プリンセス&リライト




無事に半殺しされた俺氏。安心して。ちゃんと致命傷だから。「妻とは別れてキミと結婚する」と不倫相手に都合のいいことを言って刺されて殺されたと言われているおじいちゃんが三途の川の向こうで「おまえもコッチ側じゃな」って満面の笑みで手招きしてるのが見えたがなんとか戻ってきた。嫌じゃ!俺はそっち側にはいかんぞ!じいちゃんの様にはならんからな!


メシ食ったら帰るという波子はともかくとして、帰れと言われても帰らぬ詩良先輩。どうしても帰るというなら俺を連れされる心積り。しかし幼なじみ殿がそれを許すはずもなく、口論は平行線を辿り決着は付かず。俺としては3人まとめて帰って欲しい。ついでにシスター&エイリアンも連れて皆さんまとめてご退出願いたい。その後、残ったマグロでナイトパーティーしたいというのが心情である。まっ、無理だろうけどね。


兎にも角にも夕食をとることになった。主に波子が全力でやかましいので致し方なく。腹が減っては戦ができぬ。うん。コレ、腹が満たされれば戦が始まるヤツ。2人はどういうふうに決着をつけるのかな。やっぱり殴り合いかな。どっちも武闘派だしね。暴れるなら外でやって欲しいなー(願望)


ぞろぞろと2階から降りて1階リビングに。


テーブルを前に着席する俺。対面に座る波子。俺の膝の上に乗ってくる詩良先輩。首根っこを掴まれて引き剥がされる詩良先輩。廊下に捨てられる詩良先輩。食事の準備を始める。戻ってくる詩良先輩。再び俺の膝の上に座る詩良先輩。食事の準備が中断する。首根っこを掴まれる詩良先輩。廊下に捨てられる詩良先輩。食事の準備を再開する。戻ってくる詩良先輩。再び俺の膝の上に座る詩良先輩。食事の準備が中断する。首根っこを掴まれる詩良先輩。廊下に捨てられる詩良先輩。食事の準備を再開する。戻ってくる詩良先輩。再び俺の膝の上に座る詩良先輩。食事の準備が中断する。首根っこを掴まれる詩良先輩。廊下に捨てられる詩良先輩。食事の準備を再開する(無限ループ)



ツッコミ入れた方がいいのかなぁ……。でも余計なことあんまり言いたくないなぁ。下手を打てば死ぬし(切実)。あっ、こら波子。いくら腹減ってるからってテーブルに噛み付くんじゃないよ。あっ、こら「固くて噛めないから舐めるのかな?」みたいな顔してテーブルを舐め始めるんじゃない。どっちにしたってテーブルは経口摂取できねーよ!


ものすっごい長尺で食事の準備が整った。


なんやかんや言いつつも心優しき我らが姫様は4人前の食事を用意してくれていた。献立はネギトロ丼である。わーい。真弘くんマグロだーいすきー!ただ問題があるとするなら、何故か俺の前に置かれたモノにだけマムシとスッポンと性欲剤と媚薬をミキサーでガーしたようなドブ色のドロみたいなゲロ汁がたっぷりかけられていた。なんかガーガーって音聞こえてたのはコレね。はいはい。劇物劇物。食欲激減。



「いただきますッ!」



真っ先に波子が元気よく飛びついて食べ始める。「うめぇうめぇ」と久方ぶりの食事にありつき感涙を流す労働奴隷の如く。


一方その頃。俺の膝の上で熾烈な席の取り合いが行われていた。俺そっちのけで。どちらが俺の膝の上に座って食事をとるかという大変不毛な争いだ。俺さん椅子じゃないけど?どっちも降りて?



「ここは私の特等席だよ」


「いえ残念ながらここは私専用です。降りてください」


「無理」



押し合い圧し合い両者1歩も引かず。それを目の前にして椅子くんはどっちのケツも柔らかくてとてもヨシ!と現実逃避。



「「いただきます」」



争いの末。どちらも降りず、2人揃って俺の膝の上に無理くり収まって食事開始。あのー、これだとボクどう頑張っても前が完全に塞がれてるからゴハン食べられないんですけどー。



「ほらマヒロもさっさと食べてください」


「いや、これじゃ食べられないんだけど……」


「まったく仕方ないですね。マヒロは私がいないとなにも出来ないんですから」



それはあるけども。この状況でどうやって食えと?無茶が過ぎるんですが、瑠璃さん……。



「本当に仕方ないですね。私が食べさせてあげますよマヒロ」








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