シスター&リリース
「こんなのってあんまりです……しくしく……」
美希と詩良先輩の手によって破り捨てられた婚姻届。それを前にしたムチムチシスターは泣き出してしまった。そんなにショックだったのか。床に手を付き項垂れている……。あっ、すごっ。その姿勢だとおっぱい床に付くんだ。やっぱデカすぎ。
そんなシスターを魔獣共は「泣けばいいと思ってんじゃねぇぞメス牛が。さっさと消えろや」といった表情で見下ろしている。血も涙もない。アンタらには人の心ってもんが無いのかよっ。
「まあまあ、元気だしなよ」
見かねた波子が項垂れるシスターの背中をポンポンと叩きながら慰めに行った。どうやらまだ波子は心を失っておらず人の痛みが分かる様だ。流石、一応人間。魔獣共とは違いますね。
「こんな食べられない紙っぺらが破かれたからってなんなんだい?どうでも良くないかな?元からゴミみたいなモノだったのが、正真正銘本物のゴミになっただけじゃないか。食べられないモノに価値なんてないんだよ。ほら、こんなモノはぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨ててしまおうじゃないか。ゴミはゴミ箱へ、そうだろ?」
「うっ、うう……うわーんっ……!」
床に伏せてシスターは更に泣いた。容赦のない追い討ち。そうだねオマエはそういうヤツだったね腹ぺ子。過酷な家庭環境に身を置いてとうの昔に人の心とか死んでたね。「なんで泣くの本当にわけがわからないよ」って顔をすな。そういうとこやぞ。こんなの人間のやる事じゃねー。いや人間だからこそか。人間が1番残酷だよ(悟り)。
つーか。シスターが床に伏せたことで、おっぱいも床に押し付けられてむんにゃり形を変えている。テーブルの上に置いた水風船みたいだ。すごく横から指でツンツンプルプルさせて遊びたい。
なんにしても、我が中里家ダンジョンに足を踏み入れてしまったのがムチムチシスターの運の尽き。この人外魔境に身を置いて無事で済むと思ったら大間違い。まだ肉体的なダメージが無いだけいい方だ。俺なんて既に魔獣のサンドバッグにされて満身創痍よ?身体の節々が悲鳴を上げてるし、顔面ボコボコに腫れ上がってるからね?それに比べたらちょっと精神にダメージを受けたぐらいでなんなのか。こちとら肉体ダメージも去ることながら未知との遭遇で精神的なダメージもおってるからね?
だが、このおっぱいシスターさんは俺の押しかけ女房系ラブコメのヒロインとなる存在だったのかもしれない。ただタイミングが非常にクソだっただけ。言わば彼女も被害者なのかもしれない。
ちょっと優しくしてあげようと思った。
なんかようわからんけど彼女は勝手に疲弊してしまっている。そうだ。彼女には休息が必要だ。玄関で泣かれるのはクソ邪魔。ゆっくり休めるところに移動して貰って回復に務めてもらおう。
そうだな。俺の部屋で休んでもらうのがいいかな。
「大丈夫、ムチムチさん。馬鹿共がゴメンね?とりあえず玄関じゃなんだから家の中に行こう。ちょっと歩ける?」
「ううっ……歩けません……。お姫様抱っこして頂きたいです……」
厚かましい。思ったより大丈夫そうだなコレと思いつつもムチムチをお姫座抱っこしてあげる。大丈夫大丈夫。知らん顔してちゃんとおっぱいしっかり揉んでるから。ナニコレメッチャヤワラカヤバッ!
しっかりと俺の首に腕を回して抱きついてくるムチムチ。当然ながらおっぱいも押し付けてくる。ナニコレメッチャヤワラカヤバッ!
背後から殺気が飛ばされる。いやほらこれは緊急事態(?)だから。ノーカンノーカン?痛い痛い痛い。殴らないで。でもおっぱいは絶対落とさないッ……!
「ありがとうございます……。真弘様……やっぱりお優しいのですね」
何勘違いしてるか知らないがムチムチおっぱいは顔を赤らめて感謝を告げてくる。これから自身の身に振り返る未知との遭遇の事も知らずに滑稽ーーじゃなくて良心が痛むなー。
ムチムチおっぱいをお姫様抱っこしたまま2階へ。そして俺の部屋へと。人外共もゾロゾロとあとを付けてくる。魔獣からの攻撃は止んでいた。俺が向かう先。そして、やろうとしていることを察したのだろう。
「あの……なにか声が聞こえませんか?」
「気の所為、気の所為」
何かを気取るシスター。やはりシスター。悪しきものの気配には敏感なのかな。悪魔の気配を感じます!的な。まぁ、蔓延ってるのは悪魔じゃなくて地球外生命体なんだけども。そこら辺どうなんだろうね。シスター的に地球外生命体の浄化とか出来るのかな?
「んぼぼぉっ!おんっおんっおっんお”お”お”お”ッッッ!」
「真弘様?何か奇声のようなものが聞こえるのですが……」
俺の部屋の前。相変わらず中から奇声が聞こえてくる。まだヤッとるんかと思わなくもない。
不安がるシスター。シスターを抱えてて手が塞がってる俺。これじゃドア開けられないと思ったが、そこはすかさず気を利かせた美希がドアを開けてくれた。
「しぇんぱいっ!しぇんぱいっ!しゅきっしゅきっ!しゅきしゅきしゅきしゅきしゅきぃぃぃい!!!」
エイリアンの声がクリアに聞こえるようになってしまった。SAN値が下がった。
「イカくさっ」
シスターの一言。
「ゆっくりしていってね」
そして俺は名残惜しさを感じながらもムチムチおっぱいを自部屋にリリース。
バタンッ!
すかさず部屋の扉を閉めた。
そして直ぐにシスターの悲鳴が扉越しに聞こえるのであった。
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