バーサーカー&ゾンビ



「無念です……ばたんっ(きゅうっ)」



ムチムチシスターはおっぱいを下敷きにして床に伏した。きっと聖職者らしからぬ下品なデカパイがエアバックになってるから怪我とかはしてないと思う。いやね。化け物共相手にタダの人間が善戦した方だと思うよ。デカパイエアバックの健闘を称えたいところである。



「……そろそろ観念しろ」


「それはこっちの台詞。あなたこそ観念したら?」



三竦みだった闘争が1人脱落したことによってタイマンとなる。わりと満身創痍な幼なじみバーサーカーとゾンビ先輩。勝負の行方は何処。個人的には相打ち共倒れキボンヌ。


いいぞいいぞもっとヤレ!争え争え!(※後先は一切考えてない模様)


さてと俺ちゃんはお2人様がモンスターバトルを繰り広げてる間にバックれるとしましょうかね。こんなところに居たら命がいくらあっても足りませんのことよ。


どんちゃんやってる間に鎖からはコッソリ脱出済み。くくくっ、俺ってこういう小賢しい技術が無駄に巧みだったりするのよね。逃走技術師免許皆伝よ。どうしてこうなった。



抜き足差し足忍び足……。



むくりっ!



俺がそろりそろりと音も立てずに移動していると、突然、飯食ってテーブルに突っ伏していた波子が起き上がった。



「……ゴハンッ!」


「さっき食べたでしょ!」



唐突に叫んだ波子に俺は反射的にツッコミを入れてしまった。しまった……!


ギロリっ!と4つの瞳がこちらを向き、俺が拘束から抜け出して動いていることを確認した。



「……逃げようとしたな?」


「何処に行くつもりだったのかしら。あなたは」



どうやら俺がトンズラしようとしたのがバレたようだね。やれやれ、なんでバレたのかな?まあ、むしろバレないはずもなかろう案件だけど。



「逃げられないようにしておくべきだったわね」


「足を、へし折る」



静かにモンスターズの殺気が開放される。内なる力が解き放たれる。ある者は無表情でありながら、さらにその上に十三日の金曜日風ホッケーマスクを被り、ある者は悪い子はいねがとバカなガキを丸呑みムシャバリするであろうナマハゲ面を被る。これがコイツらのペルソナッ!?普段と大差ないし普段通りに怖いっ。ヤダこれゾクゾクしちゃう!毎度おなじみ生命の危機。指をパキパキ、首をコキコキしながらこっち来んな!クンナァ!


クソがっ!こうなったら仕方あるまい!ヤルだけヤッてやる!



「そ、それ以上、近づくんじゃねぇ!コイツがどうなってもいいのか……!」



俺は近場の波子を手に取って人質とした。なんという卑劣な行為。ゲスと罵ってくれて構わない。そんなことより俺は死にたくない(切実)



「小賢しい」


「ちなみにあなた、それどうするつもりなの?」



人質をとっても止まらる気などサラサラ無いモンスターズ。貴様ら、それでも人間かよ。情けとかないんですかこのヒトデナシ共が!(おまいう)



「まっ、待ってください!ホントいいの!?波子がどうなってもいいの!?」


「殺るなら殺れ」


「その子のことあまり知らないし。どうでもいいんだけど。勝手にしなさい」



まあ、このモンスターズにとっては波子は今日会ったばかりの知らん子。それがどうなろうと知ったことではないと。当然といえば当然だけども。あまりに非情では無いでしょうか?知ってたけども。


にじりにじりと距離を詰められる。万事休すかッ。いやまだ諦める時では無い。はず!



「ホントに波子がどうなってもいいんですね!?今、この場で波子にちんちん突っ込んで、処女膜ぶち破るけどホントにいいんだな!?」



「「…………」」



俺の非道なゲス発言にモンスターズはピタリと動きを止めた。これは……効いてるッ!(?)



「えっ、何言ってるんだい真弘くん?僕の処女膜はとっくの昔にキミががぶち破ったじゃないか。僕の中はとっくにキミのモノの形にピッタリフィットするようになっているよね?」


「コラッ、波子ッ。余計なことを言うんじゃないよ。ここはなんか、場の雰囲気でゴリ押してなんとなくイけるとこだったでしょうが!」


「そうは言うけど嘘はいけないと思うよ」



まったく波子め。余計なことばかり言いよる。いくら本当のことであっても言っていい場面と言っちゃダメな場面ってあると思うんだよね。ここら辺まったく空気が読めないからな。ホント困ったもんだぜー。



「まったく波子はまったくまったくホントまったくまったく」



アハハハーと笑いながら出口に向けて移動してみる。


ガシリと両肩がそれぞれ掴まれた。



「何処に行く気?笑って誤魔化せると思ったら大間違いなんだけど」


「逃がさない」



当然、俺の肩を掴んだのはモンスターズである。ですよねー。知ってたー。



「待って。人は話せば分かると思うんだ。だからあのね。殺さないで?」


「贖え」


「殺すつもりは無いわ。不可抗力ど噛み殺してしまうことになるかもしれないけど」



うん。ダメだね。コレ。


俺は死を覚悟した。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る