかと思いきや、めちゃくちゃ真面目な人で仕事を的確にこなしていくタイプの人。

それでも美人だから人気がある。

なんだか美人ってずりーよなー。

ラル「あのー?聞こえてますか?」

ラド「あーごめんごめん」

ラル「もしかして見惚れてましたか?やっぱりわたし可愛いですよね?」

まあこういった感じでラルは自分が可愛いとちゃんとわかっている奴だ。

ラド「お前に惚れたら僕が多分狂っている時だよ」

僕は眠そうな声で言った。

ハルトル「いいですか?」

そう声を割ったのはハルトルだ。

ラル「釣れませんねー。まあ今はいいでしょう」

ラド「で?二人はどうしたんだ?」

ハ「とりあえず進めていきますね、ラル?」

ラル「えっと、こちらですね」

ラルはそう言いながら僕に紙を渡してきた。

電子ペーパーって楽だよなあなんて思っていたら、

ハ「この国のなかでいくつか使われていない工場、そして微妙に使われている工場がいくつかあります」

ハルトルがそう言った。

そして

ハ「そして特にそう言ったのが多いのは主にステンド王国の方です」

ステンド王国...たしか人間至上とか言いながらこっちとは関係を切り、なんなら戦争も始めようとしているかもしれない一番警戒しなきゃいけない国か。

ハ「あそこは放置にしようと思っていたのですが…」

そこでラルが

ラル「でもですね、放置されると環境に問題が出るんですよ」

ラド「問題?」

ラル「あそこの工場は多少の有害なものが出ていたからあそこに置かれて、今はもう必要なくなり停止しているんでけど」

ラド「停止してたよね」

ラル「ですが、ここ数年でなぜか風向きが変わり、こちらの方面に風と共に環境が少し汚染されているんですよー!」

ラルがそう言うと僕はぎもんに思ったことがあったので言った。

ラド「ん?まだ汚染物質があるの?」

ラル「それが謎なんですよねー。でここからがお願いなんですが、この工場についての取り壊しを許可してほしいんです」

ラド「許可?別に僕よりもどっちかと言うとそこの産業大臣の管轄内じゃ」

僕はハルトル目を向けると

ハ「わたしは別に構いませんよ。むしろわたしもお願いしてますし」

ラド「あれ、いいのか?」

ハ「ええ、別に何も生み出してませんしなんならその環境悪化は生産物に影響が出そうなので将来的に見ると取り壊し亭いいかなと思ったんです」

ラド「ん?じゃあ進めれば良く…あーわかったぞ」

僕は一人の女の顔が浮かんだ。

取り壊しとなると遠征費、取り壊すための人件費、ステンド王国の近くのため護衛の費用、工場を壊しても廃棄となるためそれの費用、その他もろもろ。

ラド「間違いなくあいつは嫌がるな」

ハ「ええ、嫌がりますね」

ラル「間違いなく嫌がるでしょうね」

財務大臣のアム。

ただでさえ軍のやつもまだ解決してないのにさらにこれはなあ。

まあなんとかするしかないわな。

ラド「とりあえずアムを呼んでくる」

ラル「え?今呼んじゃうんですか?」

ハ「そりゃあんた、アムを無視して議論進められんしな」

ラルとハルトルがちょっと慌てた様子を見せていた。

ラド「まあまかせろ。なんとかなるさ。はっはっはー」

ハ、ラル「「任せますよー...」」

さあ困った。

正直まじで算段はないから普通に頼んでも無理な気がする。

とりあえず兵のやつは僕の自費でいいか。

高い給料もらってもほとんど使わないし。

あとはアムの予算調整能力を信じるしかないな...

えーと確か7階か。

絶妙に長いな。

この建物15階なのはいいけど、エスカレーターもエレベーターもなく、ただ階段しかないとか上の役職に就くとめんどくさくなるシステムはいやだなあ。

まあ今ぐだぐだ言っててもしょうがないか。

やっと着いた。

ん?なんか書かれているな

【ただいまの時間、関係者以外立ち入り禁止】

関係者だけなのか。

あれでも今って決算時期だっけ?

全然関係ない気がするんだけど。

まあ僕は魔王だからな。

関係者だな!

っとどうせなら魔王っぽく一人称は“我”とかにしてみるか!

ふふふ、たまには魔王らしさも出さないとな。

僕はドアを開けた。

おや、そんなに忙しくなさそうだな。

さてアムはどこにいるかな。

僕は歩こうとしたら、

?、??「「失礼します」」

中年の男女二人に止められた。

ラド「なんだ?」

?「なんだとはなんだ?貴様張り紙が見えなかったのか」

??「今の時間は関係者以外立ち入り禁止ですよ」

ラド「ふっ我は魔「はいはい、とりあえず出てってください。」

そうして僕は二人に押された。

ラド「おい、待て我は」

??「それではまた後で〜」

ラド「せめて要件だけでも!」

ガチャン!

