第3話 ゆんセレクト
「なんですぐ日和に流されて凛希飛は言っちゃうんだよぉぉ~!」
横で聞いていたゆんは、涙目で俺の肩をポコポコと叩いてくる。
「いや、日和のコスプレだろ? ここで断ったらこの先一生見れないかもしれないんだぞ?」
「コスプレだったら私もしてあげるからぁ~! どんなエッチなのでも着てあげるからさぁぁ~!」
「いつも着ない日和だから興奮するところもあるんだよ」
「その気持ちも分かるけどさぁぁ~!」
体を揺さぶりながら駄々をこねるゆん。
双子なら日和がコスプレをしてくれるなんて滅多にないことを知っているはずだ。
もし俺がゆんの立場だったら、自分の恥を余裕で晒すだろう。
「ゆんは私のコスプレ姿見たくないの? いつも着せてこようとするからゆんもてっきり見たいんだと思ってたよ」
ニヤニヤと口角を上げながら言う日和に、
「そりゃー見たいに決まってるじゃん!」
と、マイク越しに声を張るゆん。
「ゆんが私に隠してる秘密を言ってくれたら、ゆんが着てほしいものも着てあげようと思ったのにな~」
「……童貞を殺すセーターでも?」
「うんうん」
「逆バニーとかミニセーラー服とか、ブルマも?」
「今日は特別にね」
おいおいなんだそのゆんセレクトは……最高じゃないか。俺にまでメリットがあるぞそのコスプレたちは。
ここまで来てゆんが渋ったら、土下座して頼もう。そのくらいの価値がある。
「でも……日和に言ったらまた凛希飛先に取られちゃうし……」
人差し指を合わせながら俯くゆん。
「じゃ、今日はゆんに譲ってあげようかな」
「……ホント?」
「私、今日は優しいお姉ちゃんになろうかな」
「こうゆう時だけ優しいのズルいぃぃぃ」
頭を撫でながら言う日和に、ゆんはウルウルとした目を向ける。
相変わらずの悪女だな日和は。
ゆんの取り扱いを分かってるし、自分の欲しいものは何をしてでも手に入れようとする。
特に、自分にあまり被害がない事を選んでいる。
正直、日和はコスプレなどには抵抗はないと思う。ただめんどくさいから着たくないだけ。
「さ、教えてもらおうかな」
「えっと、その……」
コスプレをしてくれることに嬉しがる気持ちと、言いたくない気持ちが混雑する顔をしながらも、ゆんは昼間のことを語り出した。
俺まで被害が来るのは重々承知だが、日和のコスプレを何着も撮影できるなら安い代償だ。
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