第27話「二周目〜異変〜」

七月七日(月)


 オレは意を決して、学校に登校した。あいつらに何と言われようが、如月に告白しない。どんな仕打ちを受けてもだ。

 

 金曜日学校を休んだので、当然あいつらから抗議のメッセージがくると思っていた。だが、あの朝の将暉のメッセージ以降、何も送られてこなかった。本当に自分の具合が悪いのかと、遠慮したのだろうか。そんな配慮が、できる奴らだと思えないが。


 そうこう考えていて、遅刻ギリギリになってしまった。昇降口で「よ、おはようっ」と声を掛けられた。その声の主は将暉だった。


 オレは如月に告白しない言い訳を、何通りか考えていて身構えたが、不思議なことに、将暉は告白ドッキリのことには触れてこなかった。急いでいたからと、その時は思っていた。


***


 慌てて教室に入ったオレは、何だか嫌な予感がした。その嫌な予感は、担任が出欠をとった時に、明白になった。


 出席番号二十二番の次は二十三番の「如月」なのだが、その如月の名前は呼ばれずに、二十四番の「工藤」が呼ばれる。


(如月が呼ばれない)


 オレは慌てて、如月の姿を確認する。


(いない……)


 彼女が始めから、この教室にいないのが当たり前のように、やはり彼女はいなかった。


***


 オレは朝の出欠確認後、一限目が開始される前、慌てて廊下に飛び出し、教室のクラスプレートを確認しようとした。自分は七月四日に戻った気でいたが、更に一年前の七月四日に、時間が戻っているのかもと考えたのだ。


 一年の頃は如月と同じクラスではなかったので、彼女が同じクラスじゃなくても不思議はない。


 だがそのクラスプレートを確認し、オレは愕然とした。


 ――『二ー三』


 やっぱり、祭りの日から十日戻った、七月四日だ。一年前ではない。どういうことなんだ? オレは訳が分からなくなった。


***


 オレはこの事実を信じたくなくて、将暉たちに、如月と告白ドッキリについて確認してみた。二人は「?」という顔をして、告白ドッキリどころか、やはり如月のことも知らないと言う。


 オレは前回した時と同じように、すがる思いで、クラスの連中や、担任に如月のことを確認しても、将暉たちと同じ反応だった。


 もちろん如月の所属していた文芸部、図書委員会にも確認しにいった。答えは皆、「如月」なんて知らない。


 同じ――

 いや、もっと悪いかもしれない。


 前回は七月十四日からいなくなっていた如月が、もっと前の時間から存在しなくなっている。これでは、何のために時間を巻き戻したのか分からない。


 オレは途方に暮れるしかなかった。


つづく

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