扉を閉ざされ明らかに鍵のかかった音がした。

そしてなかからなんか聞こえてくる。

?「なんだよ、あいつ偉そうでやばそうだな」

??「しかも文字もちゃんと見えないでしょ?なんでここにいるんだか」

?、??「「やばいやつはどこにでもいるんだな」」

なんか笑われてる気がする。

てか息ぴったりでバカにしてくるな。

?「要件とか言ってたしこれが終わったらなんかあいつが言ってくるんだよな?」

??「もう終わるんだけどねー。まあ終わったなんて言わなくていいでしょ笑」

?「だな笑」

あいつら...

全部聞こえてるぞ。

ガチャ。

ん?部屋の中でなんか扉の音が聞こえてきたぞ。

アム「はいこれ配っといて、それと終わったやつを頂戴」

?「ええとこちらです。あとはお任せください」

??「ええ、我々がきっちり最後の仕上げをします」

同じ声なのに先ほどとはまるで声色が違うぞ。

なんか気持ち悪いな。

?「あーそうだ。先ほど変なやつがこの時間に入ろうとしてきたので、注意しといてくださいね」

ア「変なやつ?まあわかったわ」

なんだと!

またあいつら...

そんなことを思っていたら。

?「ラドさん、何してるんですか?」

後ろを振り向いたらサンドラがいた。

ラド「いやちょっとアムに用があったんだけど」

僕は今までのことを話した。

するとサンドラは

サ「ふっ」

ラド「おい」

サ「失礼、まあでも言っときますけど魔王様として表に出たの就任式ぐらいでしかもちょっとの時間しか出なかったんですから顔なんか覚えられてなくてもおかしくはないでしょ笑」

ラド「そりゃわかってるけど...」

サ「関係者以外立ち入り禁止なんですから、もうちょっと考えてくださいよ。そりゃ厳しくなるでしょ。魔王様」

魔王様と笑いながらバカにしてくるこいつはムカつく。

ラド「とにかく話を聞いていたあたりそろそろ終わりそうだから、あんたが呼んできてくれ」

サ「盗み聞きですか魔王様」

ラド「あんたが魔王様言うのなんかすっごい腹立つな」

サ「とりあえず呼んできますね。なんて伝えればいいんですか?」

ラド「えーと、第一会議室に予定が終わったら即刻来て欲しいと」

サ「わかりました。それでは魔王様、離れてください。ここにいては話がややこしくなるので」

そう言われたので、近くの曲がり道のところに向かった。

そういやあいつって社内じゃどんな反応されるんだろう。

なんか気になるな。

僕は盗み見をした。

どうせ暇だしな。

サ「失礼します。サンドラです」

中から慌てた音がして扉が開いた。

?「サンドラさん、とても美しいですね。今日は何用で」

サ「アムさんに用事がありましたので」

??「ええどうぞどうぞ」

すっごい気持ち悪い笑顔で出迎えていやがる。

あーやだやだ。

扉が閉まる瞬間に

?「ところでサンドラさん、本日の夜は空いて...」

モテてるなあ。

なんて答えるんだろう。

僕はすぐに扉に向かった。

サ「本日は夜に色々とあるので空いておりません」

振られてやんの。

いい気分だわ。

すると扉が開いた。

僕は扉に耳を当てていたので、倒れた。

?「なんなんだ!貴様は!盗み聞きとは!」

ラド「あーいや違う。それは誤解...」

ではないな。

実際盗み聞きしてるし。

ラド「まあまあ振られたからってそんなカリカリしなくたって」

?「振られてなんかないわ!どっか行け!」

また締め出された。

締め出された時にサンドラがこちらを見ながら笑っていたのが見えた。

しょうがない。

戻るか。

僕は会議室に向かった。




サ「アムさん、サンドラです」

ア「サンドラさん?どうぞ〜」

サ「失礼します」

わたしはアムさんが最後であろう紙を書き終えたのを見て、

サ「魔王様がお呼びです」

ア「魔王様?なんのようかしら」

サ「さあ?とりあえず第一会議室までとだけ承っております」

ア「わかったわ」

わたしは出ようとしたら

ア「そういえば扉の近くに変な男いませんでした?」

変な男...ああ

サ「ええ、いましたわよ。ただどっか行っちゃいましたけど」

ア「こんな時に来るなんて怪しいわね。その変なやつ一応調べておいた方がいいんじゃやい?まあ仕事増えるだけだしどっちでもいいけど」

サ「ええ、まあ」

ア「やめてほしいわねー。あの子達が言うに頭のおかしいやつっぽいし、なんでそんな人入ったんだか」

サ「さあ?」」

わたしは笑いを抑えながら言った

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