第七話

白兎を迎えてから、数ヶ月後

シノスケは処刑人の役目を果たす為、七日間、家を空ける事になりました


シノスケ:常々言っているが、夜は決して戸を開けるなよ

ツバキ:はい、シノスケ様もお気をつけて

シノスケ:ああ…如月、俺が居ない間はツバキを頼むぞ


白兎──如月は元気に鼻を鳴らして返事をしました


シノスケ:それでは、行ってくる

ツバキ:行ってらっしゃいませ





一日目──

シノスケ:男二人を斬首

シノスケ:大名屋敷にて盗みを繰り返した罪

シノスケ:ツバキに持たされた握り飯を昼飯に食べたが、美味かった

シノスケ:料理の腕は成長しているようで、なによりだ


二日目──

シノスケ:男四人を斬首

シノスケ:御上に年貢の引き下げを直訴した罪

シノスケ:人数が多く、少々疲れた

シノスケ:本日の昼食に握り飯が出されたが、昨日食べたものと何か違う気がした

シノスケ:ツバキが作った料理ではないからだろうか


三日目──

シノスケ:男一人、女一人を斬首

シノスケ:不貞を働いた罪

シノスケ:大名の妻である筈の女は密通相手である使用人の男に責任を押し付けていた

シノスケ:同じ女でもツバキとは大違い…いや、あんな女と比べるのは失礼だな


四日目──

シノスケ:男一人を斬首

シノスケ:親殺しの罪

シノスケ:痩せ細り、身体中はアザだらけであった

シノスケ:殺害した親からの虐待の可能性有り

シノスケ:そろそろ家が恋しくなってきたが、まだ折り返し日だ


五日目──

シノスケ:女二人を斬首

シノスケ:旅人を対象とした詐欺を行っていた罪

シノスケ:二人ともお喋りな性格らしく、処刑前に話しかけられた

シノスケ:何でも、ある村で女が人を殺したらしい

シノスケ:しかもその町は俺たちが住む山の麓の村であるとか

シノスケ:…村から離れているから大丈夫とは思うが、心配である


六日目──

シノスケ:男二人を斬首

シノスケ:寺社に火を放った罪

シノスケ:昨日の罪人達が言っていた、殺人をした女の罪人の斬首を担当することになった

シノスケ:これが終われば家に帰れる

シノスケ:ようやく、ツバキに会える


七日目──

シノスケ:女一人を斬首

シノスケ:村長の息子を殺した罪

シノスケ:罪人の名はツバキ

シノスケ:白髪に赤い瞳を持った、美しい俺の妻

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