両親不在をいい事にクラスメイト女子を自宅に連れ込んだら他にもなんか来た

パラサイド

｢ふぅ……(賢者)今日も波子とても助かる。それじゃコレいつものヤツね｣

｢ふわぁ……｣

いつもの事後。波子に声をかけるがフワフワしてた。夢見心地？満足されたか？ならばヨシ。

｢……波子？｣

｢ふぇっ……？あ、ああ……！えっと、なんだっけ？｣

｢ほらゴハン｣

｢わぁあ！大きなパン！｣

俺は波子に此度の対価である安くて大っきくて甘くてフワフワのパンを渡した。半球状のヤツ。所謂ひとつのスイートブール。こんなモノーーって言うのはちょっと失礼だが、よっぽど飢えていたのか大きなパンひとつで目を輝かせて破顔した波子。くくくっ、やっすい女やで(ゲス顔)

｢でもコレ食パンの方が量多くないかな？｣

｢こっちの方が甘くて美味しいと思うが｣

｢味なんてどうでもいいから、やっぱり量だよ量｣

さいですか。確かに値段的にはだいたい一緒で食パン1斤の方が量多いだろうけども。ちょっと気を利かせて甘いヤツにしたのに、なんか損した気分。

｢ところでさ、真弘くん｣

｢なにかね、波子くん｣

｢僕さ。これでいいのかなって、ちょっと疑問なんだよね｣

｢なにが？｣

ポツポツと語りながら波子はパンの包装を開けるが、見事に失敗していた。ビニールが縦に裂けてる。いつもこんなだなコイツ、下手くそか。

｢こうしてたまに真弘くんは僕に食べ物を恵んでくれて、それの対価に真弘くんは僕にスケベなことを要求するだろ？｣

｢そうですね。してますね。もしかして、もうスケベなことしたくない？ならもう食べ物あげません！サヨナラ！｣

プイッとそっぽを向いて俺はその場を立ち去るべく立ち上がった。そんな俺に波子は慌てて縋り付いてきた。

｢それはヤダァッ！って、そういう事じゃなくてだね！話は最後まで聞いてくれよォ！｣

｢仕方あるまい。聞いてやろう。話してみ？｣

やはり飢えているのだろう。波子があまりに必死になってしがみついてくるので、俺はヤレヤレとその場に座り直して波子の話に耳を傾ける。

｢なんか釈然としないなぁ｣

｢やっぱりサヨナラ？｣

｢ヤダァッ！｣

｢冗談、冗談｣

｢むぅ……。もぉ……！｣

ムスッと頬を膨らませる波子。それを見てちょっと頬が緩むのを感じた。

なんやかんや本当にサヨナラするつもりはあまり無い。俺の関わりあいのあるヤツは大半が人の話を全く聞かない魔獣ばかりなので、こうして揶揄える相手は貴重だ。ついつい波子のことはからかってしまう。

｢それで、何の話？｣

｢だからね。その、なんて言うかな。食べ物を恵んで貰う代わりにキミは僕にそれを身体で支払えって、するだろ？でもそれで本当に対価を支払えてるのかなって思うんだよね｣

｢それはつまり？｣

｢僕は食べ物貰えて幸せ。さらに支払いって言うけど、その支払いも気持ちよくて……幸せなんだ｣

｢それなら良いじゃない。俺も気持ちよくなれて幸せ｣

｢そうは言うけど、これってキミだけが一方的に損してないかなって思ってさ｣

確かに？支払いが支払いとして機能してないのなら、餌を渡している俺だけが損をしていると考えられなくもない。

しかし、そうかも知れないが、自分が得をしているであろう現状でわざわざそれを俺に言う必要など波子にあるのだろうか。俺自身として現状不満は無いし。黙って甘い蜜だけすすってれば良かろうに。

｢不安なんだよ。真弘くんに急に｢俺だけ損してるからもうやめる｣って言われて食べ物貰えなくなったら困るからさ。僕はもうキミなしでは生きていけないんだ！この関係が終わってしまったら僕は餓死してしまうよ！｣

わりと逼迫した理由であった。

｢そんなわけで真弘くん！ほらほら！僕に何かもっと要求することは無いだろうか？｣

｢金だせ｣

｢残念だが僕は無一文だよ！小銭すら持ってない！身体で払えるものにしといて貰えるかな！身体で払えるのならいくらでも払うよ！｣

｢バイトでもしろ｣

｢ふふん！生憎とだが僕はポンコツみたいでね！バイトは何故か面接で全部落とされてしまうのさ！真っ当な仕事はどうやら僕には向いてないみたいだね！｣

｢それならもういっそパパ活とか？｣

｢それもちょっと考えたのだけれどね。真弘くん以外の男とそういうことをするのを想像したら凄く嫌な気分になったんだ。だから真弘くん以外とは極力したくはないかな！ ｣

一途かな？しかし、これはあまり宜しくない傾向かも知れない。俺に寄生仕掛けているような気もする。とはいえ、そう言われてしまうと俺としても満更でもない。

ムシャムシャとパンにむしゃぶりつく波子は可愛げがある。波子は何処かの魔獣共と違ってヴァイオレンスでは無いので痛い思いをしない。ダメージを受けるのも財布だけ、それもかすり傷みたいなもんだ。もうそれだけでポイント高いよね。うーん、78点！

そんな波子を簡単にポイ出来るほど外道でも無いので、まだ関係は継続の方向で。

……と。

思い出ぽろぽろ。波子との過去回想が走馬灯のように脳裏を過ぎ去っていく。

波子……。オマエは都合のいい女だったよ……安らかに眠れ……。

ん？待って。俺が走馬灯を見てるなら死にかけてるの波子じゃなくて、俺じゃない？