失恋騒動!?(榎本綾香視点)

今日は夏休み初日。

せっかくだから前から気になってたスイーツを食べようとショッピングモールに来ていた。


(スイーツ、楽しみだなぁ……あれ?あそこにいるのは……)


スイーツに思いを馳せていたところ少し離れたところに小泉さんを発見する。

ど、どうしよう……話しかけようかな……?

そうやって迷っているとすぐに驚くべきものを見る。


(え!?女の人……?しかもすごく大人っぽくてきれいな人……)


茶髪のセミロングの美人な女の人が小泉さんに服を見せ感想を聞いているであろう姿が見えた。

彼女さんいたんだ……

そうだよね。小泉さんはカッコいいし優しい人だから彼女さんくらいいて当然だよね……

私は目の前が真っ暗になってスイーツなんてどうでもよくなってしまい、逃げるように家に帰った。

そしてすぐに枕に顔をうずめる。

これが失恋……なのかな……

今まで経験したことのないような悲しみと痛みを感じる。

涙が溢れてきてしまって止まらない。

思わず誰かに縋りたくなって仁美に電話をかけた。


『やっほー綾!どうしたの?』

「ぐすっ……仁美ぃ……」

『え!?どうしたの!?』

「失恋したかも……」

『ど、どういうこと!?とりあえずすぐそっち行くからちょっと待ってて!』


そう言われて一方的に電話を切られ呆然としているとすぐに息を切らした仁美がやって来た。


「はぁ……はぁ……お邪魔します……」


そして家に入った仁美は私を部屋に連れて行ってベットに座らせる。


「綾、何があったの?失恋って言ってたけど……告白でもしたの?」

「ううん。今日ショッピングモールに行ったら小泉さんがすごい綺麗な女の人と歩いているのを見たの……私より綺麗で小泉さんにお似合いだった……」


なんて間抜けなんだろう。

知らない感情だからって向き合わないで逃げ続けて……

最初から愛想がよかったら違ったんだろうか、好きだと思ったときにもっと自分からアピールしていれば違ったんだろうか。

失恋してから後悔するなんて間抜けにも程がある。


「も、もしかしたら女友達とかかもしれないよ」

「でもすごい親しそうだったもん……」

「いいから!ちょっと服部くんに聞いてみようよ!まだ失恋って決まったわけじゃないよ」

「でも……」

「だって諦めたくないんでしょ?」


仁美の言葉を聞いてハッとなった。

私はまた自分の気持ちから逃げてた。

どうせ失恋したなら傷つくかもしれないけどちゃんと受け入れないとまたどこかできっと後悔する。

それにまだ少しでも可能性があるなら諦めたくない!


「分かった。聞こう」

「そうこなくちゃ。服部くんに電話、かけるよ」


仁美が服部さんに電話をかけ数コールしたとき電話が繋がった。


『もしもし。服部さん?』

「突然電話してごめん。ちょっと綾が聞きたいことがあってさ。電話でいいから聞いてくれない?」

『何か前も聞いたセリフだね。いいよ。聞きたいことって?』


聞きたくない……

でも聞かなきゃ……


「小泉さんって彼女できたんですか?」

『へ?あいつに彼女?まったくの初耳なんだけど……何かあったの?』

「今日ショッピングモールで小泉さんが女の人と歩いてるのを見たんです」

『うーん知らな……あ!もしかしてすっげえ美人の茶髪の人じゃなかった?』

「そうです。ご存知……なんですか?」


やっぱり服部さんには女友達って紹介してたりしたのかな。

高校生って感じではなかったけど……


『あーやっぱりな。多分その人は達也のお姉さんだよ』

「え?お姉さん?」

「達也ってすごい美人のお姉さんがいるんだよ。懐かしいな〜元気かなー歩美さん」


お姉……さん?

確かに言われて見れば目元とか似てた気も……

てことは全部私の勘違い!?

仁美にも迷惑かけちゃったし恥ずかしい……


「あーごめん切るね。教えてくれてありがと!」


私が呆然としてしまったのを見かねた仁美が電話を切ってくれる。


「そんなわけで、良かったね!綾!」

「え?」

「小泉くんに彼女ができたと思って悲しかったんでしょ?誤解だってわかったんだからさ」


仁美の言葉がストンと腑に落ちる。

そうだ。私はもう後悔したくない。


「仁美、私頑張ってみる……今はまだ想像できないけど絶対に小泉さんに私を好きになってもらえるように頑張る!」

「うん!夏休みは始まったばっかりだよ!そうとなれば小泉くんに可愛いって言ってもらえるように色々買いに行こ!」

「わっ!ちょっと引っ張らないで!?」


こうして失恋騒動は収まり、男嫌いの少女は立ち直ってまた一つ前進したのであった。



─────────

少しだけ告知をさせてください!

明日の午前9時05分から新しく『自由をご所望の王女殿下と幼馴染な専属従者の亡命(駆け落ち)スローライフ』っていう新連載を始めようと思っています。

ジャンルは異世界ラブコメ?(言い方合ってるのかわからない)×スローライフです!

気になった方は読んでくださると嬉しいです!

もちろんこの作品の更新はしていきますのでこれからもよろしくお願いします!

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