第2話 異世界転移ですか

紗良は暫く気を失っていたらしい。


はっ! と、 目を開けると


神殿のような造りの建物の中にいた。とにかくまず目についたのは白くて丸い立派な柱にステンドグラスで模様を形作られている豪華そうな天井だった。


何だか周りがざわざわしている。


そっと上半身を起こして周りを見回すと、神官服を着た人たちに囲まれていた。


何事!


って、ここはどこ?


ん? んんん?


良くみると何だか見覚えがあるんだけど? ここ。


キョロキョロしていると神官服の人混みを押し分けるようにして、キラキラ輝く金糸の縫いとりのある見るからにハイレベルの神官服を着た男が現れた。

背中程まである銀色の長い髪が目を引く透き通るように白い美しい顔の男だ。


その顔に、はっ!とする。


えええええ! 何でえええ!


ジークリオン・オブリージュ教皇猊下!!!


そんな! 嘘!


乙女ゲーム『月光の贄姫』の攻略対象者じゃない!

待って! 待って!どういうこと?

何で現実に彼がいるの?


「こちらが後から召喚された聖女さまですね? 」


ジークリオンは、近くにいる神官に確認すると紗良に近づいた。


紗良は目を見開いて、ゲームと寸分違わぬ彼をまじまじと見つめた。


「このような事が起こるとは……。さて、どうしたものか。」


ジークリオンは何やら呟いている。


この麗しい顔は、間違いなくジークリオン・オブリージュ教皇猊下だ。




まさかと思うんだけど……


これって……ラノベで流行りの異世界転移?


いやいや、そんな馬鹿な。

きっと夢だわ。



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