第7話 一人の少女

…はあはあ。

少女は一人ガムシャラに走っていた。

誰にも見つからずに、誰にもバレずにここから抜ける。

捕まったら死ぬ。

わたしの頭の中にはただそれだけがあった。

左、右、正解の道なんて知らない。

少女「右!」

とにかく一番に目指すのは武器庫。

おそらくというか 絶対に出口には人がいる。

その人たちを倒すためにもとにかく武器がなくちゃ話にならない。

武器がなくても魔法は打てるけど、今一人で逃げて、素で打っても魔力効率が悪いから勝ち目なんてない。

武器さえあれば、わたしはそこそこ強い...だからなんとかなるはず。

とにかく今何もない状態だけはまずい。

人のいないところにとにかく...

兵1「見つけたぞー」

しまった、見つかった。

まだ3人なのが幸いだ。

ふう、ふう、ここが正念場!

私は決意を固めて、魔力を込めた。

その時だった。

目の前の男の首が吹っ飛んだ。

なぜか血が出ていない。

両隣の二人は焦っていた。

するとその二人も首が飛んだ。

血は一切出ていない。

私は首を見た。

すると薄く氷が張っているのが見えた。

?(シュテルクスト「よくぞ、ここまで生きてこれた」

すると目の前から仮面を被った黒服の男が出てきた。

少女「誰?」

?(シ)「まあそうカリカリするな。別に君の敵ではない。まあ今は味方ではないがな」

…何も読めない。

一番嫌いなタイプ。

少女「味方でも敵でもないならなんなの?」

?(シ)「君のこれからの返答によって変わるということだ。まあそれでも敵になることはない。だから素直に答えてくれ」

今助かるならこいつを上手く使うしかない。

そして男はいっぱく置いて

?(シ)「君はいや、貴様はこの世界を変えたいと思わないか?この腐り切った裏の世界を...貴様のような犠牲者が出るこの世界を変えたいと思わないか?」

急に変なことを言ってきた。

でも確かにこの世界は腐りきっている。

こうやって自分の目で見てきて、体験して、感じた。

確かに腐りきっている。

でも私はもう危険な道に行きたくない。

こんな現状をもう見たくない。

家族と...平穏に過ごしたい。

少女「確かに腐っている。でも私はだからこそこんな世界には二度と踏みたくないし、家族と平穏に過ごしていたいの」

私は男にそう告げた。

しかし男はフッという笑い声をあげてこう言った。

?(シ)「家族と、か。残念ながら君にはもうその道は残っていない。平穏に過ごすことはもう二度とできない」

少女「...どうゆうこと?」

?(シ)「嘘をつくのも優しさではあるが、真実を伝えぬのは偽りの優しさ...。君は貴族の、いや公爵家の嬢さんだろう」

少女「ええ、そうよ」

?(シ)「残念なことに世間はもう君が死んでいる扱いなのだよ」

私は驚いた。

私がなぜ死んだ扱いになっているのか、私は拐われただけで死んではいないのだ。

どこかで情報が変えられている。

?(シ)「ふふ、公爵という地位にもありながらそのように情報が捻じ曲がっているのは疑問を持たないか?」

私は嫌な予感がしてきた。

?(シ)「もちろん、誘拐のことを時には公に言わない方がいい時もある。まあ基本は言った方がいい気がするが。ただわざわざ死んだ扱いにする理由は一体なんだ?」

私は変な汗をかいてきた。

?(シ)「君のことを助ける気はない...いや、真実を告げよう。ここの研究室に興味深い書類があって、その書類には公爵家にするための動きと交換条件に魔力が高い子供を譲っていくというね。まあ君のお父さんが優秀だからその子供も優秀という目論見だったんろうな」

男は少し笑って

?(シ)「君と家族との関係は薄っぺらい偽りの愛で紡がれていたのかもな」

少女「...」

私はその場で少しだけ泣いてしまった。

本来なら信用できないのになぜか信じてしまう自分がいた。

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