第2話 なんでもしてあげるよ


 今日も今日とて、俺は美少女姉妹に襲われる……と思っていたが、


「あ、次私の番だ」


「日和2回連続とかズルい~! 私の番を抜かすなぁ~!」


 俺達3人は、カラオケに来ていた。

 竿役とは言ったものの、日常生活を通して日和ともゆんとも俺は仲がいい。


 学校ではお昼ご飯を一緒に食べたり、放課後は一緒に帰り、こうやってカラオケなんかにも行ったりしている。


「今日はごめんね? あの時、ちょっと我慢できなくて……//」


 日和が歌い始めた刹那、ゆんは俺に耳打ちをしてくる。


「あ~、まぁ平気だよ俺は。場所はもう少し選んで欲しかったけど」


「あの事は日和に内緒にしといてね。家に帰ったらなんか言われそうだし」


「そうしておくよ、俺にも負担がきそうだし」


『あの事』というのは、今日の2限が終わったころの話。

 いきなりゆんに腕を掴まれたと思ったら、授業がある時には誰も来ない部活棟の女子トイレに連れていかれ、一発ゆんにヌかれた話だ。


 体を動かし、体が火照り始めると、無性にゆんはムラムラが止まらなくなるそうだ。


 前の授業が体育だったらしく、季節もまだ夏の終わりかけ。激しい運動をしていなくとも、体が火照ったゆんは、廊下で俺を見かけるや否や、女子トイレに連れ込んだというわけだ。


 それにしても……あのシチュエーションといい、うなじに汗で張り付いた髪の毛がなんともエロさを引き出していた。


「さてなんの話をしているのかな~?」


 歌いながらも俺たちの話に耳を立てていた日和は、まだ中盤に差し掛かったばかりの曲を止める。


「な、なんにもしてないよよ⁉ わ私たちはただ学校の話をしてただけで!」


「ダメだこりゃ……」


 あからさまに動揺して目をまわすゆんに、俺は呆れてため息を吐く。

 ゆんの初心で可愛らしい性格は好きなのだが、追い詰められたり余裕がなくなるとテンパるのはどうにかして欲しい。


 別に、エッチの時に余裕がなくなった時はただ顔を赤くして『犯して……//』とか言うだけなのに……この違いはなんなのだろうか。


「ゆんは分かりやすくて助かるんだけど、口は割らないからね~」


 ゆんを見透かしたように見ていた目は、俺に向けられる。


「凛希飛くんならもちろん教えてくれるよね?」


「いやぁ~、どうかな~」


 と、視線を逸らすが、


「言ってくれたらこのまま今日は私のことを自由に使っていいって言ったら?」


 日和は興味深い提案をしてきた。


「具体的に何をしてくれるんだ?」


「凛希飛がしたいことなんでもだよ」


「スーッ……コスプレしてくれるんすか?」


 つい、思っていることを口にしてしまった。

 Sっけがある日和だから、あまり自分が攻められる立場や羞恥心をくすぐるようなことは一切しないたちだ。


 ゆんは喜んで、というか自分から率先して来てくれるのに。

 正直期待していなかったしゆんとの約束を破ることになってしまうが、


「バニーでもチャイナでもメイドでもナースでも、なんでもしてあげるよ」


「はい、言います。今すぐ言います」


 自分の欲求には逆らえなかった。



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