World Building 2 魔導武器と五星武技
●始めに
セイアーレス大陸における独自戦闘技術である五星武技に関する解説を行う。
●来たるべき脅威と五星武技
五星武技とそれを扱うための魔導武器は、この大陸の共通認識である『来たるべき脅威』への対抗として維持され、そして発展してきたものである。
『来たるべき脅威』とは、単なる伝説ではなく人類種の精神に刻まれている危機意識であり、それはいずこかに封じられているとされ復活を待つ『狂神』が人類種の精神に与えている影響の一つでもある。このため、この大陸の戦士階級は、自然とこれら五星武技を習得し、扱う方向に向かうのが当然という認識となっている。
そして現在、『来たるべき脅威』は現実のものとなって人類種に襲い掛かってきている。そのために、五星武技やそれよりの派生である銃器の発展が急速に進んでいるのである。
●五星武技の基本
五星武技とは魔導武器を用いた必殺戦闘術の総称である(五星は五星理論に由来するが、明確な接点は存在しない。あくまで『魔法的な』を意味する言葉である)。
いわゆる人の体内の力を爆発させるとかではなく、霊薬の効果で活性化した魔芯の力を利用して、人間の身体能力の限界を超える技を放つのである。そのため、基本的には魔法と同じモノであり、マナを必要とする所は魔導と同じである。ただ、五星武技は魔法に関する知識や才能を必要としないので、セイアーレス大陸の戦士階級の基本的な技術と見なされている。
五星武技で扱う魔導武器は、『一括処理魔導』を組み込まれた魔法器具に近い存在である。武器に組み込まれた魔芯(エレメント)とそれを活性化させる霊薬が、人の魔法的才能の代価をして魔法を扱えるようにする機器であり、通常の魔法器具との違いは精神力の消費がほぼない事である(通常の『一括処理魔導』は精神力消費が起こる)。
さらに特筆すべきは精霊を介さず(正しくは仮想精霊回路が組み込まれている)魔法的効果を扱えることであり、その点で魔法使いの扱う魔法とは扱いの異なる技術である。
五星武技は当然、通常の戦闘術のように訓練によって習得するものである。その場合、初期から扱っている魔導武器に最適化されてしまうことも多く、初期装備をほとんど更新せず古いまま扱う戦士はかなり多い(実際、攻撃力が武器そのものに依存することが少ないため、このような事が起こっている)。
「五星武技の手順」:
五星武技、及び銃技を使用したい場合、まずは撃鉄(ハンマー)を引いて準備をしておく必要があります。そして、魔導武器、及び銃器の引き金を引き撃鉄で霊薬チェンバー内の、霊薬カートリッジを叩き霊薬を発火させます。すると、霊薬の魔力が解放され魔芯(エレメント)へと充填され、その仮想魔導回路が覚醒します。その瞬間、思考入力の受付が行われるため、決まった動作と共に「五星武技、銃技解放コード(=Release code)」を入力するのです。
例) [Release code:Homing Bullet]
>弾丸に攻撃目標への高度な指向性を与える効果を発揮する。
以上の思考入力が成功すると、五星武技、及び銃技が起動します。こういった思考入力は、たゆまぬ訓練によって反射的に行えるようにするのが普通です。
●回転弾倉式魔導武器(リボルビングエレメンタルウェポン=REW、リボルビングウェポン=RW)
魔芯(エレメント)を内蔵した近接武器。専用霊薬カートリッジを装填する弾倉(チェンバー)が回転式シリンダーになっているためこう呼ばれる。
あらゆる「REW」は固定式(ソリッドフレーム)シリンダーを採用しており、一部の特注品を除いて、振出式(スイングアウト)又は中折れ式(トップブレイク)は採用されていない。装弾数は基本的に5~6で、それ以上のものは特注品でしか存在しない。
魔導武器としての機能は、撃鉄で発火した霊薬が魔芯へ魔力を充填し、その瞬間に特定の動作と共に思考入力を行う事で強力な武技が発動する。なお、一部の霊薬をのぞいて霊薬発火から入力受付時間終了まで発光するように霊薬は調合されている。
以上のような回転弾倉(リボルバー)は、魔導武器を扱いやすくするべく発展してきたシステムであり、銃器の誕生よりも前に既に存在していた技術である。
ごく初期の魔導武器なら単発式のものもあったが、早々に回転弾倉が発明されて更新されていったという歴史になっている。
現在、一部の工房で箱型弾倉(マガジン)の魔導武器が生まれ始めているが、取り回しの面からそれほどよく思われていないようである。
●銃器
この世界では魔導武器の一種。魔芯を弾頭としてそれに霊薬を充填した薬莢をはめ、そうして作った弾丸を撃ち出す射撃武器である。
他の魔導武器と違い、その効果が単純化簡略化されているのが特徴であり、いわゆる必殺技的な視覚効果はないのがふつうである。
一見すると地球の銃器と同じに見えるが、魔導武器として精巧に調整されたモノであり、地球の銃器ではそれらの機能を利用する事は出来ない。
以上の事から現実世界における『弾種』のようなものが存在しないのが特徴としてあげられる。弾丸の効果の違いは、五星武技によって起こる副次的効果であり、いわゆる『徹甲弾』『マグナム弾』などの種類は存在しない。さらには口径の違いは弾薬に含まれる霊薬量の違いに影響するだけの要素であり、必ずしも口径の大きなものが威力が高いとは言えない要素となっている(五星武技の効果は口径による威力増加よりはるかに上である)。
この世界の一般的銃器は、単発式、そしてリボルバー式が主であり、マガジン式自動銃はまだ生まれていない。
●代表的銃器
「P1魔導銃/薬載魔芯投射機」:
魔導武器から派生した長射程武器の最初期型。単発式。これから銃器の歴史は始まる。見た目は大型拳銃そのままである。
「M1322単発銃」:
拳銃として生まれた最初期の単発銃。銃としては試作品であったが、
「P1405リボルバー」:
リボルバー拳銃のベストセラー。固定式。取り回しも整備性もよく壊れにくい。拳銃と言えばこれと言われるほど一般的であり、機龍世紀3rdCの異邦人もこれを使っている。
「P2アルカシオン拳銃」:
P1405より装弾数の多い中折れ式リボルバー拳銃。一時期流行った少数生産品で、一部でプレミアがついている。
「M1ピースメイカー拳銃」:
現在の標準形式である振出式のリボルバー拳銃。頑丈さと再装填のしやすさで拳銃界最強の名銃と言われている。
「M5スレイヤー大型拳銃」:
対大型獣向けに口径を増加したリボルバー拳銃。M1ピースメイカーと同系列で振出式。基礎威力はあるが正直扱いにくい。
「Mk1カテドラル」
長射程、高命中精度を目指して生み出されたライフリング銃器の最初期型。単発式。東邦教会聖騎士向けの武器であったため「カテドラル」と呼ばれる。
「Mk1722リボルビングライフル」
回転弾倉を採用したライフル銃。ある程度の連射が可能。拳銃より射程も命中精度も高い。
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