第7話「過去視と言う逃れられない最悪」
ようやく斉狐先生の手が止まりふむふむと顎に手を当てながら考えている
「何かわかりました?」
「他の《視る事》が出来る能力と比較して可能性を計算していたんだけどね。
これは、《過去視》だ」
「かこし?」
「過去を視ると書いて過去視、場所の過去の記憶を視たりするリーディング(過去投影)
物質に触れて物の記憶を視るサイコメトリ
(接触感応)にと視る事が出来る能力が多数あるなかの一つだね、輪道君の場合は夢での過去体験、に近いか」
「まあ、そんな感じでしたね。」
「sai値の発現残照値も一緒に測ったけどおよそ8000から10000パワーの出力されたのが測れたね、君の本来的な能力のオマケ程度のsai値の低さだ」
「え?それって高いほうなんじゃ」
「ああ、昨日番場君に説明を受けたそうだね
後で伝えようと思っていたから色々と抜けていたけど予知夢の時は軽く9万近いか10万パワーくらいのsai値が発現したと言う計測器が叩き出しているから」
皆が予想したりしてくれた10倍のsai値
が出ていたとかどういう事?
「まあ、輪道君の能力はまだよく分かっていない事が多いからね
ただこの能力は成長する、もっとより精密に自由に予知が出来るようになるはずだよ」
「うーん、今のところは突然発現するんで
不便ですね」
「これからだよ、私も未知の能力を調査するのが楽しいからね」
ニコニコしながらもう一枚の紙を見てうなった斉狐先生、俺の能力の可能性を計算したと言っていたが何か不都合があったのだろうか
「輪道君、少し残念なお知らせと喜ばしいお知らせがあるのだけれど、どちらから先に聞きたいかな?」
「え?」
何、その二択良い方しかききたくないんですが?
「・・・とりあえず、良いほうで」
「わかったよ、その予知夢の能力が少しだけ強化されたようだね最大sai値がそれに引っ張られてさらに上がったみたいだ」
「え?10万からさらにって事ですか?」
「そうだよ やったね」
「軽い!斉狐先生なんか軽いですよ!」
「sai値は高い方が色々と能力の効果が良くなる傾向にあるんだ。
こんなに高いからこそ確定させた未来を見ても変えられるのかも知れないと考えている
まあ、輪道君はそれを無意識で行なっているようにある意味では能力に縛られていると言っても過言ではないけれど、それがより良い方向へと導いてくれているからまだ良いことだよね」
「はあ、そうなんですか?」
「そうだよ?問題は残念なお知らせの方だね」
凄く聞きたくない、おれは嫌な顔をしつつも斉狐先生に向かって頭をうなずかせた。
「今日視た過去視はこれからも見続ける、と言う可能性が高い」
それを聞いた俺は静かに心の中で叫びをあげた。
何故、あの最悪な行いをまた視なければならないのか。
あの青年がいやらしく嗤いながらこちらへ来るのを何も出来ずに見守るしかないと言う
まるで拷問のようなものを寝る度に視なければならないとは俺は何か罪深いモノでも背負っているのか?!と
「一応あの青年についての説明だけど
名前は「セオゲイ・オットコスキー」と名乗っている年齢は永遠の24歳、趣味はゲイポルノ映画の鑑賞、好みのタイプは瞳が合いびびっときた男が良いそうだね」
「いやいや、なんですか?それは?
まるで御本人に聞いたような自己紹介は」
「あははっ頭がおかしい事に各国の上層部にビデオレターが送られてきてね、だから国の関係者はあらかたこいつの事を知っているんだよ」
「何なんですか、いったい」
「こいつはね、世界的に有名なテロリスト
俺でも聞いたことがある殺人をしない犯罪者集団だ、何でも銀行強盗や美術品盗難に
誘拐して金銭の要求したりしているのをテレビで観たことが何度かある。
「この人が?」
「信じられないだろうけどビデオレターに
他の三恐悪の二人が一緒に居たし他の幹部達も居たからね」
「はぁ~、というかそれ俺が聞いていいんですか?」
「どうせ他の奴らにも過去視で視るだろうからそれに話したら輪道君を秘密裏に見守っている人から連絡がいって拘束に動くからね」
「ひえっ」
「他の人達に話さきゃ大丈夫、大丈夫」
軽いノリでそうおっしゃいます斉狐先生
この人も大概変人だなと思いながらため息を吐いてこれからも嫌な夢を見続けなければならないと言う現実に気が落ち込む一方な俺だった。
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