第45話 理解カロリー
状況を理解していない上席の人間が会議に出席すると「突然の質問に模範解答をどれだけ返せるか大会」になるコトがある。
根本的な意図は間違ってないし言ってるコトもブレていない、ただし方法論が絶望的にまずい、っていう場面の話。
なんで答えが出てきにくい聴き方をわざわざするのかなって感じるような、コミュニケーションレベルの低い会話。
立場の違いはつまり思考の違い、言語の違いなので、必ずしも上下関係のあいだでマトモな対話が成立するとも限らないよね。
でもだからこそ乗り越えるべき壁はしっかり存在していると思えば、相互理解に必要なカロリーはドッチもが最低限消費し合わなくてはならないはずでしょ。
ところが残念なコトに多くの場合、立場が上位の人間から必要最低限カロリーが消費されるのはあんまりない。
立場が弱いほうが基本的に頑張って、なんとか相手が理解する為にあれこれと想像して解釈を試みる。
もちろん、解釈を誤るなどもってのほかなの。
常に相手の考えてるコトを必死で想像しながら、むちゃブリに近い質問や議論に対して最高のアドリブで返すというパフォーマンスを望まれる。
気の毒としか思えないです。
わたしなどはとてもズルい人間で、そういう苦しい場面に至っても苦境に落ち込まないような事前準備を怠らない。
つまり、そもそもそういうケースが発生しないように前もって情報を流したり立場的にブロッキングしておいたり、または最悪のケースでも矛先を変える話題をいくつか持っておいたりする。
もちろんそんなコトをしても根本的な解決じゃないからその場凌ぎに過ぎない。
後々ちゃんと問題として復活してくるのが定番の流れ。
でも時間は稼ぐコトができるから落ち着いて対処できるメリットは大きいんだよね。
この程度のコトはちょっとした工夫で実現できるし、そもそもそういう話題に対して少しでも自分の時間を割いて思考したか否かの差でしかないと思うんだ。
多くの人はそういう行為に興味がない、ように見える。
誰かが不幸せになるわけでもなく、欺くコトもなく、傷つけるコトもなく、物事は前に進むというのに。
ただちょっと他人との不本意なコミュニケーションを我慢するだけのコト。
無自覚な上司、にはなりたくないと常々感じている(←偉そう)。
色々な人を見て、そう思った。
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つづく
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